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第1章
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8月に入ってすぐに、黒龍とその傘下の青薔薇そしてWHITE ANGLE、BAD BLOODが倉庫に集まった。
理菜と亜紀と浩介は倉庫の中からその様子を見ていた。繁華街で遊んでいようと思っていたが、良樹と駿壱が「倉庫にいろ」と命令して来た。
その意味が分からない3人だったが、おとなしくその命令に従った。
「カズキ!」
良樹は自分のバイクのキーを一樹に渡していた。
暴走の最中、良樹は車に乗り込む。一樹はバイク。それも良樹のバイクに乗る。
それの意味が分からなくて、その様子をただ見ていた。
「カズキはヨシキの影武者だからな」
確かに一樹が着ている特攻服も良樹と同じだった。
背中に描かれている黒龍のシンボル。それと共に書かれている文字。それが良樹と全く一緒だった。
「影武者……って?」
駿壱を見上げた理菜に、目を細めて言う。
「ヨシキが掴まらないようにすんだ。ヤバそうだったらカズキが囮になる」
一樹が囮役。
(え?)
一樹を囮にして走ることに疑問を抱くが、そのことに口出しは出来ない。それは分かっているから、なにも言えない。
「時間だ」
駿壱がそう呟くと、自分のバイクに跨る。
良樹は車の中にもうすでにいた。そして窓を開けてこっちを見た。
「リナ。行って来る」
そして車が走り出し、その後を何台もののバイクがエンジンを蒸かして出て行く。
黒い特攻服の黒龍。
赤い特攻服の青薔薇。
白い特攻服のWHITE ANGLE。
青い特攻服のBAD BLOOD。
その4色の特攻服が倉庫から姿を消した。
「凄ぇ…」
目をキラキラとさせて走り去ったバイクや車を見ている浩介。そんな浩介に呆れて「うぜぇ」と言ってやった。
「なんだよ、かっこいいじゃねーか」
「煩せぇ」
理菜はそう言って倉庫の2階に上がっていく。
「でもなんで繁華街に行っちゃダメなんだろな」
浩介は呟くように言いながら、階段を上ってくる。
「リナ。お前なんか聞いてねーか?」
「なにが」
「ここにいろって言ったワケ」
「聞いてない」
振り向かないで理菜は答える。
「アキ、お前は?」
「知らない」
理菜たちは何も聞かされてない。
言う必要がないってことだ。
言う必要がないってくらい、分かってた。
でもそれが理菜を寂しくさせる。
言う必要がないくらいの存在……。
そう言われてる気がした。
遠くでバイクの音が聞こえてくる。そのバイクを追いかけるようにパトカーのサイレンが鳴り響いていた。
その音を聞いて、もしかして良樹たちが追いかけられてるんじゃないかと、気が気じゃなかった。
「パトカー、凄ぇ……」
浩介がその音を聞いて呟いた。この近くにも潜んでいるんじゃないかというくらい、たくさんの音が響いている。
バイクの音。
パトカーの音。
そのふたつの音が夜中の街に鳴り響いていた。
暫くその音を聞いていたけど、その音が遠くにいって聞こえなくなった。
「どこまで行ったんだろうな」
部屋の中で呟いた浩介に亜紀は笑う。
「あたしたちがここにいろって意味、なんとなく分かったかも」
「あ?」
「だって、危険じゃん」
「危険?」
「パトカーに追いかけられてるんじゃん」
亜紀の話を聞いてなんとなく分かった。
「だけど、繁華街は」
「繁華街も一緒だよ。暴走連合のヤツら、みんな出張ってていないからじゃない?」
理菜はそう言った。
誰もいない場所に、理菜たちを置いとくワケにはいかねぇっていう黒龍幹部の考え。
「あー……。そうか」
浩介も納得しない感じで呟くように言うと、倉庫の入り口の方を見て「俺も行きてぇ」と言った。だけど、良樹も駿壱も浩介を連れていくことはしないだろう。
倉庫の中は静か。
黒龍の面々がいないこの倉庫は静かでイヤだった。
3人で他愛もない話をしてはいるけど、それが途切れてしまう。
だから理菜はソファーに寝転んでいた。向かいのソファーには亜紀が座ってマンガを読んでいて、浩介は階下に行って何か弄って遊んでいる。
音が倉庫内に響いている。
浩介が何かする度に、2階のこの部屋にまで音が響いてる。
耳をすませて、バイクの音や車の音を聞いていたけど、どれも黒龍系列のじゃないって分かる。
一般の車両の音しか聞こえない。
──早く帰って来ないかな。
──早く顔を見たい。
理菜はソファーに寝転んだままそう思っていた。
(掴まったりしてないよね……?)
