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第1章
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結局行く先々で見られたらマズイとなり、崇弘のマンションにやって来ていた。
「ほら、沙樹」
沙樹にペットボトルのお茶を渡す崇弘。それを受け取って笑う沙樹は、嬉しそうだった。
崇弘といるだけで嬉しくてしょうがない。それが目に見えるくらいだった。
「全く、なんでこんなおじさん相手にするかな」
自分のことをおじさんと言って笑う崇弘に、沙樹は「おじさんじゃないもん!」と叫ぶ。
沙樹の勢いに負けそうになる崇弘は、苦笑いをする。
「タカちゃんは……、私のこと、妹のようにしか思ってないの、知ってる。それでも……っ!タカちゃんしかいないの……」
「もっと他に目を向けろ……て言ってもムダなの、知ってる」
ポンと頭に手を置く。その行動が、本当に妹としてしか思われていないと感じる。それが寂しい。
(寂しい……。分かってるけど、全然ダメなのかな)
沙樹の中では崇弘でいっぱいになっていくのに、それは届かないことが苦しかった。
「ハラ減ったなぁ」
そう言うと、崇弘はスマホを取り出した。器用に片手に操作しながら「なに食べたい?」と聞く。
「え」
「食べたいもの」
「あ……。なんでもいい」
「じゃ適当に頼むよ」
そう言ってデリバリーの注文していた。
暫くして崇弘が頼んだピザが届く。それをリビングに持ってきた崇弘は、テーブルに置いた。
「今、皿出すわ」
キッチンの方へ行き皿を持って来る。
「いつもデリバリーしてるの?」
「俺が作れると思うか?」
質問したら疑問文で返された。
(確かに……)
と、納得してしまった。
「ま、そんなに食わなくてもなんとか生きてるよ」
「タカちゃんはお酒あればいいんだもんね」
「分かってんじゃん」
あれだけ酔っ払った姿を見てる沙樹。その姿が普通だと思ってしまうくらい、感覚は麻痺している。
(お兄ちゃんは飲まないのにね)
輝は本気で飲めばそれなりに強い。だが飲まない。飲まない理由は、沙樹は知らない。他のメンバーはその理由をちゃんと知ってる。
「そんなにお酒がいいのかなぁ」
ポツリと呟いた沙樹に崇弘は笑った。
「沙樹はまだまだ知らなくていいよ」
「子供扱いして……」
膨れるが沙樹は自覚はある。自分はまだまだ子供だってこと。だからこそ、崇弘にひとりの女性として見て貰えていないこと。
こうやってふたりだけで同じ部屋にいたって、何も起こりはしない。
(分かってるけど……)
横目で崇弘を見る。沙樹を送り届けなきゃいけないからか、酒を飲むことはしていない。代わりにコーラを飲んでいた。
「タカちゃん……」
想いは止めることが出来ない。沙樹の中で大きく大きくなっていく。
隣に座ってるこの瞬間も、ドキドキが止まらなくて耳にうるさい。心臓の音が聞こえるんじゃないかってくらいだ。
崇弘の方を向いた沙樹は、抱きついていた。
「沙樹っ」
「タカちゃんが好き……」
せつない声で2度目の告白をする。抱きつく腕に力が入ってしまう。
「タカちゃん……」
「沙樹」
微かに涙声の沙樹の背中右手で擦る。黙って擦る崇弘は、どう言うか考えていた。
「タカちゃんじゃなきゃ……、いや……」
もう一度沙樹がそう言うと、崇弘はため息を吐いた。
「負けた」
抱きつかれたまま、沙樹の頭を左手で撫でた。柔らかい髪の毛が愛しいと感じるのは嘘ではないだろう。
崇弘の胸に顔を埋める沙樹の頬に触れる。ピクッと身体を震わせた沙樹は、ゆっくりと顔を上げた。
「お前には負けたよ」
そう言うと、沙樹のおでこと自分のおでこをくっ付ける。
(顔が……近い……)
恥ずかしくて顔を真っ赤になるのを感じる。
「輝には内緒な」
