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第5章
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病院に着くと相変わらずマスコミでいっぱいだった。車を降りて入り口へ近付く。マスコミのひとりが優樹菜に気付きマイクを向ける。優樹菜はファンの間でもマスコミの間でも名マネージャーとして知られてる。
「ちょっと待って下さい!」
とマイクを向けてきたマスコミの対応している間に湊はロビーへと入っていく。
病院のロビーはシン……としていた。この病院で実習をやった時は患者さんがロビーを埋め尽くしていた。だが、最近は一般の患者は近寄れない。ここに来るとマスコミにマイクを向けられるからだ。病院側は迷惑だからと言ってるが、一向にマスコミはいなくならない。
「ごめん……っ」
どうにかマスコミの対応が終わった優樹菜は、湊に近付くと零士のいる病室へと向かって歩き出す。
ふたりは何も言葉を交わさない。
何かを言う時ではないから。
エレベーターに乗って5階の零士のいる病室へと向かった。その間もふたりは無言のままだった。
病室の周りは警備員が何人か立っていた。事務所のスタッフであろう人もいた。優樹菜がその人に説明をして、湊は病室に通された。
ひとりで零士の病室に入る。優樹菜は気を利かせてなのか、廊下で待っていてくれた。
他の病室よりは広い個室のベッドに、零士は横たわっていた。いつ目が覚めてもおかしくはない筈なのにまだ眠ってる。
「零士……」
ベッドに近寄り零士を見下ろす。柚子と別れてから相当、荒れた生活してたんだろうなと思うような顔色をしている。
(アルコール漬けになってたらこんな顔色になるのか……)
もしかしたらアルコール中毒になっているのかもしれない。
ただちゃんと仕事はして昼間は飲酒をしなかったらしいから、はっきりとしたことは分からない。
今はとにかく眠ったままだから、そっちの方が心配だった。
「零士。いい加減に起きろよ」
眠り続ける零士にそう言う。
「柚子が……、お前の大事な柚子が待ってる」
涙を堪えるのがやっとだった。柚子の気持ちが痛い程分かるから、どうにかしてやりたい。
「零士。頼むから……、早く、早く、目覚めてくれよ……」
堪えていた涙が溢れる。親友のこんな姿は見たくない。笑ってバカやってる姿をもっと見たいんだ。
「零士……」
親友の手に触れる。早く目覚めろと願う。
──……ず………ゆ………ず……──
微かに聞こえたその声に湊はもう一度声をかけた。
「零士っ!」
「ちょっと待って下さい!」
とマイクを向けてきたマスコミの対応している間に湊はロビーへと入っていく。
病院のロビーはシン……としていた。この病院で実習をやった時は患者さんがロビーを埋め尽くしていた。だが、最近は一般の患者は近寄れない。ここに来るとマスコミにマイクを向けられるからだ。病院側は迷惑だからと言ってるが、一向にマスコミはいなくならない。
「ごめん……っ」
どうにかマスコミの対応が終わった優樹菜は、湊に近付くと零士のいる病室へと向かって歩き出す。
ふたりは何も言葉を交わさない。
何かを言う時ではないから。
エレベーターに乗って5階の零士のいる病室へと向かった。その間もふたりは無言のままだった。
病室の周りは警備員が何人か立っていた。事務所のスタッフであろう人もいた。優樹菜がその人に説明をして、湊は病室に通された。
ひとりで零士の病室に入る。優樹菜は気を利かせてなのか、廊下で待っていてくれた。
他の病室よりは広い個室のベッドに、零士は横たわっていた。いつ目が覚めてもおかしくはない筈なのにまだ眠ってる。
「零士……」
ベッドに近寄り零士を見下ろす。柚子と別れてから相当、荒れた生活してたんだろうなと思うような顔色をしている。
(アルコール漬けになってたらこんな顔色になるのか……)
もしかしたらアルコール中毒になっているのかもしれない。
ただちゃんと仕事はして昼間は飲酒をしなかったらしいから、はっきりとしたことは分からない。
今はとにかく眠ったままだから、そっちの方が心配だった。
「零士。いい加減に起きろよ」
眠り続ける零士にそう言う。
「柚子が……、お前の大事な柚子が待ってる」
涙を堪えるのがやっとだった。柚子の気持ちが痛い程分かるから、どうにかしてやりたい。
「零士。頼むから……、早く、早く、目覚めてくれよ……」
堪えていた涙が溢れる。親友のこんな姿は見たくない。笑ってバカやってる姿をもっと見たいんだ。
「零士……」
親友の手に触れる。早く目覚めろと願う。
──……ず………ゆ………ず……──
微かに聞こえたその声に湊はもう一度声をかけた。
「零士っ!」
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