不安が押し寄せてくる中、亜紀がこっちを見て言った。
「ねぇ」
マンガから目を離し、理菜に声をかけてくる。理菜は亜紀の方を見ないで、天井を見ている。
「行く前、ヨシキさんあんたに言ったね」
「ん?」
「行ってくるって」
「うん」
「なんか、そういうのっていいね」
亜紀が言ってる意味が分からなかった。だから顔だけを亜紀に向けて、顔色を伺った。
「あたし、家でも言ったことない。言われたこともない」
その言葉の意味を知って、理菜は唖然とした。いくらなんでも、そこまで亜紀の家が荒れてるなんて思わなかった。
「いいね。リナの周り」
「へ?」
「だってさ、家では遅くに出て行ってもおばさんは言うだろ。行ってらっしゃいって。さっきだってヨシキさんが言ってたしさ」
亜紀の顔が沈んでいるのは、この静けさの所為かもしれない。普段、亜紀は自分のことはあまり話さない。ましてやそれが自分の家のこととなると、頑なになって話さない。
亜紀が今、こうして話しているのはこんな場所で静かな空間にいるから。
「アキ」
理菜は起き上がって亜紀を見た。
「あのね……」
何かを言おうとした。
その何かを言おうとした時、外から聞こえて来た数台のバイクと車の音。
その音に反応して亜紀は部屋から出て行く。理菜もそれに続いて部屋を出て行く。
倉庫の入り口では浩介が、目をキラキラさせて帰って来た人を出迎えていた。
帰って来たのは良樹とヒデ。百合にアキラ。
それぞれの車を運転していた人。数人のバイクの人。
ヒデはWHITE ANGLEのリーダー。良樹たちの中学時代の同級生。
BAD BLOODのリーダーはアキラ。百合と同じ年の良樹たちの同級生。一年ダブってる。
「お帰りなさい!」
浩介が逸早くそう言うと、良樹は「ああ」とだけ言う。
「お兄ちゃんは?」
理菜は良樹にそう聞くと「まだ走ってる」と言った。
「撒いてから来る」
それがパトカーを撒くってことだって分かった。一樹もいないってことは囮になってるのかもしれない。
「じゃ、ヨシキ。俺は帰るぞ」
ヒデはそう言うと、振り返り「またな」と言った。アキラも少し話をしただけで帰っていく。
百合は何も言わずに、階段を上り部屋の中に入って行った。
「姉貴」
そんな百合に低い声を出すと、百合は振り返って「シュンイチを待つ」と言った。
百合は駿壱が、本当に好きなんだって思った。だからここで駿壱を待ってるのかもしれない。
「繁華街に行ってねぇだろうな」
理菜たちに振り返った良樹は、確認するように聞いてきた。
「行ってない」
「そっか」
「ヨシキさん。なんでダメだったんすか」
浩介はそう言うと、理菜と亜紀が考えてたことと同じ答えが帰って来た。
「誰もいねーから。暴走連合のヤツ、出張ってていねぇから」
浩介もそれに納得して、良樹の傍に行き頼んでいた。
