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秋晴れの日に
12 あたしの決意
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《今夜、話をしよう》
ずっとあたしとの連絡を避けていた彼から、連絡があった。
(急にどうしたの?)
いつもあたしの姿を見ても、逃げる彼。メッセージも一度もくれたことないのに、一体なにがあったの?
そんな思いもあったが、メッセージが来たことが嬉しかった。
だけどその分、気が重かった。
お腹の赤ちゃんは、彼の子ではない。彼の子だと嘘をついてる。
それに……、赤ちゃんはもういない。
会社の重役のオジサン。その人からお金をもらって、処分してきたから。
手術の後、お腹にもういない赤ちゃんを思って泣いた。ここにはもういないと思うと、悲しかった。
ううん。そんな言葉じゃ足りない。もっともっと深い思いなの。
《今夜、いつもの場所で》
重役のオジサンからのメッセージがあった。だけどそれに返信はしなかった。
それは初めてのことだった。
いつもなら、オジサンのメッセージに返し、いつもの場所へと向かう。
だけど今日はちゃんと話をしに行かなきゃいけない。彼には申し訳なかったと、告げなきゃいけないの──……。
◇◇◇◇◇
ピコンと、スマホが音を立てる。それはオジサンからのメッセージだった。その文面は、相当怒ってるのか荒かった。
だけどあたしは今、違う場所にいる。お酒が飲めないと思ってる彼が、指定してきた場所はどこにでもあるファミレスだった。
こんなザワザワした場所で、話をするのかと思うと、そのあたりは気の使い方がズレてるらしい。
女性の扱いも慣れてはいないことは、一夜を共にしたあの日に分かった。
ピコン……!
もう一度鳴った。
「いいの?」
目の前の彼はそう言った。
「いいの。たいしたことじゃないの」
あたしは彼にそう言った。
「それでさ……」
彼の言葉を遮り、メニューを渡す。
「とりあえず、なにか食べよ」
「あ、ああ…」
彼はメニューを受け取りそれを広げた。
店員を呼び注文した後、あたしは彼に「ごめんね」と言った。
その言葉に彼は驚いていた。
「なに……が?」
彼はあたしに問う。あたしはそんな彼に申し訳なくて俯く。
彼が話をしようと言ったのは今後の話。あたしと赤ちゃんの話。
それは分かってる。
だからこそ、あたしから切らないとダメなんだ。
「……いいの」
あたしは消えてしまいそうだった。そんなあたしの手を握る彼。その手のあたたかさから、優しさが伝わってくる。
「もう……、いいの」
あたしはもう一度そう言う。
「なにが?」
「赤ちゃん、いないの」
「え」
「赤ちゃん、もういないの」
彼は驚いた顔をしてこちらを見ていた。
そりゃ驚くよね。子供が出来たと言って、彼に結婚を迫っていたんだもの。
「それと……、赤ちゃんは、あなたの子じゃないの」
俯いたままそう言うあたしに、彼は悲しそうな顔をしていた。
(どうしてそんな顔をするの?)
あたしにはそれが分からなかった。
ずっとあたしとの連絡を避けていた彼から、連絡があった。
(急にどうしたの?)
いつもあたしの姿を見ても、逃げる彼。メッセージも一度もくれたことないのに、一体なにがあったの?
そんな思いもあったが、メッセージが来たことが嬉しかった。
だけどその分、気が重かった。
お腹の赤ちゃんは、彼の子ではない。彼の子だと嘘をついてる。
それに……、赤ちゃんはもういない。
会社の重役のオジサン。その人からお金をもらって、処分してきたから。
手術の後、お腹にもういない赤ちゃんを思って泣いた。ここにはもういないと思うと、悲しかった。
ううん。そんな言葉じゃ足りない。もっともっと深い思いなの。
《今夜、いつもの場所で》
重役のオジサンからのメッセージがあった。だけどそれに返信はしなかった。
それは初めてのことだった。
いつもなら、オジサンのメッセージに返し、いつもの場所へと向かう。
だけど今日はちゃんと話をしに行かなきゃいけない。彼には申し訳なかったと、告げなきゃいけないの──……。
◇◇◇◇◇
ピコンと、スマホが音を立てる。それはオジサンからのメッセージだった。その文面は、相当怒ってるのか荒かった。
だけどあたしは今、違う場所にいる。お酒が飲めないと思ってる彼が、指定してきた場所はどこにでもあるファミレスだった。
こんなザワザワした場所で、話をするのかと思うと、そのあたりは気の使い方がズレてるらしい。
女性の扱いも慣れてはいないことは、一夜を共にしたあの日に分かった。
ピコン……!
もう一度鳴った。
「いいの?」
目の前の彼はそう言った。
「いいの。たいしたことじゃないの」
あたしは彼にそう言った。
「それでさ……」
彼の言葉を遮り、メニューを渡す。
「とりあえず、なにか食べよ」
「あ、ああ…」
彼はメニューを受け取りそれを広げた。
店員を呼び注文した後、あたしは彼に「ごめんね」と言った。
その言葉に彼は驚いていた。
「なに……が?」
彼はあたしに問う。あたしはそんな彼に申し訳なくて俯く。
彼が話をしようと言ったのは今後の話。あたしと赤ちゃんの話。
それは分かってる。
だからこそ、あたしから切らないとダメなんだ。
「……いいの」
あたしは消えてしまいそうだった。そんなあたしの手を握る彼。その手のあたたかさから、優しさが伝わってくる。
「もう……、いいの」
あたしはもう一度そう言う。
「なにが?」
「赤ちゃん、いないの」
「え」
「赤ちゃん、もういないの」
彼は驚いた顔をしてこちらを見ていた。
そりゃ驚くよね。子供が出来たと言って、彼に結婚を迫っていたんだもの。
「それと……、赤ちゃんは、あなたの子じゃないの」
俯いたままそう言うあたしに、彼は悲しそうな顔をしていた。
(どうしてそんな顔をするの?)
あたしにはそれが分からなかった。
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