異世界転移したんだけど周りが全員過保護なホモだった件

メル

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ハローおホモ達★ギルド入会編

寝起きのイケメンこわい

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約束通り、リイサスさんは俺に手を出してこなかったし、セクハラも控えめだった。
かな~~り耐えていた様子だったけど。俺の裸を舐め回すように見ては、「はわわわわっ」とか乙女チックな声を出してたけど。
あらかじめ釘を刺しておいたからか、10秒に1回のソフト臀部タッチで済んだのも僥倖だ。…いや、いつもが酷すぎるだけか。
だって普通に舐めてくるもんな……。内ももとかワキをペロペロスーハーされるもんな。
そりゃあソフトタッチが軽度に思えるわけだ。俺は訴えても許されるし間違いなく勝訴する。
しないけどさ…。

そんなこんなで風呂から上がった俺たちがホカホカでリビングに戻ると、ソファでゴゴゴゴゴ…とケンシロウもビックリな怖い顔をしたルークさんがいて、俺をヒョイって持ち上げた。
何かと思ったら、髪を拭いてくれるらしい。おっきな膝の上に乗せられて、ふわふわのタオルでゴシゴシゴシ。
風呂の方から聴こえてくる俺たちのしゃいだ声に、割と繊細なルークさん、しょんぼりしちゃったっぽい。
ぎゅうぎゅうひっつき虫になっちゃうほど、寂しかったみたいだ。とりま耳はモフっといた。

そのひっつき熊さんに俺が髪を拭いてもらってる間、リイサスさんはコップに水を入れて差し出してくれた。受け取ると、2人掛けソファの隣に座り、「もう遅いからこれだけさせて」って、俺の手に保湿クリームを塗り出す。
これも風呂上がりの日課。
クリームは俺がリイサスさんの家に転がり込んだ翌日、ルークさんが買ってきたものを使ってる。フローラルな香り付き。
それを懇切丁寧に、指の間まで塗ってくれるんだ。念入りにネットリヌットリ。

「ダイヤモンド、似合うだろうなぁ……」

左手の薬指を持ちながらの不穏な言葉は無視に限る。もちろん、うっとりお顔も視界に入れない。
ネットリクリームケアが終わるまで、キュッと目を瞑ってジッと堪えます。

まぁそんなこんなで俺は毎日、イタレリツクセリのお姫様な気分を味わっている。絶世のイケメンと最強熊さんを従えて、洋服の用意から足の爪先のお手入れまで、アレコレさせちゃってるのだ。
当然、俺が言い出したことではない。「大丈夫です」って言っても勝手にやってくるんです、このふたり…。
申し訳ないなぁって気持ちはもちろんある。だって返せるものが何もないもの。
それでも一時はセクハラの対価として、せいぜいこき使ってやろって思った時もあったけど……。
うーん。でもさ、それじゃ援交やパパ活と同じじゃん? 良くないよなぁ。
この家に来てずっと思ってることだけど、これ以上の倫理の欠如はどうにかしたい。だって深刻だから。
でもリイサスさんたちに「セクハラしないで!」って言ったところで、「うんうん」ってニコニコ尻を揉まれるに決まってるし…。
うむむ、難しいところだ。

「乾いたよコージくん。今日もふわふわの髪に仕上がった」
「保湿も終わったよ。このスベスベなお肌で俺のペニスを触ってくれたら嬉しいなぁ」

あーほらもうっ。小さな呟きだったけど、普通に聞こえる声だったし、多分わざと聞かせてきてるし。
リイサスさんってば、俺とルークさんがセッセしたことを未だに根に持ってるらしくて、自分も隙あらばって感じ出してくる。
タイミング良く「ふわぁぁ…」ってアクビが出たから話を逸らせたものの、いつまでも躱し続けるのは正直ムズいぞ。

「あぁ今日は疲れたね。もう寝よっか」
「忘れていないかリイサス。今夜、コージくんは私と眠る約束している」
「知るかバーカ。反故しろコージくん」
「ぅんにゃ…おれ眠いっす」
「ほら、彼は私と寝たいと」
「『眠いっす』を曲解しすぎだろ」
「コージくん。リイサスと話を付けるから、君は先に2階へ上がって右の扉へ」
「はぁ~? 左の扉だよ、コージくん。一緒に行こう」
「見苦しい真似はやめ給え、リイサス。君はコージくんと共に入浴した。だから同衾は私に譲るべきだ」
「ヤなこった。譲り合いの精神はお前だけ持っていろ」
「なんという暴論……」

俺を膝に乗せたまま、言い合いを続けるふたり。
結局、睡魔が限界突破した俺はルークさんの腕から抜け出して、言い争うふたりに背を向け、真ん中の自分の部屋で寝た。
ぐぅ。


*****


そしておはよう異世界!
目が覚めて、まずは体を起こす。体が動けば、勝手に目も覚めるからな。中2の時に知ったライフハックです。
俺はベッドに座ったままぐーっと伸びをした。そんで暖かい物体が引っ付いていることに気付く。
隣には、幸せそ~~に蕩けた顔で眠るリイサスさんがいた。どうやら、昨夜の『コージくんと眠るのは俺だ私だ戦争』はリイサスさんの勝ちだったらしい。
たくましい腕が俺の服の下に入り込んでいるのは気になるけど、まぁ睡眠を邪魔されたわけじゃないし、こんなに気持ち良さそうに眠ってるんだから、勘弁してあげましょう。

出窓から見える日の傾き…、多分、7時くらいだと思う。1階からはハニートーストの良い匂い。ルークさんはもう起きてるみたいだ。
鳥の鳴き声を聞きながら、俺の腰に腕を回して離さないリイサスさんに目をやる。
乱れた髪に、彫りの深い顔。くぅぅ、圧倒的造形美……。
イケメンは寝ていてもイケメンだってことが証明されてしまった。くそう。どうせ起こすんだから、ちょっとイタズラしてやれ。
そう思い、鼻呼吸で寝ていたリイサスさんの高い鼻をむぎゅ、と摘まんだ。

