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第1章
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「はい、オッケーです!」
スタジオで雑誌の撮影をしていた崇弘は、楽屋に戻ると真っ先にスマホを手にした。沙樹からの連絡はないことに不安を感じる。
(俺がいけねぇんだよな)
分かっていても自分から電話をかけることが出来ないでいた。そんな崇弘の様子を零士は笑っていた。
「沙樹ちゃんとなんかあったか?」
肩に手を置き、耳元でからかう零士は心底面白そうに笑っていた。
「な、なにが……っ」
慌ててそう言うが、零士はニコニコと笑ってこっちを見ている。タバコに火をつけ崇弘に「知ってるよ」と言う。
「零士……」
「輝には言ってねぇ。言うと湊並みに怒り出すだろ」
今日の撮影は零士とふたりの撮影。他のメンバーはいなかった。元々仲のいい友達から始まったバンドだから、楽屋が別れていてもこうして集まってしまう。特に今日はふたりだから必然とこうやって片方の楽屋にいることになる。
零士は楽屋に置いてあるパイプ椅子に座ると、テーブルの上にある灰皿に灰を落とした。
「沙樹がお前に惚れてるのは知ってたよ。お前も必要以上に沙樹を構ってるから」
崇弘の沙樹への対応は、妹を扱う感じではないことを零士はいち早く気付いていたのかもしれない。
「零士。お前は凄ぇな」
「ん?」
「柚子が学校で知らない男と話しても平気な顔してただろ」
「平気じゃねぇよ。柚子と他の男が話してるの想像しただけで、相手の男をぶん殴りたくなる。必死で平気な顔してた」
グッと拳を握りしめる零士を見下ろしていた。
「今だって、家にいるはずの柚子が買い物とか出掛けて、そこで話しかけられたりするだろ。店員とかさ。想像したくねぇ」
仏頂面をする零士が面白くて、崇弘は笑う。
「お前……っ、店員と話しただけで嫉妬するんのかよっ。くくく……っ」
崇弘は可笑しくて笑いが止まらない。
「うるせぇよ、タカ」
「だってよ……ッ、ぷっ、あははッ!」
笑いが止まらない崇弘を見て、零士は不貞腐れる。そんな零士を見て、自分も一緒かと感じていた。
(俺も零士と一緒か……)
こんな思いを抱えるとは思ってもいなかった。自分は零士とは違うと。なのに、沙樹を誰にも取られたくない。誰にも触れられたくないと強く思った。
スタジオで雑誌の撮影をしていた崇弘は、楽屋に戻ると真っ先にスマホを手にした。沙樹からの連絡はないことに不安を感じる。
(俺がいけねぇんだよな)
分かっていても自分から電話をかけることが出来ないでいた。そんな崇弘の様子を零士は笑っていた。
「沙樹ちゃんとなんかあったか?」
肩に手を置き、耳元でからかう零士は心底面白そうに笑っていた。
「な、なにが……っ」
慌ててそう言うが、零士はニコニコと笑ってこっちを見ている。タバコに火をつけ崇弘に「知ってるよ」と言う。
「零士……」
「輝には言ってねぇ。言うと湊並みに怒り出すだろ」
今日の撮影は零士とふたりの撮影。他のメンバーはいなかった。元々仲のいい友達から始まったバンドだから、楽屋が別れていてもこうして集まってしまう。特に今日はふたりだから必然とこうやって片方の楽屋にいることになる。
零士は楽屋に置いてあるパイプ椅子に座ると、テーブルの上にある灰皿に灰を落とした。
「沙樹がお前に惚れてるのは知ってたよ。お前も必要以上に沙樹を構ってるから」
崇弘の沙樹への対応は、妹を扱う感じではないことを零士はいち早く気付いていたのかもしれない。
「零士。お前は凄ぇな」
「ん?」
「柚子が学校で知らない男と話しても平気な顔してただろ」
「平気じゃねぇよ。柚子と他の男が話してるの想像しただけで、相手の男をぶん殴りたくなる。必死で平気な顔してた」
グッと拳を握りしめる零士を見下ろしていた。
「今だって、家にいるはずの柚子が買い物とか出掛けて、そこで話しかけられたりするだろ。店員とかさ。想像したくねぇ」
仏頂面をする零士が面白くて、崇弘は笑う。
「お前……っ、店員と話しただけで嫉妬するんのかよっ。くくく……っ」
崇弘は可笑しくて笑いが止まらない。
「うるせぇよ、タカ」
「だってよ……ッ、ぷっ、あははッ!」
笑いが止まらない崇弘を見て、零士は不貞腐れる。そんな零士を見て、自分も一緒かと感じていた。
(俺も零士と一緒か……)
こんな思いを抱えるとは思ってもいなかった。自分は零士とは違うと。なのに、沙樹を誰にも取られたくない。誰にも触れられたくないと強く思った。
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