「次、俺も連れて行ってくださいよー」
「ダメだ」
「行きたいっす」
「ダメだ」
そのやり取りをずっと聞いていたら、良樹のバイクに乗った一樹が滑り込んで来た。
「ヨシキ!」
バイクから降りると同時に、大声を出した一樹が尋常じゃない。何があったのかって顔を伺う。
「ジュンヤたちがパクられた!」
その言葉に良樹の顔色が変わった。一樹の声に、2階から百合が顔を出して降りてくる。
「カズキ!他にはっ!?」
「他は分からねーけど、青薔薇も数人パクられた。BBもWAも」
その言葉に良樹はため息を吐く。
「無茶すんなってつってんのに」
「とりあえず、お前らが無事で良かった」
一樹はそう言うと、この場に駿壱がまだいないってことを確認した。
「まだか?」
一樹の言葉が、駿壱のことを言ってるんだって分かる。駿壱がまだ帰って来ていない。
それが心配で不安になる。
それに気付いているのか、良樹は理菜の頭に手を置いて「大丈夫だ」と言う。
「アイツなら大丈夫だ」
何が大丈夫なのか分からない。
理菜はここにまだ駿壱がいないことが不安で仕方ない。。駿壱も捕まったのかって思うと不安になった。
だから良樹の顔を見上げていた。
「平気だ。アイツは捕まらねぇよ」
「でも……」
「シュンはバイクに乗ったら無敵だぞ」
「たまにドジ踏むけどな」
一樹がそう笑いながら言う。
なんでそんなに平気な顔をしているのか、理菜には分からなかった。
ヴォン……ヴォン……!
遠くでバイクの音が響いた。
そして倉庫の前で停まり、降りてくる人影。
理菜はその人影が誰か分かっていた。ここにいたみんなが分かっていた。
「ただいま」
心配そうにしていたんだと思う。だから駿壱は、理菜と目線を合わせてそう言った。
頭に手を置いてクシャとして、理菜の頬をつまむ。
「何すんのよ」
「泣きそうな顔してっから」
「してない」
「してる」
「してないもん」
そのやり取りをみんなが見てて笑っていた。
理菜と亜紀と浩介は倉庫の中からその様子を見ていた。繁華街で遊んでいようと思っていたが、良樹と駿壱が「倉庫にいろ」と命令して来た。
その意味が分からない3人だったが、おとなしくその命令に従った。
「カズキ!」
良樹は自分のバイクのキーを一樹に渡していた。
暴走の最中、良樹は車に乗り込む。一樹はバイク。それも良樹のバイクに乗る。
それの意味が分からなくて、その様子をただ見ていた。
「カズキはヨシキの影武者だからな」
確かに一樹が着ている特攻服も良樹と同じだった。
背中に描かれている黒龍のシンボル。それと共に書かれている文字。それが良樹と全く一緒だった。
「影武者……って?」
駿壱を見上げた理菜に、目を細めて言う。
「ヨシキが掴まらないようにすんだ。ヤバそうだったらカズキが囮になる」
一樹が囮役。
(え?)
