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とうとう出発したよ!⑤
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「学校に入らなくても教えてもらう方法があるのは聞きましたけどねー。気が進まなかったので」
それは『塔』に所属する魔導士に直接弟子入りする事だ。属性が稀有で豊富な魔力を持ち、高位の魔法を使える事は、貴族にとって自慢できる事らしいのだが、かといって魔導士として塔に所属するのは遠慮したい。そういう者は学校を選ぶ。何故なら得てして塔に所属している魔導士は変人だからだ!
「……ああ、まあ……そうね」
「むむ。認めましたね」
貴族にとっては出来る、持っている事に意味があるわけで、それを活用することに関してはどうでもいいらしい。なので貴族で塔に入る様な人は家督が継げない次男三男が多い。すると何故か家を守るという抑圧から解放されてはっちゃける輩が多くなるのだ。ここにも一人居るしね! あ、勿論カシェ君の事じゃないよ。
「酷い言われようだね。まあ否定はしないけどね」
おおっと、ここで殿下の乱入だー。え、混ざっちゃう? 大丈夫かな。
「という事で、私は塔に入るつもりも魔法の訓練する気もありませんのでー」
ちなみになんでわりと魔導士の事に詳しいのかと言うと、私が水魔法を使って作った野菜の評判を聞いて、塔から調べに来た魔導士がいたのだ。変人ではあるけど、魔導士である事に誇りをもってるからか、聞いてない事までペラペラと教えてくれた。随分と口が軽かったけど、機密を漏らす様なことはしてない事を願ってますマジで。
「そんな……訓練次第ではあんな魔法やこんな魔法が使い放題なのに!?」
ヴァルターさんが納得いかないという風に呟くけど、使える人は使える人なりの苦労ってのもあるのよ。そもそもあんなこんなって……
「確かに魔法はすごいです。便利です。でも、なくても生きていけますよね? 必要以上の大きな力は身を滅ぼしますよ?」
もしかしたら訓練すれば使えるようになるかもしれないけれど、少なくとも誰かと、何かと闘う為の力は、私には不要だ。大きな力を持ちすぎて、警戒された上に暗殺とかになるのは嫌だしね。
天使様は『比較的平和』と言ってたけど、やっぱり国同士の小競り合いとか、少ないけど魔獣退治みたいな闘うという事は起きている。下手に攻撃力マシマシな魔法覚えて前線にでも送られた日にゃ、天使様を嘘つき呼ばわりする羽目になるかもしれない。
「勿体ないけど、まあしょうがないわよね。私も魔法が使えるって知ったときはテンション爆上がりだったけど、学園では黒コゲ案件何回も見てほどほどにしたわ。一応令嬢だし」
持っている事に重きがあるとはいえ、持っていたら使いたくなるのが世の常。魔導士になるなら魔導士の、騎士を目指すなら騎士の育成学校だが、大抵嫡男とスペア、そして娘は王立学園へ行く。こちらは内政科とか家政科なんてものがあって魔法の勉強もするにはするが、魔法制御を一通り教えるだけの様だ。すると、ろくに制御出来ない癖に中級以上の魔法を無理矢理使って自爆する輩は毎年出るのだそうだ。
---------------------
読んでくださる皆様ありがとうございます。
この作品、最初は『「主人公転生」→「聖女の代わりに世界樹救済の旅に出る」』しか設定がありませんでした(汗)
旅に出てからの話をなんにも考えていなかったのでとうとうストックが尽きてしまいました。
ここらへんでちょっと書きためようなかと思いますので更新速度が落ちると思います。気長に待っていただけたら幸いです(ぺこり)
それは『塔』に所属する魔導士に直接弟子入りする事だ。属性が稀有で豊富な魔力を持ち、高位の魔法を使える事は、貴族にとって自慢できる事らしいのだが、かといって魔導士として塔に所属するのは遠慮したい。そういう者は学校を選ぶ。何故なら得てして塔に所属している魔導士は変人だからだ!
「……ああ、まあ……そうね」
「むむ。認めましたね」
貴族にとっては出来る、持っている事に意味があるわけで、それを活用することに関してはどうでもいいらしい。なので貴族で塔に入る様な人は家督が継げない次男三男が多い。すると何故か家を守るという抑圧から解放されてはっちゃける輩が多くなるのだ。ここにも一人居るしね! あ、勿論カシェ君の事じゃないよ。
「酷い言われようだね。まあ否定はしないけどね」
おおっと、ここで殿下の乱入だー。え、混ざっちゃう? 大丈夫かな。
「という事で、私は塔に入るつもりも魔法の訓練する気もありませんのでー」
ちなみになんでわりと魔導士の事に詳しいのかと言うと、私が水魔法を使って作った野菜の評判を聞いて、塔から調べに来た魔導士がいたのだ。変人ではあるけど、魔導士である事に誇りをもってるからか、聞いてない事までペラペラと教えてくれた。随分と口が軽かったけど、機密を漏らす様なことはしてない事を願ってますマジで。
「そんな……訓練次第ではあんな魔法やこんな魔法が使い放題なのに!?」
ヴァルターさんが納得いかないという風に呟くけど、使える人は使える人なりの苦労ってのもあるのよ。そもそもあんなこんなって……
「確かに魔法はすごいです。便利です。でも、なくても生きていけますよね? 必要以上の大きな力は身を滅ぼしますよ?」
もしかしたら訓練すれば使えるようになるかもしれないけれど、少なくとも誰かと、何かと闘う為の力は、私には不要だ。大きな力を持ちすぎて、警戒された上に暗殺とかになるのは嫌だしね。
天使様は『比較的平和』と言ってたけど、やっぱり国同士の小競り合いとか、少ないけど魔獣退治みたいな闘うという事は起きている。下手に攻撃力マシマシな魔法覚えて前線にでも送られた日にゃ、天使様を嘘つき呼ばわりする羽目になるかもしれない。
「勿体ないけど、まあしょうがないわよね。私も魔法が使えるって知ったときはテンション爆上がりだったけど、学園では黒コゲ案件何回も見てほどほどにしたわ。一応令嬢だし」
持っている事に重きがあるとはいえ、持っていたら使いたくなるのが世の常。魔導士になるなら魔導士の、騎士を目指すなら騎士の育成学校だが、大抵嫡男とスペア、そして娘は王立学園へ行く。こちらは内政科とか家政科なんてものがあって魔法の勉強もするにはするが、魔法制御を一通り教えるだけの様だ。すると、ろくに制御出来ない癖に中級以上の魔法を無理矢理使って自爆する輩は毎年出るのだそうだ。
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読んでくださる皆様ありがとうございます。
この作品、最初は『「主人公転生」→「聖女の代わりに世界樹救済の旅に出る」』しか設定がありませんでした(汗)
旅に出てからの話をなんにも考えていなかったのでとうとうストックが尽きてしまいました。
ここらへんでちょっと書きためようなかと思いますので更新速度が落ちると思います。気長に待っていただけたら幸いです(ぺこり)
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