「え……?」
「アイツにバレると面倒くせぇ」
そう言って沙樹の唇にキスを落とした──……。
「ほら、沙樹」
沙樹にペットボトルのお茶を渡す崇弘。それを受け取って笑う沙樹は、嬉しそうだった。
崇弘といるだけで嬉しくてしょうがない。それが目に見えるくらいだった。
「全く、なんでこんなおじさん相手にするかな」
自分のことをおじさんと言って笑う崇弘に、沙樹は「おじさんじゃないもん!」と叫ぶ。
沙樹の勢いに負けそうになる崇弘は、苦笑いをする。
「タカちゃんは……、私のこと、妹のようにしか思ってないの、知ってる。それでも……っ!タカちゃんしかいないの……」
「もっと他に目を向けろ……て言ってもムダなの、知ってる」
ポンと頭に手を置く。その行動が、本当に妹としてしか思われていないと感じる。それが寂しい。
(寂しい……。分かってるけど、全然ダメなのかな)
沙樹の中では崇弘でいっぱいになっていくのに、それは届かないことが苦しかった。
「ハラ減ったなぁ」
そう言うと、崇弘はスマホを取り出した。器用に片手に操作しながら「なに食べたい?」と聞く。
「え」
「食べたいもの」
「あ……。なんでもいい」
「じゃ適当に頼むよ」
そう言ってデリバリーの注文していた。
暫くして崇弘が頼んだピザが届く。それをリビングに持ってきた崇弘は、テーブルに置いた。
「今、皿出すわ」
キッチンの方へ行き皿を持って来る。
「いつもデリバリーしてるの?」
「俺が作れると思うか?」
質問したら疑問文で返された。
(確かに……)
と、納得してしまった。
「ま、そんなに食わなくてもなんとか生きてるよ」
「タカちゃんはお酒あればいいんだもんね」
「分かってんじゃん」
あれだけ酔っ払った姿を見てる沙樹。その姿が普通だと思ってしまうくらい、感覚は麻痺している。
(お兄ちゃんは飲まないのにね)
輝は本気で飲めばそれなりに強い。だが飲まない。飲まない理由は、沙樹は知らない。他のメンバーはその理由をちゃんと知ってる。
「そんなにお酒がいいのかなぁ」
ポツリと呟いた沙樹に崇弘は笑った。
「沙樹はまだまだ知らなくていいよ」
「子供扱いして……」
膨れるが沙樹は自覚はある。自分はまだまだ子供だってこと。だからこそ、崇弘にひとりの女性として見て貰えていないこと。
こうやってふたりだけで同じ部屋にいたって、何も起こりはしない。
(分かってるけど……)
横目で崇弘を見る。沙樹を送り届けなきゃいけないからか、酒を飲むことはしていない。代わりにコーラを飲んでいた。
「タカちゃん……」
想いは止めることが出来ない。沙樹の中で大きく大きくなっていく。
隣に座ってるこの瞬間も、ドキドキが止まらなくて耳にうるさい。心臓の音が聞こえるんじゃないかってくらいだ。
崇弘の方を向いた沙樹は、抱きついていた。
「沙樹っ」
「タカちゃんが好き……」
せつない声で2度目の告白をする。抱きつく腕に力が入ってしまう。
「タカちゃん……」
「沙樹」
微かに涙声の沙樹の背中右手で擦る。黙って擦る崇弘は、どう言うか考えていた。
「タカちゃんじゃなきゃ……、いや……」
もう一度沙樹がそう言うと、崇弘はため息を吐いた。
「負けた」
抱きつかれたまま、沙樹の頭を左手で撫でた。柔らかい髪の毛が愛しいと感じるのは嘘ではないだろう。
崇弘の胸に顔を埋める沙樹の頬に触れる。ピクッと身体を震わせた沙樹は、ゆっくりと顔を上げた。
「お前には負けたよ」
そう言うと、沙樹のおでこと自分のおでこをくっ付ける。
(顔が……近い……)
恥ずかしくて顔を真っ赤になるのを感じる。
「輝には内緒な」
「え……?」
「アイツにバレると面倒くせぇ」
そう言って沙樹の唇にキスを落とした──……。
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