私立白液学園~青春プロテインを沢山飲ませて♡ 僕のえくすたしー性活~というBLゲームに飛ばされた男の話

雷尾

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四周目

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「そもそも、皆がこの世界に問わられてどれぐらいになるかわからないけど。仮想世界とはいえずっと搾り取られていたなら、アンタたちの体力も持たないはずだ」

「……タイミング」

「どうした樋山」

 山久が声をかけると、樋山ははたと気づいたように口元を押さえる。

「奥山さん」

「……どうした」

「僕らはドナーとあわせて治験目的でこちらにやってきました。何か事前に説明などありませんでしたか」

「……治験の話であれば、ある特定の感情によって射精を促す薬の開発と聞いた覚えがある」

「……そうでしたか。僕の方はもっとえげつない説明でした。人はどのような性衝動に駆られた時に、最も優秀な精子を出すことができるのか。レイプなのか、それとも和姦なのか、或いは」

 愛のある行為の最中なのか、と自嘲気味に樋山は呟く。こんな非人道的な実験をさせておきながら何が愛だと彼は吐き捨てる。

「……その話が本当であれば、少なくとも実験を指示した側は、その条件についても見当がついていると思います」

 白液学園という、タイトルは擁護しきれないぐらいまあ酷くはあるが、話自体は比較的純愛もののゲームのように、今のところは全年齢向けの展開であること。
何度も酷い結末を迎えさせてループさせること、そしてその記憶を全員が引き継いで困難を乗り越えようとしているところなど。

「恐らく、一番いい条件でのエンディングクリアでしょう」

 ハッピーエンドかつトゥルーエンド、困難を乗り越え結ばれて。愛と感動の中、最後のご褒美シーンとしてのエッチ(貴一にとっては地獄である)で発射される精子、それが最も優れている精子だと考えられているのではないか。
 一番良い条件下での精子搾取、それがここから全員出られるルートなのだとしたら。

「……このゲームでの一番いいエンディングって~」

「なんだろー」

 双子の言葉に山久も、樋山も顔をしかめる。

「……ロクなもんじゃねえだろうな」

「何せ、私立白液学園~青春プロテインを沢山飲ませて♡ 僕のえくすたしー性活~ですもんね」

「……俺はもう覚悟を決めている。所詮仮想世界だ」

 貴一は自身の尻の穴に「これから苦労をかけるかもしれないが、どんな時も俺たちズッ友だからな」と、心の内で肛門との永遠の友情を誓った。

「ヤマザキに会いに行こう」

 攻略ヒントを聞きに、そしてもしかしたら別れを告げることになるかもしれない。この世界の良心、そしてわが友であり心の支えであったヤマザキがゲームの世界の住人であったとしたら。貴一にとって悲しい別れが約束されてしまっている。

「あれ、珍しいメンバーが勢揃いしてんな、どした」

「ヤマザキ」

 生徒会メンバーと風紀委員長と東頭と貴一という大人数で押しかけたにもかかわらず、ヤマザキは人懐こい笑みで迎え入れる。
 思えば、白液学園というトチ狂った名前の中で彼は良心だった。貴一にとって懐かしい、学校生活というものを追体験させてくれたのも彼だった。

「何か相談事か? もしここで話しにくいことならみんな俺ん家に来るか?」
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