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秋晴れの日に
11 責任という名の重圧
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元カノが、総務部の彼女の元へと行ったと、同期が教えてくれた。総務部へ行くと、彼女が元カノの手を引き走る姿が見えた。
俺はふたりの後を追った。
ふたりは会議室に入っていく。その会議室は今は誰も使っていない。総務部の彼女はそのことを知っていた。
会議室の利用するには、総務部へ連絡しないといけない。だから使われていないことを知っていたのだ。
会議室のドアの前で、俺はどうしようかと迷った。
(中に入る?それとも……)
暫くして中から声が聞こえた。
「……ただ、幸せになりたいだけなのに……」
絞り出すように聞こえるその声は、とても悲しい。
総務部の彼女は、泣いているようだった。
そのすぐ後に、元カノの手厳しい言葉が聞こえてきた。
「誰だってそうよ」
そう聞こえた後に、更に追い討ちをかけるように彼女に語りかける。
「相手のことを思いやれない人は、幸せになんてなれないわよ」
その元カノの言葉にドキッとした。
相手を思いやれない人は幸せになれない……。
確かにそうだ。その通りだ。
じゃ俺は?相手を思いやれてるか?
「私は彼の幸せの為に、彼と別れたの」
続けて聞こえた言葉。元カノが、別れることを受け入れてくれた理由は、俺の為だったのか、と。
後悔しても遅いことは分かってる。元カノともう一度やり直したいと、心底思う。
だけどそれは許されることじゃない。
ガチャっと、会議室のドアが開く。そこには元カノの姿。俺は何も言えずにそこに立っていた。
「外回り、行かなくていいの?」
元カノがそう声をかけてきた。
「大丈夫だ」
俺はそれを言うのが精一杯だった。
なんて言葉を投げ掛ければいいのか、正解が分からない。元カノはなぜ総務部の彼女に会いに行ったのか、それも聞けずに、俺は外回りに出掛けなくてはいけなかった。
元カノの視線を感じながら、エレベーターに乗り込む。元カノはエレベーターに乗らなかった。部署に戻るのか、エレベーターに乗る俺を見ていた。
エレベーターのドアが閉まると、俺は脱力感に襲われる。
(どうするのが正解なんだろう)
頭の中で考えがまとまらない。
俺はどうしたいのだろうか。
自分でも分からない。だが総務部の彼女のことを、ちゃんとしなきゃいけないことは確かだ。
彼女のお腹には、俺の子供がいるのだから。
その責任は果たさなきゃいけない。
《今夜、話をしよう》
俺は総務部の彼女へ、メッセージを送った。
このままではいけないと、どうにかしなきゃいけない。
どうするのが一番なのか、話をしなきゃいけない。
スマホをポケットに入れて、俺は取引先へと向かった。重い気持ちのまま、向かうのが辛かった。
俺はふたりの後を追った。
ふたりは会議室に入っていく。その会議室は今は誰も使っていない。総務部の彼女はそのことを知っていた。
会議室の利用するには、総務部へ連絡しないといけない。だから使われていないことを知っていたのだ。
会議室のドアの前で、俺はどうしようかと迷った。
(中に入る?それとも……)
暫くして中から声が聞こえた。
「……ただ、幸せになりたいだけなのに……」
絞り出すように聞こえるその声は、とても悲しい。
総務部の彼女は、泣いているようだった。
そのすぐ後に、元カノの手厳しい言葉が聞こえてきた。
「誰だってそうよ」
そう聞こえた後に、更に追い討ちをかけるように彼女に語りかける。
「相手のことを思いやれない人は、幸せになんてなれないわよ」
その元カノの言葉にドキッとした。
相手を思いやれない人は幸せになれない……。
確かにそうだ。その通りだ。
じゃ俺は?相手を思いやれてるか?
「私は彼の幸せの為に、彼と別れたの」
続けて聞こえた言葉。元カノが、別れることを受け入れてくれた理由は、俺の為だったのか、と。
後悔しても遅いことは分かってる。元カノともう一度やり直したいと、心底思う。
だけどそれは許されることじゃない。
ガチャっと、会議室のドアが開く。そこには元カノの姿。俺は何も言えずにそこに立っていた。
「外回り、行かなくていいの?」
元カノがそう声をかけてきた。
「大丈夫だ」
俺はそれを言うのが精一杯だった。
なんて言葉を投げ掛ければいいのか、正解が分からない。元カノはなぜ総務部の彼女に会いに行ったのか、それも聞けずに、俺は外回りに出掛けなくてはいけなかった。
元カノの視線を感じながら、エレベーターに乗り込む。元カノはエレベーターに乗らなかった。部署に戻るのか、エレベーターに乗る俺を見ていた。
エレベーターのドアが閉まると、俺は脱力感に襲われる。
(どうするのが正解なんだろう)
頭の中で考えがまとまらない。
俺はどうしたいのだろうか。
自分でも分からない。だが総務部の彼女のことを、ちゃんとしなきゃいけないことは確かだ。
彼女のお腹には、俺の子供がいるのだから。
その責任は果たさなきゃいけない。
《今夜、話をしよう》
俺は総務部の彼女へ、メッセージを送った。
このままではいけないと、どうにかしなきゃいけない。
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