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第2章
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新学期が始まると柚子たちは忙しくなる。体育祭、文化祭、マラソン大会。あと、球技大会もある。
そんな中、柚子に一本の電話。零士からだ。
『柚子ちゃん』
スマホ越しに聞こえる零士の声がくすぐったい。あれからふたりは会うことが出来なかった。
「明日、アメリカに行くんですよね」
『あぁ』
零士はBRのメンバーと一緒にアメリカのロサンゼルスにレコーディングの為、日本を発つ。
「どのくらい行ってるんですか?」
『早くて3ヶ月かな』
「そう……」
『寂しい?』
その言葉に素直に言えない柚子。寂しい。実際のところ、柚子と零士はまだ数回しか会っていない。だからこそ、会いたいのに会えない。
『俺は寂しいよ……。いつだって会っていたい』
零士の素直な言葉に思わず涙が出る。でもそのことを知られたくなかった。
『泣いてる?』
「泣いてない」
気付かれてしまったことで少し不貞腐れる。仕事で行ってしまうのは仕方ない。BRのファンがアルバムを待ってる。その為に行くのだから。
『たまには帰ってくるよ』
「でもそれってお仕事でしょ」
『まぁ……な』
やっぱり会えない。そう思うと胸が締め付けられる。
『柚子ちゃん』
黙ってしまった柚子に優しく声かける。
『毎日連絡するから』
「……ん」
寂しさを堪えるように答える。
◇◇◇◇◇
ピーっ!
柚子たちのクラスは今体育の授業中。体育教師のホイッスルが鳴り響いていた。
空を見上げると真っ青だった。この青い空の上を零士はアメリカへと旅立っていったのだ。今頃は空の上だ。
「次!愛川!」
はっとして先生の方を見る。そを見上げて零士のことを思っていたなんて感づかれないようにホイッスルの音と共に走り出した。
「愛川さん」
と声をかけてくるクラスメート。柚子のクラスには芽依も煌太もいない。柚子は友達がいないわけではないのだが、このクラスの女子とは一歩後ろに下がって接してる。
「愛川さんって走るの早いね」
そう言うクラスの女の子。伊原紫。このクラスになった時、一番近くの席だったからよく話をするようになった。
「一応、元陸上部だからね」
「え!そうなの?」
「中学の時、陸上やってたの。短距離の」
「意外ー」
柚子はスポーツやるようには見えないらしく、よく驚かれる。
ふふっと笑って次の授業の為教室へ戻る。ふたり並んで歩いてると、前から芽依のクラスがグラウンドに出てくるのが見えた。
「柚子!」
柚子に気付いた芽依は手を振る。
「芽依」
芽依に笑うと、芽依は嬉しそうに飛び付いてくる。
このふたりは本気に仲がいい。
「あ、伊原さん」
芽依は柚子の隣にいた紫に気付いて笑う。
「仲がいいのね」
「小学校から一緒だもん」
そう言って柚子に向き直ると「帰り、一緒に帰ろうね」と言う。
ふたりが一緒に帰らない日はないのにそう言う芽依は耳元で「連れていきたいとこあるの」と言う。
「じゃまたね」
そう手を振ってグラウンドへと走って行く。
その姿を見て自分たちも早く戻らなくてはと急ぐ。教室に戻った時には女子の大半が着替え終わっていて、男子が戻ってくる頃だった。
そんな教室に入って急いで着替えるふたり。着替え終わった女子たちはおしゃべりに夢中だった。
そのおしゃべりを聞いてるとBRの話をしているのが聞こえる。BRの名前を聞くとドキドキするようになってしまった。
秘密の恋。柚子は誰にも何も言えない恋をしている。女友達と恋バナすることは出来ない。彼氏のことを話すことは出来ない。当たり障りのないことだけ。
何かあってもきっと相談は出来ないんだろうと柚子は考えていた。芽依にでさえ話せない恋なのだから。
そんな中、柚子に一本の電話。零士からだ。
『柚子ちゃん』
スマホ越しに聞こえる零士の声がくすぐったい。あれからふたりは会うことが出来なかった。
「明日、アメリカに行くんですよね」
『あぁ』
零士はBRのメンバーと一緒にアメリカのロサンゼルスにレコーディングの為、日本を発つ。
「どのくらい行ってるんですか?」
『早くて3ヶ月かな』
「そう……」
『寂しい?』
その言葉に素直に言えない柚子。寂しい。実際のところ、柚子と零士はまだ数回しか会っていない。だからこそ、会いたいのに会えない。
『俺は寂しいよ……。いつだって会っていたい』
零士の素直な言葉に思わず涙が出る。でもそのことを知られたくなかった。
『泣いてる?』
「泣いてない」
気付かれてしまったことで少し不貞腐れる。仕事で行ってしまうのは仕方ない。BRのファンがアルバムを待ってる。その為に行くのだから。
『たまには帰ってくるよ』
「でもそれってお仕事でしょ」
『まぁ……な』
やっぱり会えない。そう思うと胸が締め付けられる。
『柚子ちゃん』
黙ってしまった柚子に優しく声かける。
『毎日連絡するから』
「……ん」
寂しさを堪えるように答える。
◇◇◇◇◇
ピーっ!
柚子たちのクラスは今体育の授業中。体育教師のホイッスルが鳴り響いていた。
空を見上げると真っ青だった。この青い空の上を零士はアメリカへと旅立っていったのだ。今頃は空の上だ。
「次!愛川!」
はっとして先生の方を見る。そを見上げて零士のことを思っていたなんて感づかれないようにホイッスルの音と共に走り出した。
「愛川さん」
と声をかけてくるクラスメート。柚子のクラスには芽依も煌太もいない。柚子は友達がいないわけではないのだが、このクラスの女子とは一歩後ろに下がって接してる。
「愛川さんって走るの早いね」
そう言うクラスの女の子。伊原紫。このクラスになった時、一番近くの席だったからよく話をするようになった。
「一応、元陸上部だからね」
「え!そうなの?」
「中学の時、陸上やってたの。短距離の」
「意外ー」
柚子はスポーツやるようには見えないらしく、よく驚かれる。
ふふっと笑って次の授業の為教室へ戻る。ふたり並んで歩いてると、前から芽依のクラスがグラウンドに出てくるのが見えた。
「柚子!」
柚子に気付いた芽依は手を振る。
「芽依」
芽依に笑うと、芽依は嬉しそうに飛び付いてくる。
このふたりは本気に仲がいい。
「あ、伊原さん」
芽依は柚子の隣にいた紫に気付いて笑う。
「仲がいいのね」
「小学校から一緒だもん」
そう言って柚子に向き直ると「帰り、一緒に帰ろうね」と言う。
ふたりが一緒に帰らない日はないのにそう言う芽依は耳元で「連れていきたいとこあるの」と言う。
「じゃまたね」
そう手を振ってグラウンドへと走って行く。
その姿を見て自分たちも早く戻らなくてはと急ぐ。教室に戻った時には女子の大半が着替え終わっていて、男子が戻ってくる頃だった。
そんな教室に入って急いで着替えるふたり。着替え終わった女子たちはおしゃべりに夢中だった。
そのおしゃべりを聞いてるとBRの話をしているのが聞こえる。BRの名前を聞くとドキドキするようになってしまった。
秘密の恋。柚子は誰にも何も言えない恋をしている。女友達と恋バナすることは出来ない。彼氏のことを話すことは出来ない。当たり障りのないことだけ。
何かあってもきっと相談は出来ないんだろうと柚子は考えていた。芽依にでさえ話せない恋なのだから。
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