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第3章
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「だったら学校の先生だよね」
次の日。柚子は芽依に自分のことを話していた。
「勉強しかないって思うなら学校の先生。でも柚子は小学校ってよりは中学校の先生だよねぇー」
と、勝手なイメージで話す芽依はもしかしたら同じ大学行けるかもとワクワクしていた。
「あんなにデザイン系推してたのに?」
「うん。だって、柚子が出来ることをやらなきゃ。自分が勉強しかないっていうなら教師かなって思ったの」
確かにそうかもしれないと、妙にしっくりときた。
「柚子ママには話したの?」
「まだ」
「柚子が決めたことなら賛成してくれるよ」
「そう……かな」
「そうよ」
さすがに幼馴染み。柚子の母の性格もよく知ってる。
「もう一度、整理してから話してみる」
「そうしな」
ふたりは登校しながらそう話していた。
「それより、BRライブやるって話、聞いた?」
と目をキラキラさせて言う芽依は本当にBRがすきだ。
昨日の零士との電話でライブのことは聞いていた。チケット用意しておくよと言われたけどそれは断った。きっと芽依が行こうと言うから自分が持ってたらどこで手に入れたのかという話になる。
そうすると零士とのことを話さないといけなくなる。それだけは避けたい。
◇◇◇◇◇
学校に着くとやっぱりBRのライブの話をしてる子たちがいた。
その中には滝山勇一もいた。
「よぉ。柚子」
勇一はいつの間にか柚子を下の名前で呼んでいた。
「下の名前で呼ぶのやめて欲しいんだけど」
そう言ってもやめない勇一。最近、柚子にすり寄ってきてる。
「お兄さんにさ──……」
「会わせない」
ピシャリと言われてもまだ諦めていない勇一に呆れる。
「早いよ、俺続き言ってねーじゃん」
「しつこいよー」
「だってよー、知りたいじゃん」
「そもそもね、あなたのお兄さん、うちの兄を嫌ってたって言うじゃん」
「え。そうなの?」
「あ、それは知らなかったんだ」
初めて聞く話に勇一はびっくりしていた。
「なんで?」
「お兄さんに聞けば」
しつこいと柚子はそれ以上、勇一と話をしなかった。
◇◇◇◇◇
「ほんとにしつこいねー」
柚子の前の席に座る芽依は勇一を見て呆れ顔。去年からずっと勇一にしつこく言われ続けてることにうんざりしている柚子を哀れに思った。
「それにしてもチケット、取れるといいなー。また一緒に行ってくれるよね?」
目の前にいる柚子に笑いかける。やっぱり言われたと思う柚子は「いいよ」と答える。
まぁ、行くにはまた親を説得しなきゃいけないんだけど。
それでも柚子は芽依と一緒に行けるかもしれないことを楽しみにしていた。
次の日。柚子は芽依に自分のことを話していた。
「勉強しかないって思うなら学校の先生。でも柚子は小学校ってよりは中学校の先生だよねぇー」
と、勝手なイメージで話す芽依はもしかしたら同じ大学行けるかもとワクワクしていた。
「あんなにデザイン系推してたのに?」
「うん。だって、柚子が出来ることをやらなきゃ。自分が勉強しかないっていうなら教師かなって思ったの」
確かにそうかもしれないと、妙にしっくりときた。
「柚子ママには話したの?」
「まだ」
「柚子が決めたことなら賛成してくれるよ」
「そう……かな」
「そうよ」
さすがに幼馴染み。柚子の母の性格もよく知ってる。
「もう一度、整理してから話してみる」
「そうしな」
ふたりは登校しながらそう話していた。
「それより、BRライブやるって話、聞いた?」
と目をキラキラさせて言う芽依は本当にBRがすきだ。
昨日の零士との電話でライブのことは聞いていた。チケット用意しておくよと言われたけどそれは断った。きっと芽依が行こうと言うから自分が持ってたらどこで手に入れたのかという話になる。
そうすると零士とのことを話さないといけなくなる。それだけは避けたい。
◇◇◇◇◇
学校に着くとやっぱりBRのライブの話をしてる子たちがいた。
その中には滝山勇一もいた。
「よぉ。柚子」
勇一はいつの間にか柚子を下の名前で呼んでいた。
「下の名前で呼ぶのやめて欲しいんだけど」
そう言ってもやめない勇一。最近、柚子にすり寄ってきてる。
「お兄さんにさ──……」
「会わせない」
ピシャリと言われてもまだ諦めていない勇一に呆れる。
「早いよ、俺続き言ってねーじゃん」
「しつこいよー」
「だってよー、知りたいじゃん」
「そもそもね、あなたのお兄さん、うちの兄を嫌ってたって言うじゃん」
「え。そうなの?」
「あ、それは知らなかったんだ」
初めて聞く話に勇一はびっくりしていた。
「なんで?」
「お兄さんに聞けば」
しつこいと柚子はそれ以上、勇一と話をしなかった。
◇◇◇◇◇
「ほんとにしつこいねー」
柚子の前の席に座る芽依は勇一を見て呆れ顔。去年からずっと勇一にしつこく言われ続けてることにうんざりしている柚子を哀れに思った。
「それにしてもチケット、取れるといいなー。また一緒に行ってくれるよね?」
目の前にいる柚子に笑いかける。やっぱり言われたと思う柚子は「いいよ」と答える。
まぁ、行くにはまた親を説得しなきゃいけないんだけど。
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