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「あ……っ、ん……っ」
唇を重ねる翔は、ゆっくりと菜々美をベッドに沈めていく。
「しょ、翔……。ま、待って………」
「大丈夫だから」
「あ、あの……そうじゃなくて、あの……」
「ん?」
なんとか回避出来ないものかと考えてみるが、それは無理そうだった。
(嫌……なわけじゃない。ただ、勇気がないだけ)
ギュッと手を握りしめる。
「菜々美」
その手を上から握る翔に、はっとする。
(気付いてる……?)
菜々美が震えてること。緊張なのか怖さなのか分からないけど、微かに震えてる。それに翔は気付いているのだ。
必死に堪えていた。隠していたことに翔は気付いてる。
「菜々美……」
菜々美が落ち着くまで、自分の方に抱き寄せる。右手は背中を擦ってる。
「………翔」
「ん」
何を言っていいのか思い付かず、ただ翔に身を委せていた。
「落ち着いた?」
コクンと頷くと、菜々美の頭を撫でる。
「少しずつ……、おれに慣れて?」
「え」
「そりゃ今すぐにでもお前を抱きたい。お前とセックスしたい。けど、怖がらせたいわけじゃないから」
さっきはあんなこと言っておいて、結局は菜々美を一番に考えてくれる。
「こうしてるだけでもいいんだ」
耳元で囁く翔に、菜々美は何をしてあげられるだろうと考えていた。
菜々美のことを想って、菜々美の為にこうしてるだけでいいと言ってくれる。
本当はセックスしたいだろうに……。
そのまま眠ってしまった翔の寝顔を見てると、なんだか申し訳ない気持ちになる。
私が未経験なばかりに先に踏み切れないでいるから。私に気を遣わせてばかりいる。
それが申し訳ないと思う。
だからと言って、自分に覚悟が出来てるのかと言ったらそれが分からないでいる。
24にもなって情けない。
好きな人なのは確か。翔とキスをしたり抱き合ったり、そんなことをしても嫌な気持ちにはならない。だからきっと、セックスしたって嫌だとは思わない。それなのに、踏ん切りがつかない自分が情けなくなってくる。
そっと寝室を抜け出す。
仕事部屋に入るとダンボールに目がいく。
そもそもセックスってどんなことをするの?
なんでそんなことをするの?
しなきやダメなの?
頭の中は混乱でいっぱいだった。
ダンボールの中身を覗くと、目を覆いたくなるような代物がギッシリと詰まってる。
何本、DVDを送って来たのだろう。そもそもこの玩具って何?と頭の中がぐちゃぐちゃだった。
《私はどうすればいいの?》
かよにメッセージを送る。何事かとかよから返事が入る。
《なんかあったの?》
それに対して翔が来てること、翔が自分とセックスをしたいと思ってること。自分のせいでそれが出来ないこと。どうすればいいのか分からないことを送っていた。
~♪~♪~♪~
まどろっこしくなったのか、電話が入る。
『もう、面倒くさいわ』
呆れたかよは、ため息交じりに言う。
『好きな人と触れたいって思うでしょ』
「うん」
『ならその気持ちのままに行動していいと思うよ。あとは中山くんがなんとかしてくれるよ』
「かよ……」
『大丈夫。自分の気持ちをそのまま伝えればいいんだよ』
そう言ってかよは電話を切った。
スマホを握りしめて見つめる菜々美は、何かを考えていた。
そしてスマホを仕事机に置いて寝室へと戻っていった。
唇を重ねる翔は、ゆっくりと菜々美をベッドに沈めていく。
「しょ、翔……。ま、待って………」
「大丈夫だから」
「あ、あの……そうじゃなくて、あの……」
「ん?」
なんとか回避出来ないものかと考えてみるが、それは無理そうだった。
(嫌……なわけじゃない。ただ、勇気がないだけ)
ギュッと手を握りしめる。
「菜々美」
その手を上から握る翔に、はっとする。
(気付いてる……?)
菜々美が震えてること。緊張なのか怖さなのか分からないけど、微かに震えてる。それに翔は気付いているのだ。
必死に堪えていた。隠していたことに翔は気付いてる。
「菜々美……」
菜々美が落ち着くまで、自分の方に抱き寄せる。右手は背中を擦ってる。
「………翔」
「ん」
何を言っていいのか思い付かず、ただ翔に身を委せていた。
「落ち着いた?」
コクンと頷くと、菜々美の頭を撫でる。
「少しずつ……、おれに慣れて?」
「え」
「そりゃ今すぐにでもお前を抱きたい。お前とセックスしたい。けど、怖がらせたいわけじゃないから」
さっきはあんなこと言っておいて、結局は菜々美を一番に考えてくれる。
「こうしてるだけでもいいんだ」
耳元で囁く翔に、菜々美は何をしてあげられるだろうと考えていた。
菜々美のことを想って、菜々美の為にこうしてるだけでいいと言ってくれる。
本当はセックスしたいだろうに……。
そのまま眠ってしまった翔の寝顔を見てると、なんだか申し訳ない気持ちになる。
私が未経験なばかりに先に踏み切れないでいるから。私に気を遣わせてばかりいる。
それが申し訳ないと思う。
だからと言って、自分に覚悟が出来てるのかと言ったらそれが分からないでいる。
24にもなって情けない。
好きな人なのは確か。翔とキスをしたり抱き合ったり、そんなことをしても嫌な気持ちにはならない。だからきっと、セックスしたって嫌だとは思わない。それなのに、踏ん切りがつかない自分が情けなくなってくる。
そっと寝室を抜け出す。
仕事部屋に入るとダンボールに目がいく。
そもそもセックスってどんなことをするの?
なんでそんなことをするの?
しなきやダメなの?
頭の中は混乱でいっぱいだった。
ダンボールの中身を覗くと、目を覆いたくなるような代物がギッシリと詰まってる。
何本、DVDを送って来たのだろう。そもそもこの玩具って何?と頭の中がぐちゃぐちゃだった。
《私はどうすればいいの?》
かよにメッセージを送る。何事かとかよから返事が入る。
《なんかあったの?》
それに対して翔が来てること、翔が自分とセックスをしたいと思ってること。自分のせいでそれが出来ないこと。どうすればいいのか分からないことを送っていた。
~♪~♪~♪~
まどろっこしくなったのか、電話が入る。
『もう、面倒くさいわ』
呆れたかよは、ため息交じりに言う。
『好きな人と触れたいって思うでしょ』
「うん」
『ならその気持ちのままに行動していいと思うよ。あとは中山くんがなんとかしてくれるよ』
「かよ……」
『大丈夫。自分の気持ちをそのまま伝えればいいんだよ』
そう言ってかよは電話を切った。
スマホを握りしめて見つめる菜々美は、何かを考えていた。
そしてスマホを仕事机に置いて寝室へと戻っていった。
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