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3 玉木くんとの遭遇、嫌な予感

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 玉木くんと同じクラスの神田くん。
成績優秀、スポーツ万能。
玉木くんの友人に相応しい人物だった。

そして彼同様、とても女子にモテていた。
こんな優れた男の近くにいたら誰だって恋に落ちてしまうだろう。 
女子だけでなく、男を恋愛対象とする者なら。



 ホームルームが終わり俺は下駄箱へと向かっていた。


 一人で帰るのってなんだか久しぶりだな。
今日はいつも一緒に帰っていた木本が何故か先生に呼び出しくらったらしく、だいぶ時間がかかるようなので先に帰ることにしたのだ。

それにしてもあいつが呼び出しなんて、珍しい。
悪いことでもしたのかな。

上靴を脱いで下駄箱へなおす。
誰もいない静かな空間に、外靴を地面に落としたパンという音だけが響く。
なんだか寂しい気持ちになっていると、遠くから足音が聞こえてきた。
誰だろう。

 あっもしかして木本、もう用事終わったのかな。
なんだ、先に行くことなかったじゃん。

少しそわそわしながら足音に耳を傾けていると、足音はどんどんこっちへやってきて、俺の前で止まった。

今日も一緒に帰れるのが嬉しくて、ニッコニコしながら顔を上げると、そこに立っていたのは木本ではなく、学年一のイケメンだった。


「やあ、コシタニくん」


「あ、た…玉木くん」


嫌な感じに胸がザワつくと同時に、途端にめっちゃ恥ずかしくなる。

やばい!
俺の笑った顔見られた!
顔、気持ち悪くなかったかな。


「あれ、今日はひとりなんだ?」


意味ありげに聞いてくる彼に少し口元が歪む。


「う、うん」


そう、今日に限って隣に木本はいないのだ。
彼が居たら俺の代わりにはなしてくれるのに。

実のところ、俺は玉木くんが苦手なのだ。
嫌いに近いほどに。
こいつが俺より女子にモテるからとかでは断じてない。
ただ、なんか…目が怖いのだ。
俺を見る目が。

うぅ~はやく行ってほしい。
ゆっくりゆっくり前を通り過ぎていく彼を固唾を飲んで見守っていると、
やがて何かを思い出したかのようにふと顔を上げた。


「あ、そっか、木本くん女子に呼び出されてたもんね。今日はその子と帰るのかな」


「えっ?」


驚きのあまり玉木くんを凝視する。
女子?
え、木本って、先生に呼び出されたんじゃ…


っていうか、放課後に呼び出しって


「告白、されてるのかもね」


こく、はく?
ドキドキと心臓が鳴る。
き、木本にも…そんなことが…


「気になる?」


いつの間にか至近距離にいた玉木くんが、ぐっと顔を近づけてきた。


「あっ…え、と」


更に心臓がバクバクと鳴る。
気にならないと言ったら嘘になる。
だって、木本にもついに彼女が…

返事に迷っていると、そんな俺の心を見透かしたように彼は悪魔のように誘惑する。


「僕さ、木本が女子に呼び出された場所知ってるんだけど、今から覗きに行く?」


えっ


い、いや、だめだ、そんなこと。

でも、告白、どうするんだろ。
OKするのかな、それとも…
ほんの好奇心が俺の胸をくすぐる。
バレなかったら、良いよね…?
耳元の甘い囁きに、俺はこくりと頷いた。



□□□□



「確か、ここだったはずだよ」


玉木に連れられた場所は第二理科準備室だった。
そっとトビラを開け、中を覗くが棚が沢山あるため、外からはよく見えない。


「もうちょっと中に入ってみたら見えるかも」


「えっでも見つかったら嫌だし…」


「棚に隠れるようにしたら見つからないよ」


そう言われ、さあさあと中へ入らされる。
ええい、ここまで来たんだしせっかくなら…

棚で自分を隠しながら、そろりそろりと奥へ進んでいく。


しかし、どれだけ進んでも2人の姿を捉えることはできない。

それどころか、

2人の声すら、聞こえない。


あれ?これ……


なんだか、おかしい。


「玉木くん…」


嫌な予感がして彼を振り返った時には
もう遅かった。


ガチャリ。


トビラのカギを締めて不敵に笑う玉木くんの姿があった。





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