もう一度抱きしめて……

星河琉嘩

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エピローグ

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……──本日、BLUE ROSEのリーダーREIJIさんが結婚を発表しました。お相手は──……



 街の電気屋のテレビでそうニュースが流れている。どこのチャンネルに回してもそのニュースばかりだった。
 零士からのプロポーズの後、痺れを切らした湊がふたりを車に乗せて実家に向かった。
 実家に着くと柚子にそっくりな母親と、湊にそっくりな父親が待っていた。
 母親は優しい笑顔を向けていたが、父親は母親とは違い、仏頂面でソファーに座っていた。
 零士は思わず土下座する勢いで「本当に申し訳ないです!」と、妊娠させてしまったことを謝っていた。
 そんな父親は意外にも零士に優しく「身体は大丈夫かね」と声をかけていた。零士にはそれが伝わらず後で柚子と湊に「怖ぇ……」とボヤいていたくらいだ。

 柚子は零士の家で暮らすことになり、結婚式などはまた改めて決めようとなった。
 柚子の大学も出産が終わってからどうするのか考えてもいいのではないかと、柚子の父親が言った。


「柚子」
 街中のテレビを眺めていた柚子に、深く帽子を被り眼鏡をかけた零士が声をかける。
「行くぞ」
「うん」
 少しお腹が目立ってきた柚子は、ゆっくりと歩く。その歩幅に合わせて零士も歩いていく。
 



 春には家族がひとり増えることになる──……。





   「もう一度抱きしめて……」     END
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