一樹を囮にして走ることに疑問を抱くが、そのことに口出しは出来ない。それは分かっているから、なにも言えない。
「時間だ」
駿壱がそう呟くと、自分のバイクに跨る。
良樹は車の中にもうすでにいた。そして窓を開けてこっちを見た。
「リナ。行って来る」
そして車が走り出し、その後を何台もののバイクがエンジンを蒸かして出て行く。
黒い特攻服の黒龍。
赤い特攻服の青薔薇。
白い特攻服のWHITE ANGLE。
青い特攻服のBAD BLOOD。
その4色の特攻服が倉庫から姿を消した。
「凄ぇ…」
目をキラキラとさせて走り去ったバイクや車を見ている浩介。そんな浩介に呆れて「うぜぇ」と言ってやった。
「なんだよ、かっこいいじゃねーか」
「煩せぇ」
理菜はそう言って倉庫の2階に上がっていく。
「でもなんで繁華街に行っちゃダメなんだろな」
浩介は呟くように言いながら、階段を上ってくる。
「リナ。お前なんか聞いてねーか?」
「なにが」
「ここにいろって言ったワケ」
「聞いてない」
振り向かないで理菜は答える。
「アキ、お前は?」
「知らない」
理菜たちは何も聞かされてない。
言う必要がないってことだ。
言う必要がないってくらい、分かってた。
でもそれが理菜を寂しくさせる。
言う必要がないくらいの存在……。
そう言われてる気がした。
遠くでバイクの音が聞こえてくる。そのバイクを追いかけるようにパトカーのサイレンが鳴り響いていた。
その音を聞いて、もしかして良樹たちが追いかけられてるんじゃないかと、気が気じゃなかった。
「パトカー、凄ぇ……」
浩介がその音を聞いて呟いた。この近くにも潜んでいるんじゃないかというくらい、たくさんの音が響いている。
バイクの音。
パトカーの音。
そのふたつの音が夜中の街に鳴り響いていた。
暫くその音を聞いていたけど、その音が遠くにいって聞こえなくなった。
「どこまで行ったんだろうな」
部屋の中で呟いた浩介に亜紀は笑う。
「あたしたちがここにいろって意味、なんとなく分かったかも」
「あ?」
「だって、危険じゃん」
「危険?」
「パトカーに追いかけられてるんじゃん」
亜紀の話を聞いてなんとなく分かった。
「だけど、繁華街は」
「繁華街も一緒だよ。暴走連合のヤツら、みんな出張ってていないからじゃない?」
理菜はそう言った。
誰もいない場所に、理菜たちを置いとくワケにはいかねぇっていう黒龍幹部の考え。
「あー……。そうか」
浩介も納得しない感じで呟くように言うと、倉庫の入り口の方を見て「俺も行きてぇ」と言った。だけど、良樹も駿壱も浩介を連れていくことはしないだろう。
倉庫の中は静か。
黒龍の面々がいないこの倉庫は静かでイヤだった。
3人で他愛もない話をしてはいるけど、それが途切れてしまう。
だから理菜はソファーに寝転んでいた。向かいのソファーには亜紀が座ってマンガを読んでいて、浩介は階下に行って何か弄って遊んでいる。
音が倉庫内に響いている。
浩介が何かする度に、2階のこの部屋にまで音が響いてる。
耳をすませて、バイクの音や車の音を聞いていたけど、どれも黒龍系列のじゃないって分かる。
一般の車両の音しか聞こえない。
──早く帰って来ないかな。
──早く顔を見たい。
理菜はソファーに寝転んだままそう思っていた。
(掴まったりしてないよね……?)
不安が押し寄せてくる中、亜紀がこっちを見て言った。
「ねぇ」
マンガから目を離し、理菜に声をかけてくる。理菜は亜紀の方を見ないで、天井を見ている。
「行く前、ヨシキさんあんたに言ったね」
「ん?」
「行ってくるって」
「うん」
「なんか、そういうのっていいね」
亜紀が言ってる意味が分からなかった。だから顔だけを亜紀に向けて、顔色を伺った。
「あたし、家でも言ったことない。言われたこともない」
その言葉の意味を知って、理菜は唖然とした。いくらなんでも、そこまで亜紀の家が荒れてるなんて思わなかった。
「いいね。リナの周り」
「へ?」
「だってさ、家では遅くに出て行ってもおばさんは言うだろ。行ってらっしゃいって。さっきだってヨシキさんが言ってたしさ」
