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「それで?」
菜々美のマンションにやって来たかよが、同窓会で翔と消えたことに興味津々。いや、送っていくとは言ってたけど、かよはそれだけで済むわけないと思っていたのだ。
「何が」
「中山くんとなんかあった?」
「なにも」
「えーっ!嘘でしょ!」
大袈裟に叫ぶかよに呆れる。
(何かあるわけないじゃない)
元々、翔は菜々美のことはそんな風には見ていない。高校の時にそれは証明されている。
「もうっ、中山くんのことはもういいじゃないの」
そう言って菜々美は珈琲を片手に仕事部屋に向かった。
そんなかよも菜々美の後を追って仕事部屋に入る。
「で?書けそうなの?」
菜々美が行き詰まってることを知ってるかよは聞く。寄りによって、苦手な部分。恋愛小説なんか書いてるわりには経験がない菜々美。
経験がないことを話せばきっと回りは驚く。菜々美のその姿からしたら経験豊富に見えるから。
それが嫌だと、菜々美は思ってる。
「なんで菜々美のような人が、恋愛小説なんか書いてるんだろうねぇ」
かよは不思議だった。高校生の頃から知ってるが、そういう雰囲気になった人はいない。みんな菜々美を見て好意は寄せるが、相手がいるものと思い、その胸の内を打ち明けることなどない。
かよは傍にいたからそれをよく知っている。
「恋愛はおろか、エッチも未経験だもんねぇー」
面白おかしくかよに言われる。言い返すにもその通りだから無理もない。
セックスどころか、キスも未経験だから何も言えないのだ。
「もう、ほんとに茶化さないで。こっちは真剣なんだから」
「中山くんにお願いしてみればー?」
「な、な、な……っ!なんて事っ!」
言葉が出て来ない菜々美は、顔が真っ赤だ。
「うふふ。菜々美ってば可愛い~」
かよはますます笑う。
「かよっ!」
顔が真っ赤になってる菜々美は、恥ずかしくて顔を背けていた。
「菜々美ってば、ほんとそういうのダメね。そんなんで恋愛小説家なんてやってられるの?」
「そう言われたって……」
小説は所謂、妄想の世界。なんとでもなる。だが、嘘っぽいのはダメ。だから行き詰まってるのだ。
「ま、菜々美が頑張らないといけないよね。小説も恋愛も」
かよの言う通りだ。自分が頑張らないといけない。それは痛い程分かってる。
かよが帰った後、仕事部屋で籠ってる菜々美はいろんな場面を想定した文章を書いていた。
菜々美は場面を飛ばして書く癖がある。そしてそれを組み合わせてひとつの物語にしていくのだ。
だけど、肝心な場面は書けないでいる。
(これじゃ組み合わせられない)
今書いているのはちょっと大人な恋愛物で、そういう場面は飛ばせないのだ。
「ふぅ……」
ため息を吐いた菜々美は、珈琲を入れにキッチンへと向かう。
お湯を沸かしていると、テーブルに目がいく。ついこの前、そのテーブルに翔がいたことを思い出す。
連絡していいかと言われたが、あれ以来連絡はない。
電話がかかってくることを期待している訳ではないが、少なからずも待ってる自分もいることに気付く。それでも自分から何か行動を起こす勇気もなく時間だけが経っていく。
あれは社交辞令だなと思って忘れようとした頃、翔から電話が入った。
菜々美のマンションにやって来たかよが、同窓会で翔と消えたことに興味津々。いや、送っていくとは言ってたけど、かよはそれだけで済むわけないと思っていたのだ。
「何が」
「中山くんとなんかあった?」
「なにも」
「えーっ!嘘でしょ!」
大袈裟に叫ぶかよに呆れる。
(何かあるわけないじゃない)
元々、翔は菜々美のことはそんな風には見ていない。高校の時にそれは証明されている。
「もうっ、中山くんのことはもういいじゃないの」
そう言って菜々美は珈琲を片手に仕事部屋に向かった。
そんなかよも菜々美の後を追って仕事部屋に入る。
「で?書けそうなの?」
菜々美が行き詰まってることを知ってるかよは聞く。寄りによって、苦手な部分。恋愛小説なんか書いてるわりには経験がない菜々美。
経験がないことを話せばきっと回りは驚く。菜々美のその姿からしたら経験豊富に見えるから。
それが嫌だと、菜々美は思ってる。
「なんで菜々美のような人が、恋愛小説なんか書いてるんだろうねぇ」
かよは不思議だった。高校生の頃から知ってるが、そういう雰囲気になった人はいない。みんな菜々美を見て好意は寄せるが、相手がいるものと思い、その胸の内を打ち明けることなどない。
かよは傍にいたからそれをよく知っている。
「恋愛はおろか、エッチも未経験だもんねぇー」
面白おかしくかよに言われる。言い返すにもその通りだから無理もない。
セックスどころか、キスも未経験だから何も言えないのだ。
「もう、ほんとに茶化さないで。こっちは真剣なんだから」
「中山くんにお願いしてみればー?」
「な、な、な……っ!なんて事っ!」
言葉が出て来ない菜々美は、顔が真っ赤だ。
「うふふ。菜々美ってば可愛い~」
かよはますます笑う。
「かよっ!」
顔が真っ赤になってる菜々美は、恥ずかしくて顔を背けていた。
「菜々美ってば、ほんとそういうのダメね。そんなんで恋愛小説家なんてやってられるの?」
「そう言われたって……」
小説は所謂、妄想の世界。なんとでもなる。だが、嘘っぽいのはダメ。だから行き詰まってるのだ。
「ま、菜々美が頑張らないといけないよね。小説も恋愛も」
かよの言う通りだ。自分が頑張らないといけない。それは痛い程分かってる。
かよが帰った後、仕事部屋で籠ってる菜々美はいろんな場面を想定した文章を書いていた。
菜々美は場面を飛ばして書く癖がある。そしてそれを組み合わせてひとつの物語にしていくのだ。
だけど、肝心な場面は書けないでいる。
(これじゃ組み合わせられない)
今書いているのはちょっと大人な恋愛物で、そういう場面は飛ばせないのだ。
「ふぅ……」
ため息を吐いた菜々美は、珈琲を入れにキッチンへと向かう。
お湯を沸かしていると、テーブルに目がいく。ついこの前、そのテーブルに翔がいたことを思い出す。
連絡していいかと言われたが、あれ以来連絡はない。
電話がかかってくることを期待している訳ではないが、少なからずも待ってる自分もいることに気付く。それでも自分から何か行動を起こす勇気もなく時間だけが経っていく。
あれは社交辞令だなと思って忘れようとした頃、翔から電話が入った。
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