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第1章
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その後。シュンイチとヨシキはバイクで出掛けていった。
(お兄ちゃん、帰って来ないな……)
バイクが去る音を聞いてリナはそう感じた。
今日はこの家にひとりだ。
母親は相変わらず仕事一筋でなかなか帰って来れない。それを分かっているリナはこうしてひとりでいることに慣れている。
リビングに行くとなんだか寂しさが込み上げてくる。テレビをつけてたいして面白くもないバラエティー番組を観る。
だけどその内容は頭には入ってこない。
ポツポツと、窓に当たる音がした。窓を見ると雨が降り始めていた。その雨は段々と強くなっていく。
(嫌だな……)
リナは雨が嫌いだった。雨の日にこうしてひとり、家の中にいることが嫌で嫌で仕方なかった。
ゴロゴロ……ッ!
遠くで雷が鳴り出す。その音を聞くたびにビクッと身体を震わせた。
リナの苦手なもののひとつに、雷雨があった。特に雷はとても苦手だった。
リビングのソファーに、耳を塞ぎながら座るリナは、小さな子供のように震えていた。
◆◆◆◆◆
シュンイチはヨシキの家にいた。正確にはヨシキたちの家だ。その2階の奥のユリの部屋で、ユリと抱き合っていた。
ゴロゴロ……ッ!
その音を聞いたシュンイチはユリから離れた。
「どうしたの?」
「雷……」
「うん。雨、凄く降ってきたし」
「リナが、ひとりだ」
窓の外を見たシュンイチは、慌てて部屋を飛び出る。
ドタドタ……と、階段を降りてリビングに行くとヨシキがテレビを観ていた。自分の部屋で観ていればいいもの、ユリとシュンイチがイチャついてるのを聞きたくなかったからだった。
「シュンイチ。帰るのか?」
ヨシキはシュンイチを見ると頷く。
「姉貴、ほっといて?」
階段を降りてきたユリは機嫌が悪そうにこっちを見ていた。
「リナが……、ひとりなんだよ」
「だから?」
「アイツ、雷ダメなんだよ。ひとりにしておけない」
それを聞いたヨシキは、テーブルに置いたキーを取った。
「オレが行ってやる」
「え?」
「姉貴、なんとかしろ」
振り返ると怒ってるユリがシュンイチを見ている。
「この前も姉貴との約束、すっぽかしたんだろ。機嫌取っておけよ」
そう言うと雨の中、外に出ていった。
(ほんと、酷いな……)
空を見上げたヨシキはバイクのエンジンをかけ、シュンイチの家まで走らせる。
視界が悪くなるほどの雷雨。いつもならもっとスピードを上げるが、雨のせいでゆっくりになる。それでもリナの為に速く走らなきゃと、気持ちが焦る。
暫く走ると、秋月家が見えた。他の家とは違い、スタイリッシュな家だ。その家の門を開け、バイクを中へ入れる。インターフォンを鳴らしリナが出てくるのを待った。
だが、リナはなかなか出てきてはくれなかった。
(仕方ない)
スマホを取り出し、電話をかけた。
何度か呼び鈴が鳴った後に、リナの怯えた声がした。
『……はい……』
その声からは本当に怖いのだと感じ取れた。
「ヨシキだけど、今、外にいる。玄関開けて」
そう言うと電話を切る。
少しして玄関のドアが開いた。そこには怯えて震えてる子猫のようなリナが立っていた。
(お兄ちゃん、帰って来ないな……)
バイクが去る音を聞いてリナはそう感じた。
今日はこの家にひとりだ。
母親は相変わらず仕事一筋でなかなか帰って来れない。それを分かっているリナはこうしてひとりでいることに慣れている。
リビングに行くとなんだか寂しさが込み上げてくる。テレビをつけてたいして面白くもないバラエティー番組を観る。
だけどその内容は頭には入ってこない。
ポツポツと、窓に当たる音がした。窓を見ると雨が降り始めていた。その雨は段々と強くなっていく。
(嫌だな……)
リナは雨が嫌いだった。雨の日にこうしてひとり、家の中にいることが嫌で嫌で仕方なかった。
ゴロゴロ……ッ!
遠くで雷が鳴り出す。その音を聞くたびにビクッと身体を震わせた。
リナの苦手なもののひとつに、雷雨があった。特に雷はとても苦手だった。
リビングのソファーに、耳を塞ぎながら座るリナは、小さな子供のように震えていた。
◆◆◆◆◆
シュンイチはヨシキの家にいた。正確にはヨシキたちの家だ。その2階の奥のユリの部屋で、ユリと抱き合っていた。
ゴロゴロ……ッ!
その音を聞いたシュンイチはユリから離れた。
「どうしたの?」
「雷……」
「うん。雨、凄く降ってきたし」
「リナが、ひとりだ」
窓の外を見たシュンイチは、慌てて部屋を飛び出る。
ドタドタ……と、階段を降りてリビングに行くとヨシキがテレビを観ていた。自分の部屋で観ていればいいもの、ユリとシュンイチがイチャついてるのを聞きたくなかったからだった。
「シュンイチ。帰るのか?」
ヨシキはシュンイチを見ると頷く。
「姉貴、ほっといて?」
階段を降りてきたユリは機嫌が悪そうにこっちを見ていた。
「リナが……、ひとりなんだよ」
「だから?」
「アイツ、雷ダメなんだよ。ひとりにしておけない」
それを聞いたヨシキは、テーブルに置いたキーを取った。
「オレが行ってやる」
「え?」
「姉貴、なんとかしろ」
振り返ると怒ってるユリがシュンイチを見ている。
「この前も姉貴との約束、すっぽかしたんだろ。機嫌取っておけよ」
そう言うと雨の中、外に出ていった。
(ほんと、酷いな……)
空を見上げたヨシキはバイクのエンジンをかけ、シュンイチの家まで走らせる。
視界が悪くなるほどの雷雨。いつもならもっとスピードを上げるが、雨のせいでゆっくりになる。それでもリナの為に速く走らなきゃと、気持ちが焦る。
暫く走ると、秋月家が見えた。他の家とは違い、スタイリッシュな家だ。その家の門を開け、バイクを中へ入れる。インターフォンを鳴らしリナが出てくるのを待った。
だが、リナはなかなか出てきてはくれなかった。
(仕方ない)
スマホを取り出し、電話をかけた。
何度か呼び鈴が鳴った後に、リナの怯えた声がした。
『……はい……』
その声からは本当に怖いのだと感じ取れた。
「ヨシキだけど、今、外にいる。玄関開けて」
そう言うと電話を切る。
少しして玄関のドアが開いた。そこには怯えて震えてる子猫のようなリナが立っていた。
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