亜紀の顔が沈んでいるのは、この静けさの所為かもしれない。普段、亜紀は自分のことはあまり話さない。ましてやそれが自分の家のこととなると、頑なになって話さない。
亜紀が今、こうして話しているのはこんな場所で静かな空間にいるから。
「アキ」
理菜は起き上がって亜紀を見た。
「あのね……」
何かを言おうとした。
その何かを言おうとした時、外から聞こえて来た数台のバイクと車の音。
その音に反応して亜紀は部屋から出て行く。理菜もそれに続いて部屋を出て行く。
倉庫の入り口では浩介が、目をキラキラさせて帰って来た人を出迎えていた。
帰って来たのは良樹とヒデ。百合にアキラ。
それぞれの車を運転していた人。数人のバイクの人。
ヒデはWHITE ANGLEのリーダー。良樹たちの中学時代の同級生。
BAD BLOODのリーダーはアキラ。百合と同じ年の良樹たちの同級生。一年ダブってる。
「お帰りなさい!」
浩介が逸早くそう言うと、良樹は「ああ」とだけ言う。
「お兄ちゃんは?」
理菜は良樹にそう聞くと「まだ走ってる」と言った。
「撒いてから来る」
それがパトカーを撒くってことだって分かった。一樹もいないってことは囮になってるのかもしれない。
「じゃ、ヨシキ。俺は帰るぞ」
ヒデはそう言うと、振り返り「またな」と言った。アキラも少し話をしただけで帰っていく。
百合は何も言わずに、階段を上り部屋の中に入って行った。
「姉貴」
そんな百合に低い声を出すと、百合は振り返って「シュンイチを待つ」と言った。
百合は駿壱が、本当に好きなんだって思った。だからここで駿壱を待ってるのかもしれない。
「繁華街に行ってねぇだろうな」
理菜たちに振り返った良樹は、確認するように聞いてきた。
「行ってない」
「そっか」
「ヨシキさん。なんでダメだったんすか」
浩介はそう言うと、理菜と亜紀が考えてたことと同じ答えが帰って来た。
「誰もいねーから。暴走連合のヤツ、出張ってていねぇから」
浩介もそれに納得して、良樹の傍に行き頼んでいた。
「次、俺も連れて行ってくださいよー」
「ダメだ」
「行きたいっす」
「ダメだ」
そのやり取りをずっと聞いていたら、良樹のバイクに乗った一樹が滑り込んで来た。
「ヨシキ!」
バイクから降りると同時に、大声を出した一樹が尋常じゃない。何があったのかって顔を伺う。
「ジュンヤたちがパクられた!」
その言葉に良樹の顔色が変わった。一樹の声に、2階から百合が顔を出して降りてくる。
「カズキ!他にはっ!?」
「他は分からねーけど、青薔薇も数人パクられた。BBもWAも」
その言葉に良樹はため息を吐く。
「無茶すんなってつってんのに」
「とりあえず、お前らが無事で良かった」
一樹はそう言うと、この場に駿壱がまだいないってことを確認した。
「まだか?」
一樹の言葉が、駿壱のことを言ってるんだって分かる。駿壱がまだ帰って来ていない。
それが心配で不安になる。
それに気付いているのか、良樹は理菜の頭に手を置いて「大丈夫だ」と言う。
「アイツなら大丈夫だ」
何が大丈夫なのか分からない。
理菜はここにまだ駿壱がいないことが不安で仕方ない。。駿壱も捕まったのかって思うと不安になった。
だから良樹の顔を見上げていた。
「平気だ。アイツは捕まらねぇよ」
「でも……」
「シュンはバイクに乗ったら無敵だぞ」
「たまにドジ踏むけどな」
一樹がそう笑いながら言う。
なんでそんなに平気な顔をしているのか、理菜には分からなかった。
ヴォン……ヴォン……!
遠くでバイクの音が響いた。
そして倉庫の前で停まり、降りてくる人影。
理菜はその人影が誰か分かっていた。ここにいたみんなが分かっていた。
「ただいま」
心配そうにしていたんだと思う。だから駿壱は、理菜と目線を合わせてそう言った。
頭に手を置いてクシャとして、理菜の頬をつまむ。
「何すんのよ」
「泣きそうな顔してっから」
「してない」
「してる」
「してないもん」
そのやり取りをみんなが見てて笑っていた。
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