【全話まとめ】意味が分かると怖い話【解説付き】

手の温もり

駅からの帰り道、私たちは会話をすることもなく歩いていた。


こうして二人で歩いていることが信じられなくて、現実なのか分からなくて、

なんだか頭がフワフワしたような状態で住宅街の道を歩く。


何も考えられない私の手に、彼の手が触れた。


その瞬間、様々な思い出がよみがえってきた。


職場で出会って、たまたま手が触れてしまったときのドキドキした気持ち。

初めてデートをしたときに、彼から手を繋いでくれたときの嬉しかった気持ち。

式でドレスを着た私の手を引いてくれたときの幸せな気持ち。


手を繋ぐのなんてもう何年もしていなかったから、すっかり忘れてた。


こんなに暖かかったっけ。


これからはたぶんまた前みたいに繋げるようになる。

そう思った瞬間、私の目からは涙がこぼれ始めた。




だって、私たちの間にはいつもあの子がいたから。






























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解説
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この2人は夫婦。そして、元々は子どもを含めた3人家族だったよ。

いつもはその子どもを真ん中に挟む形で歩いていたから、夫と妻が直接手を繋ぐことはなかったんだね。


でもその子どもがなんらかの理由で亡くなってしまい、2人は直接手を繋げるようになってしまったよ。

その手の温もりに暖かさと懐かしさを感じつつ、妻は涙を流したんだね。


この涙の意味はなんなのか、子どもの死因はなんなのか、それは想像にお任せするよ。。

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