19 / 50
19
しおりを挟む
「ん………」
寝返りを打つ菜々美の身体を、ぎゅっと抱き締める翔に気付き、目を開ける。翔が菜々美を優しい目で見ていた。
「あ……っ」
顔が真っ赤になるのは、昨夜の事を思い出してしまったから。
「おはよう」
「……おはよう」
思わず布団で顔を隠す。布団の中に潜ってしまった菜々美は、更に顔を赤くする。自分自身も翔も何も着けていない状態だったから。
「菜々美」
菜々美を抱き寄せる翔は、背中にキスをする。
「………っ!」
その行動ひとつひとつに身体が反応する。
「身体、大丈夫?」
「え」
「初めだったろ。……痛いよな」
それに対して何も答えることが出来ない。菜々美のことを分かってるかのように頭を撫でる。
「くくくっ……」
声を出して笑う翔を不思議そうに見る。
「お前、その容姿と性格が合ってないから」
「え?」
「容姿は凄ぇ大人のセクシーなお姉さん。でも中身は全然まだ子供」
「なに、それっ」
「くくく……っ」
「もう、翔っ!」
ベッドの中でじゃれ合うふたりは、長い付き合いのカップルのようだった。
だけど実際はまだ付き合い出して1ヶ月。再会してからまだ2ヶ月なのだ。
◇◇◇◇◇
キッチンで毎朝の珈琲を入れる菜々美を、ダイニングテーブルの椅子に座りながら見る翔。
菜々美の行動の全てが、可愛いと感じていた。
普段の菜々美は本当にクールなイメージ。だけど実際はそうではない。そのギャップに翔はやられていた。
「今日、仕事は?」
菜々美に言うと珈琲を入れたカップを持ってダイニングテーブルにまでやってくる。
「締め切り、まだ先だけど……」
そう言う菜々美にニコッと笑う。
「じゃ、デートしよ」
「え?」
「映画にでも行こう!」
菜々美はビックリして目を丸くする。デートなんて、想像もつかない。
「えっと……」
顔を真っ赤にして言葉に詰まる。そんな姿を見て翔は気付く。
「もしかして、デートもしたことない?」
菜々美は誤魔化すように珈琲を飲んだ。
「じゃ行こ」
テーブルに肘を付き、いたずらっ子のような笑顔を向ける。その笑顔から顔を逸らせない。
「おれ、一回帰るな。着替えたい」
そう言って立ち上がり、菜々美に近寄りキスをする。
ちゅ……と音を立ててするキスは、なんだかとてもエッチだ。
すっと菜々美から離れた翔は「後で連絡する」と言い、マンションを出ていった。
翔がいなくなったマンションにポツンと残された菜々美は、両手で顔を隠していた。
(恥ずかしい……)
昨夜あんなことをしておいて、今度はデート?と頭の中が混乱状態だった。それでも菜々美の初めてを一瞬にやっていこうという翔に、菜々美はなんだかあったかい気持ちになっていた。
寝返りを打つ菜々美の身体を、ぎゅっと抱き締める翔に気付き、目を開ける。翔が菜々美を優しい目で見ていた。
「あ……っ」
顔が真っ赤になるのは、昨夜の事を思い出してしまったから。
「おはよう」
「……おはよう」
思わず布団で顔を隠す。布団の中に潜ってしまった菜々美は、更に顔を赤くする。自分自身も翔も何も着けていない状態だったから。
「菜々美」
菜々美を抱き寄せる翔は、背中にキスをする。
「………っ!」
その行動ひとつひとつに身体が反応する。
「身体、大丈夫?」
「え」
「初めだったろ。……痛いよな」
それに対して何も答えることが出来ない。菜々美のことを分かってるかのように頭を撫でる。
「くくくっ……」
声を出して笑う翔を不思議そうに見る。
「お前、その容姿と性格が合ってないから」
「え?」
「容姿は凄ぇ大人のセクシーなお姉さん。でも中身は全然まだ子供」
「なに、それっ」
「くくく……っ」
「もう、翔っ!」
ベッドの中でじゃれ合うふたりは、長い付き合いのカップルのようだった。
だけど実際はまだ付き合い出して1ヶ月。再会してからまだ2ヶ月なのだ。
◇◇◇◇◇
キッチンで毎朝の珈琲を入れる菜々美を、ダイニングテーブルの椅子に座りながら見る翔。
菜々美の行動の全てが、可愛いと感じていた。
普段の菜々美は本当にクールなイメージ。だけど実際はそうではない。そのギャップに翔はやられていた。
「今日、仕事は?」
菜々美に言うと珈琲を入れたカップを持ってダイニングテーブルにまでやってくる。
「締め切り、まだ先だけど……」
そう言う菜々美にニコッと笑う。
「じゃ、デートしよ」
「え?」
「映画にでも行こう!」
菜々美はビックリして目を丸くする。デートなんて、想像もつかない。
「えっと……」
顔を真っ赤にして言葉に詰まる。そんな姿を見て翔は気付く。
「もしかして、デートもしたことない?」
菜々美は誤魔化すように珈琲を飲んだ。
「じゃ行こ」
テーブルに肘を付き、いたずらっ子のような笑顔を向ける。その笑顔から顔を逸らせない。
「おれ、一回帰るな。着替えたい」
そう言って立ち上がり、菜々美に近寄りキスをする。
ちゅ……と音を立ててするキスは、なんだかとてもエッチだ。
すっと菜々美から離れた翔は「後で連絡する」と言い、マンションを出ていった。
翔がいなくなったマンションにポツンと残された菜々美は、両手で顔を隠していた。
(恥ずかしい……)
昨夜あんなことをしておいて、今度はデート?と頭の中が混乱状態だった。それでも菜々美の初めてを一瞬にやっていこうという翔に、菜々美はなんだかあったかい気持ちになっていた。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】
まぁ
恋愛
ワイン、ホテルの企画業務など大人の仕事、そして大人に切り離せない恋愛と…
「Ninagawa Queen's Hotel」
若きホテル王 蜷川朱鷺
妹 蜷川美鳥
人気美容家 佐井友理奈
「オークワイナリー」
国内ワイナリー最大手創業者一族 柏木龍之介
血縁関係のない兄妹と、その周辺の何角関係…?
華やかな人々が繰り広げる、フィクションです。


【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる