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第2章
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凄い世界があるもんだと柚子は考えていた。芽依に連れていかれた場所は芽依の従姉妹のマンション。賃貸のマンションらしいけど、なかなか立派なマンションだった。
「BRを応援するチームがあるなんて……」
そんなものが存在することすら知らなかった。柚子には不思議な世界だった。ロックバンドとは無縁だったし、そもそもアイドルすらまともに知らない。音楽のことも本当に知らない柚子は、どうしてこんなにも胸が熱くなったのだろう。
部屋でひとり課題を前にして物思いに耽ってると、穏やかなメロディーが流れる。柚子のスマホがメッセージを受信していた。
《元気?声を聞くと早く会いたくなるからメッセージ入れてみた》
スマホに映し出された文面に柚子は笑みを浮かべる。会いたいけど、会えない。でもこうして柚子を気にしてくれる。
《会いたいよ……》
柚子の思いは遠いアメリカまで届く。海の向こうにいる男はすぐに会いにいけない距離を悔やんだ。それでも自分は日本から離れた場所でやらなければいけないことがあるのも事実。
柚子はというと、思わず入れたメッセージに後悔していた。そんなメッセージを入れると零士に迷惑かかるって分かっていた。
《ごめん、変なこと言って!気にしないで!》
そう送るとスマホを机に置いた。
自己嫌悪の為、机に突っ伏した。
(困らせたいわけじゃないの……)
ただ会いたいだけ。それだけなのに、会いたい気持ちが困らせることになる。
《会いたいよ、俺も》
そう返信が返ってくる。零士はどんな顔でメッセージを送ってきたのだろう。
零士を思うと泣きたくなる。
(会いたい……)
今は無理なのを知ってるけど、会いたい。ぐっと堪えて、もう一度机の上にある課題に集中することにした。
◇◇◇◇◇
朝、テレビを観てると零士たちBRが映っていた。
思わず、テレビの音量を上げた。テレビの中で動いて話してる姿に食い入るように観てしまう。
この人は自分の恋人なんだと実感が湧かない。それでも柚子のスマホにはやり取りをしているメッセージが残されている。
《行ってきます》
今、アメリカは何時だろう。そう思いながらも零士にそうメッセージを打った。
「BRを応援するチームがあるなんて……」
そんなものが存在することすら知らなかった。柚子には不思議な世界だった。ロックバンドとは無縁だったし、そもそもアイドルすらまともに知らない。音楽のことも本当に知らない柚子は、どうしてこんなにも胸が熱くなったのだろう。
部屋でひとり課題を前にして物思いに耽ってると、穏やかなメロディーが流れる。柚子のスマホがメッセージを受信していた。
《元気?声を聞くと早く会いたくなるからメッセージ入れてみた》
スマホに映し出された文面に柚子は笑みを浮かべる。会いたいけど、会えない。でもこうして柚子を気にしてくれる。
《会いたいよ……》
柚子の思いは遠いアメリカまで届く。海の向こうにいる男はすぐに会いにいけない距離を悔やんだ。それでも自分は日本から離れた場所でやらなければいけないことがあるのも事実。
柚子はというと、思わず入れたメッセージに後悔していた。そんなメッセージを入れると零士に迷惑かかるって分かっていた。
《ごめん、変なこと言って!気にしないで!》
そう送るとスマホを机に置いた。
自己嫌悪の為、机に突っ伏した。
(困らせたいわけじゃないの……)
ただ会いたいだけ。それだけなのに、会いたい気持ちが困らせることになる。
《会いたいよ、俺も》
そう返信が返ってくる。零士はどんな顔でメッセージを送ってきたのだろう。
零士を思うと泣きたくなる。
(会いたい……)
今は無理なのを知ってるけど、会いたい。ぐっと堪えて、もう一度机の上にある課題に集中することにした。
◇◇◇◇◇
朝、テレビを観てると零士たちBRが映っていた。
思わず、テレビの音量を上げた。テレビの中で動いて話してる姿に食い入るように観てしまう。
この人は自分の恋人なんだと実感が湧かない。それでも柚子のスマホにはやり取りをしているメッセージが残されている。
《行ってきます》
今、アメリカは何時だろう。そう思いながらも零士にそうメッセージを打った。
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