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第1章

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「……──え?」
 



 沙樹はベッドの中から崇弘を見る。沙樹を見下ろす崇弘から目が離せなくなっている。崇弘は沙樹の頭を撫でて笑ってる。
「おやすみ」
 そう言うと崇弘は立ち上がって部屋を出ていく。


「え……?」
 顔を真っ赤にした沙樹は布団を頭まで被った。



     ◇◇◇◇◇



 パタンと部屋のドアを閉めた崇弘の顔も真っ赤だった。こんな風になるのはいつぶりだろうか。初めての彼女が出来た中学以来だろうか。
(マズイな……)
 そう思いながらも、その想いは止めることは出来なかった。
 きっかけは何だったのかは覚えていない。沙樹から告白された時にはもう既に崇弘は沙樹を見ていたのだ。だけど仲間ダチの妹、10歳も年下。未成年。
 自分の気持ちにブレーキをかけるしかなかった。

「崇弘」
 真司が部屋から出てきていた。崇弘を見るとこっち来いというように、真司の部屋へ入れた。
 ドアが閉まると真司は崇弘を睨むように見た。そんな真司の様子がヤバイと思った。また説教されると。それを想像しただけで酔いが覚めてしまった。
「お前、まさか……」
 真司の言いたいことは分かっている。沙樹に何かしたのではないかと懸念したのだ。
「何もしていない」
「じゃなぜ沙樹の部屋にいた」
「元気なかったから話を……」
 それは間違ってはいない。沙樹の話を聞く為に沙樹の部屋へ入った。だが、沙樹の様子を見て沙樹が自分を信じてくれるその姿を見て、自分の気持ちを抑えることが出来なくなった。
「本当にそれだけか」
「……──」
 言葉に詰まった崇弘に真司はその意味を理解した。
「言ったか」
 座り込む崇弘を見下ろす。真司は「はぁぁぁ……」と深いため息を吐いた。
「輝になんて言うんだよ」
「……」
 黙り込んだ崇弘に真司は更に追い詰める。
「未成年に手出すとか世間に知らたらどうなるかっ!」
 彼女おんなを欠かせたことがない真司は流石に未成年はと、崇弘に言っていたのだ。なのにこれだ。呆れている真司は崇弘をじっと見ている。
「どうすんだよ。これから」
「どうにも……」
「はぁ?」
「俺の気持ちを言っただけだ」
「付き合う気はないのか?」
「……こんなオッサンと付き合ったっていいことないだろ」
「沙樹はそうは思わないだろ。ガキの時からお前しか見てねぇんだから」
「だよな……」
「付き合うなら隠し通せよ」
 真司の言葉に崇弘は時分の思いを抑えられなかったことに後悔した。
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