「んごぁ…」

驚いた様子で、ぱちっと目を開けたリイサスさん。
驚異の腹筋で手を使わずに起き上がり、数秒の間、ぼーっとして緩慢な動作で首を回す。
俺は笑って「おはよぉございます」と言った。

「あ~…おはようコージくん。今日も最高にキュートだ……」
「そういうリイサスさんは嫌味なくらいイケメンですよ。はい起きましょ!」
「……異世界からやってきた、神の遣い子かぁ。納得だよなぁ……」

なんかボソボソ言ってるけど気にしない。
ベッタリリイサスさんの腕をよいしょっとほどき、ベッドから降り……あら? 降りられないや。
振り返ると、リイサスさんが俺の足首を鷲掴みしている。あ、と思った瞬間には、スゴい力で引っ張られ、またオフトゥンの中へ逆戻りだった。

「あわわ、なんという剛力」
「まだ眠れるよ」
「俺お腹減っちゃったもん」
「寝起きで即ご飯って凄いなぁコージくん」
「リイサスさんが朝弱いだけでしょ~」

そう。実はリイサスさん、朝に弱々なのだ。「寝起きはコーヒーを飲まないと調子が出ない」ってよく言ってるし、朝ご飯も起きて30分は経たないと食べようとしない。
イケメンの弱点が「朝に弱い」って、それもう強みだよな。だってギャップ萌えでおんにゃのこメロメロになっちゃう。
チキショー、世の中不公平だぜ……。

「ね、もうちょっとゴロゴロしてようよ」
「だめだめだめ、今日はギルドに行くんです! 流されて二度寝なんてしませんっ!」
「ギルドより夢の国じゃない?」
「ぐ…っ! なんて力だ……!」

腰に絡み付いた腕を振りほどけない。本当に寝起きかこの人…。
と、俺がVS寝起きのリイサスさん戦で孤軍奮闘していると、ふとリイサスさんが悲しげな顔をした。

「だって君、異世界人なんだろ」
「え? はい」
「君は貴族の隠し子じゃなくて、異世界人。数奇な運命の元にある」

お……? 何小難しいこと言ってるんだろ、この人。

「いつここを去るか、分かったもんじゃない」
「………」

あーーー……、なるほど。それで落ち込んでるのね。衝撃の告白から一晩経って、冷静になった感じね。
でもそっか、それなら。
項垂れるリイサスさんをぎゅうと抱き締め、俺は背中をヨシヨシしてあげた。

「いますよ。側に」
「……えっ?」
「いつまでも住むかは分からないけど、俺リイサスさんやルークさんと関係を絶つなんてしませんよ」
「……本当に?」
「本当です!」

本当です。
何故って、俺は二人が大好きだからだ。あ、もちろん親愛って意味でね!
例え住む場所が離れたとしても、俺は多分二人と一生もののお付き合いをしていくんだと思う。離れるなんて、そんな寂しいことしない。
何より俺、オーディアンギルドの冒険者だしね! 冒険者を諦める気なんて絶対無いから、ルークさんとリイサスさんがオーディアンギルドの関係者であり続ける限り、嫌でも関わるんじゃないかな。
そう伝えると、リイサスさんは「たまらない」って表情を浮かべ、強い力で俺を抱き締めた。

「大好きコージくん……」

グリグリグリグリ。俺のかったい胸板に頭を押し付けて、強めの頬擦り。
ここは「俺も好きですよ~」とか返すべきなんだろうけど、迂闊に言うと言質として取られかねないから、無言で頭をヨシヨシするに限ります。

「でもそれはそれ、これはこれ。君は絶対逃さないし、この家以外に住むなんて許さない。とりあえず今は二度寝しよ?」

マジ? 俺の悟しは一体なんだったんだ?
ニコニコリイサスさんに離してもらえないことが決定してしまった朝。俺は遠い目をして、首にちゅっちゅしてくるイケメンから目を逸らした。
クッ、諦めてこの極上ふわふわオフトゥンで二度寝するしかないのか…、と悔しいながらもウトウトしていると、ギギギ……とドアの開く音。

「何を……しているのかね?」

ゴゴゴゴゴゴゴ……と覇気を撒き散らすルークさんの登場により、二度寝は無事回避。
今から美味しいハニートースト食べてきます!


****************


はぁい(* ̄∇ ̄)ノ

メルです。


さて、突然ですが皆様、…この『異世界転移したんだけど周りが全員過保護なホモだった件』のお気に入り数を見てください。

既にご存知という方は大丈夫です。



はい、言わずもがなですね。1000、いきました。

私が先程確認すると、1004でした。

皆様がこれを読むときは1000を切っているかも知れませんが、取り敢えず1000、いきました。

ちょっと、まだ信じる事が出来ていません。多分このお知らせとお礼を書いた数分後に喜びがどぅわっ!と来るやつですね。

ありがとうございます。皆様、本当にありがとうございます。そこまで深い感動話でもないのに、そこまできゅんきゅんくる純愛系でもないのに、ただのギャグよりのギャグ(1度使いたかった)なのに、ここまで行くなんて!
ここまで読んで頂いた全ての皆様にハグしていきたい勢いですが、残念ながらそれは現実的に無理ですね。
ですので、私の語彙力を総動員させ、最大限の感謝の気持ちを画面越しに伝えたいと思います。

本当に、ありがとうございます!そしてこれからも、この『異世界転移したんだけど周りが全員過保護なホモだった件』を、よろしくお願い致します!

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