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目覚めると外は明るくなっていた。
菜々美はしっかりと翔に抱きかかえられたままだった。
「中山くん……」
目の前に翔がいる。翔と一緒のベッドにいて、目覚めると隣に翔のぬくもりがある。
そのことがどんなに恥ずかしいことか……。
菜々美にとってはこの状況に頭がついていかない。
「……菜々美」
うっすらと目を開けた翔が、菜々美をもう一度抱き直す。
「中山……くん……」
顔を真っ赤にして、翔のぬくもりを感じている。
「もう少し……だけ………」
翔はそう言って再び目を閉じた。
目の前に眠る翔がいること。その翔に抱きしめられてること。
高校生の菜々美が知ったらきっと驚くことだろう。大人の菜々美でさえ、驚きな出来事なのだから。
◇◇◇◇◇
昼過ぎになって、ようやくふたりはベッドから起き上がった。あのまま翔のぬくもりで菜々美も眠ってしまっていた。そのせいなのか、目覚めるのが遅くなってしまった。
(こんな時間まで眠るなんて初めてかもしれない)
菜々美は寝ることを惜しんで本を読んだり書いたりしている人だから、珍しいことだった。
「菜々美」
すっきりとした顔の翔が菜々美の方を見ていた。
「おはよ」
「おはよ……て、もう昼なんだけど」
「あははっ。ま、いいじゃないか」
そう言って菜々美を抱きしめる。
「もうっ!ずっとそうやって抱きしめてくるー!」
「嫌?」
「嫌……ていうか………」
どう反応したらいいのか分からない。誰かに抱きしめられたことなんかないから、どうしたらいいのか正解が分からない。
翔はそんな菜々美に気付きもしない。
「お腹、空かない?」
翔は菜々美を抱いたまま言う。
「なんか作る?」、
「お。いいねー」
「じゃ、離れて」
渋々と離れた翔はソファーに座った。
菜々美はテレビのスイッチをつけて、ソファーの前にあるローテーブルに置いた。そしてキッチンへ向かって冷蔵庫を開ける。
菜々美の家の冷蔵庫はふたつある。ひとつはお酒しか入ってない小さな冷蔵庫。ひとつは食材が入ってる大きめの冷蔵庫。
大きめの冷蔵庫を開け、きのこ類や玉ねぎを出した。大きめの鍋にお湯を沸かしてパスタを茹でる。ゆでてる間に玉ねぎときのこ類を切って一緒に炒める。
菜々美が作ってるのは和風パスタだった。菜々美はあまり料理が得意ではない。和風パスタは菜々美がまともに作れる料理の中のひとつだった。
「んっ。旨い」
目の前でそう言うと翔に菜々美は照れる。まさか自分が作った料理を、誰かが食べて褒めてくれる日が来るなんて思わなかった。
「私、料理下手なのよ」
「でもこれ、旨いよ」
ニコッと笑う翔。その笑顔に菜々美は心があたたまる気がした。
菜々美はしっかりと翔に抱きかかえられたままだった。
「中山くん……」
目の前に翔がいる。翔と一緒のベッドにいて、目覚めると隣に翔のぬくもりがある。
そのことがどんなに恥ずかしいことか……。
菜々美にとってはこの状況に頭がついていかない。
「……菜々美」
うっすらと目を開けた翔が、菜々美をもう一度抱き直す。
「中山……くん……」
顔を真っ赤にして、翔のぬくもりを感じている。
「もう少し……だけ………」
翔はそう言って再び目を閉じた。
目の前に眠る翔がいること。その翔に抱きしめられてること。
高校生の菜々美が知ったらきっと驚くことだろう。大人の菜々美でさえ、驚きな出来事なのだから。
◇◇◇◇◇
昼過ぎになって、ようやくふたりはベッドから起き上がった。あのまま翔のぬくもりで菜々美も眠ってしまっていた。そのせいなのか、目覚めるのが遅くなってしまった。
(こんな時間まで眠るなんて初めてかもしれない)
菜々美は寝ることを惜しんで本を読んだり書いたりしている人だから、珍しいことだった。
「菜々美」
すっきりとした顔の翔が菜々美の方を見ていた。
「おはよ」
「おはよ……て、もう昼なんだけど」
「あははっ。ま、いいじゃないか」
そう言って菜々美を抱きしめる。
「もうっ!ずっとそうやって抱きしめてくるー!」
「嫌?」
「嫌……ていうか………」
どう反応したらいいのか分からない。誰かに抱きしめられたことなんかないから、どうしたらいいのか正解が分からない。
翔はそんな菜々美に気付きもしない。
「お腹、空かない?」
翔は菜々美を抱いたまま言う。
「なんか作る?」、
「お。いいねー」
「じゃ、離れて」
渋々と離れた翔はソファーに座った。
菜々美はテレビのスイッチをつけて、ソファーの前にあるローテーブルに置いた。そしてキッチンへ向かって冷蔵庫を開ける。
菜々美の家の冷蔵庫はふたつある。ひとつはお酒しか入ってない小さな冷蔵庫。ひとつは食材が入ってる大きめの冷蔵庫。
大きめの冷蔵庫を開け、きのこ類や玉ねぎを出した。大きめの鍋にお湯を沸かしてパスタを茹でる。ゆでてる間に玉ねぎときのこ類を切って一緒に炒める。
菜々美が作ってるのは和風パスタだった。菜々美はあまり料理が得意ではない。和風パスタは菜々美がまともに作れる料理の中のひとつだった。
「んっ。旨い」
目の前でそう言うと翔に菜々美は照れる。まさか自分が作った料理を、誰かが食べて褒めてくれる日が来るなんて思わなかった。
「私、料理下手なのよ」
「でもこれ、旨いよ」
ニコッと笑う翔。その笑顔に菜々美は心があたたまる気がした。
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