56 / 94
第3章
2
しおりを挟む
輝に言われた通りに、崇弘のマンションまでやってきた沙樹。高級マンションが建ち並ぶこの街は、何度か来てはいるがドキドキしてしまう。輝のマンションを通りすぎ、更に先の角を曲がると崇弘の住むマンションが見える。
何度か訪れたことのある崇弘のマンション。輝は、沙樹がここに何度も来ているとは想像もしていない。
「本当に気付いてないのかな」
崇弘のマンションを見上げて呟く。輝のマンションも凄いが、崇弘のマンションも凄い。
沙樹はマンションのエントランスに入り、輝から崇弘のマンションのロックナンバーが送られてきていた。
そのメッセージを見ながら心の中で知ってるよと呟く。
エレベーターに乗り、崇弘の部屋まで行く。今日はファンがいないのか、マンションの周りにも姿が見えなかった。
インターホンを鳴らすと、崇弘が顔を出した。
「いらっしゃい」
微かに笑う崇弘は、目配せをする。
(初めて来たようにしてって言ってるのかな)
輝にバレたら大変だからという顔をしていた。
「おっ。沙樹」
リビングからは真司が顔を出す。
「やっと来たか」
輝もそう言って沙樹を手招きする。輝が座るソファーまで行くと、隣に座るように促された。
言われるがままに隣に座った沙樹は、部屋の様子を見てびっくりしていた。
テーブルの上にいろんな料理が並び、ケーキも置いてあった。
「え?なに?」
「ここ最近はちゃんとやってやれなかったしな」
輝はそう言うと、沙樹の頭を撫でる。
テーブルの上にあるケーキには、【HAPPY BIRTHDAY】と書かれていた。
「え?え?え?」
「誕生日だろ」
自分の誕生日をすっかり忘れていた。沙樹は春休み中に誕生日が来る。いつもBRのメンバーたちにはこうしてお祝いしてくれる。
「沙樹ちゃん」
遅れてやって来た零士が抱えてる大きな袋。それを沙樹に渡す。
「れいちゃん」
袋を受け取り、満面の笑みを返す。
「みんなありがとう」
メンバーにとって、沙樹は大切な妹なのだ。
◇◇◇◇◇
「いつまでも子供扱いだな……」
輝の車に乗り自宅へと戻る沙樹は、ポツリと呟く。
「みんなお前がランドセル背負ってるの、知ってるからな」
小学校の時の沙樹を知ってるメンバーからすれば、いつまでも子供扱いしてしまうのは仕方ないのかもしれない。
(タカちゃんも今日は子供扱いしてたし……)
それでもみんなにお祝いしてもらえることは嬉しかったのだ。
「お兄」
運転してる輝に向かって話しかける。
「ありがと…ね」
照れたように言う沙樹に、輝は「ん」と頷いた。
何度か訪れたことのある崇弘のマンション。輝は、沙樹がここに何度も来ているとは想像もしていない。
「本当に気付いてないのかな」
崇弘のマンションを見上げて呟く。輝のマンションも凄いが、崇弘のマンションも凄い。
沙樹はマンションのエントランスに入り、輝から崇弘のマンションのロックナンバーが送られてきていた。
そのメッセージを見ながら心の中で知ってるよと呟く。
エレベーターに乗り、崇弘の部屋まで行く。今日はファンがいないのか、マンションの周りにも姿が見えなかった。
インターホンを鳴らすと、崇弘が顔を出した。
「いらっしゃい」
微かに笑う崇弘は、目配せをする。
(初めて来たようにしてって言ってるのかな)
輝にバレたら大変だからという顔をしていた。
「おっ。沙樹」
リビングからは真司が顔を出す。
「やっと来たか」
輝もそう言って沙樹を手招きする。輝が座るソファーまで行くと、隣に座るように促された。
言われるがままに隣に座った沙樹は、部屋の様子を見てびっくりしていた。
テーブルの上にいろんな料理が並び、ケーキも置いてあった。
「え?なに?」
「ここ最近はちゃんとやってやれなかったしな」
輝はそう言うと、沙樹の頭を撫でる。
テーブルの上にあるケーキには、【HAPPY BIRTHDAY】と書かれていた。
「え?え?え?」
「誕生日だろ」
自分の誕生日をすっかり忘れていた。沙樹は春休み中に誕生日が来る。いつもBRのメンバーたちにはこうしてお祝いしてくれる。
「沙樹ちゃん」
遅れてやって来た零士が抱えてる大きな袋。それを沙樹に渡す。
「れいちゃん」
袋を受け取り、満面の笑みを返す。
「みんなありがとう」
メンバーにとって、沙樹は大切な妹なのだ。
◇◇◇◇◇
「いつまでも子供扱いだな……」
輝の車に乗り自宅へと戻る沙樹は、ポツリと呟く。
「みんなお前がランドセル背負ってるの、知ってるからな」
小学校の時の沙樹を知ってるメンバーからすれば、いつまでも子供扱いしてしまうのは仕方ないのかもしれない。
(タカちゃんも今日は子供扱いしてたし……)
それでもみんなにお祝いしてもらえることは嬉しかったのだ。
「お兄」
運転してる輝に向かって話しかける。
「ありがと…ね」
照れたように言う沙樹に、輝は「ん」と頷いた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる