世界樹の下で

瀬織董李

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旅立…てる?①

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 そして一週間後。とうとう旅立の日がやってきた。……なんていうと格好いい気がするが、この一週間色々とドタバタ続きで、テンションは駄々下がりだった。主に魔法バカな方のせいだけど。あれで今まで王子としてよく生きて来れたなと思うくらいには困った人だ。もしかしたら下にもっと阿呆な俺様がいたせいで目立たなかっただけなのかもしれない。大丈夫かこの国。

 着替え諸々はアリスト様が用意してくれた。ありがたやーオネェ様ありがたやー。仕立ててくれた服が二着と古着が五着。一気に衣装持ちになった。毎日着替えても間に合う!勿論しないけど。

 下着は上はスポーツブラっぽいので、下はカボチャパンツというかドロワーズが一般的で、頑張って自分で作った。コルセット? 自分で絞めれないしあんな苦しいのつけて農作業出来ないからしてませーん。誰よ、だからメリハリが無いとか幼児体型とか言うの。ぷんすか。

 あとは、服以外にも毛織りのケープとか野営で寝る時に要りそうな毛布とかも見繕ってくれた。旅慣れてるだけあるね。何を持っていけばいいのかサッパリだったのでマジで助かった。

 持っていくものを荷馬車に備え付けた自分用のチェストに仕舞う。……隣にある殿下用のやつ、私のチェストの三倍くらいデカイんですが……。

「これでも持っていく物を厳選したんだよ?」

 遠征とか野営とかに慣れてる騎士様が一緒に行ってくれてなかったら、途中で野垂れ死んでたねこりゃ。この人、外で毛布だけで寝れるのかしらん。無理そうだなあ。

 ちなみに私は眠ければ原っぱでも即寝出来る。実家に居るとき休憩中にうっかり寝てしまってヤギに髪の毛食われそうになってたり、牛に顔を舐めまわされたりよくしてた。

 一緒に旅立つメンバーは私、ランクス殿下、護衛騎士のオルドル様、あとは騎士団から五人程。それと御者さん。最初は一個小隊がつく予定だったらしいけど、私が断った。大所帯だとそれだけ移動も大変になるし、人間関係とか煩わしい事もでてきそうだ。人数が少ないと野盗に狙われやすいって欠点もあるけど、その分腕に覚えのある人を回して貰ったし。

 私自身は戦えないけど、貴族のお嬢様じゃないんできゃーきゃー言って騒ぐだけの足手纏いにはならないつもりだし。一応魔法もあるしね。というかよく考えたら騎士様達って、私が聖と光の属性魔法使えるの……知ってるのよね? うう、秘密が広がっちゃったなあ。そういう意味でも五人にしてもらってよかった。まあ、人の口に戸は立てられないっていうから、そのうち広がっちゃう気はするけど、その時はその時だな。うん。
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