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ふたりでいると、どうもダラダラとしてしまう休日になる。菜々美は小説をしなきゃいけないのに、翔といる休日はこうしてダラダラと過ごしてしまう。
休日だから別にいいんだけど、今まではそんなことなかったことだから、こういう時の感情が現せられないのだ。
「菜々美」
昨夜の醜態を晒してしまったことが、とても恥ずかしくてまともに顔を見ることが出来ない。
だけど翔がいてくれたお陰で自傷行為をしないで済んだのかもしれない。
菜々美は手首を隠してる。
再会したのが、真夏じゃなかったからずっと隠してこれた。
身体を重ねた時も、どうにか気付かれずにいたのかもしれない。
菜々美の手首には古い傷痕が残っているのだ──……。
手首に触れ、覚悟したように翔に振り返る。翔はリビングのソファーに向かっていた。
「翔……っ!」
後ろから翔に抱き付いた。顔を見ることは出来なかったから、こうするしかなかった。
「菜々美……?」
菜々美の顔を見ようとするが、背中越しに顔を隠している。
腕は翔のお腹の方で組まれていた。その手に触れると、手首の傷痕に気付いた。
「菜々美……。この傷………」
古い傷だということは翔にだって分かっていた。最近のものじゃないと。
菜々美の腕を解き、自分の方に向かせる。ソファーに座らせ、顔を見た。
不安げしている菜々美が、翔から目線を外していた。
ポンと頭に手を置き、自分に引き寄せる。背中を擦っては落ち着かせる。
子供にしてやるように優しく……。
「……ごめんなさい」
ポツリと呟くように謝る菜々美に、「何が?」と答える。
翔の腕の中にすっぽりと治まったまま、ゆっくりと話し出す。
養父のこと。弟のこと。
養父と弟から受けてきてる仕打ち。それに対して母親は何も出来ない。
震える身体で話していた。
そしていつの頃からか、自傷行為をするようになっていたこと。
「菜々美」
抱き締めて大丈夫というように菜々美を落ち着かせようとする。
自分の気持ちを抑えることが出来なくなった菜々美は、子供のように泣きじゃくってしまっていた──……。
「受け止めてあげるよ。おれが全て……」
休日だから別にいいんだけど、今まではそんなことなかったことだから、こういう時の感情が現せられないのだ。
「菜々美」
昨夜の醜態を晒してしまったことが、とても恥ずかしくてまともに顔を見ることが出来ない。
だけど翔がいてくれたお陰で自傷行為をしないで済んだのかもしれない。
菜々美は手首を隠してる。
再会したのが、真夏じゃなかったからずっと隠してこれた。
身体を重ねた時も、どうにか気付かれずにいたのかもしれない。
菜々美の手首には古い傷痕が残っているのだ──……。
手首に触れ、覚悟したように翔に振り返る。翔はリビングのソファーに向かっていた。
「翔……っ!」
後ろから翔に抱き付いた。顔を見ることは出来なかったから、こうするしかなかった。
「菜々美……?」
菜々美の顔を見ようとするが、背中越しに顔を隠している。
腕は翔のお腹の方で組まれていた。その手に触れると、手首の傷痕に気付いた。
「菜々美……。この傷………」
古い傷だということは翔にだって分かっていた。最近のものじゃないと。
菜々美の腕を解き、自分の方に向かせる。ソファーに座らせ、顔を見た。
不安げしている菜々美が、翔から目線を外していた。
ポンと頭に手を置き、自分に引き寄せる。背中を擦っては落ち着かせる。
子供にしてやるように優しく……。
「……ごめんなさい」
ポツリと呟くように謝る菜々美に、「何が?」と答える。
翔の腕の中にすっぽりと治まったまま、ゆっくりと話し出す。
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震える身体で話していた。
そしていつの頃からか、自傷行為をするようになっていたこと。
「菜々美」
抱き締めて大丈夫というように菜々美を落ち着かせようとする。
自分の気持ちを抑えることが出来なくなった菜々美は、子供のように泣きじゃくってしまっていた──……。
「受け止めてあげるよ。おれが全て……」
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