31 / 51
月明かりの下で②
しおりを挟む
改めてもう一度、ライトの魔法を使う。手のひらの上にソフトボールよりちょっと大きい光の玉が現れる。この世界にソフトボールないけど。
「まあ、こんなもんですかね。これ以上大きくすると光量が落ちますし、長時間は無理です。蝋燭の火くらいならもっと保ちますけど」
ふむふむ、と頷きながらランクス殿下は、大きくなったり小さくなったりしてる私の光魔法を注視している。
「昨日も思ったけど綺麗な魔法だね。魔導士の中でも中々いないよ」
「きれい?」
え?魔法に綺麗とか汚いとかあんの?
「なんていうのかな……魔力の精度が違う気がするね。魔導士には確かに魔力が大きく、強大な魔法が使える者が居るが、その実魔力操作は結構いい加減なんだ。もしかしたら魔法を習得した頃は出来たかもしれない指先に炎を灯す魔法も、魔力があがって強大な魔法を覚えていくうちに絞ることが段々苦手になって出来なくなるようなんだ」
「ああ、まあ私は魔力増えなくて、初級しか使えないんで」
そもそもよくよく考えれば、生活に密着した初級レベルの魔法が使えれば十分なのだ。畑に水撒いたり、暖炉に火を付けたり、落ち葉集めたり、害獣用の落とし穴掘ったり……
「一応確認は出来たよ。ありがとう。本当なら一番肝心な聖魔法も確認したかったんだけどね。昨日君に止められたからね」
「当たり前です。怪我人をわざわざ作らないで下さい」
「君がカシェの使い魔を治療している所は見そびれたからねえ」
「…そういえば、殿下には使い魔はいらっしゃらないのですか?」
この人も塔の魔導士だから使い魔はいそうだけど。まあ順当にいけば鳥か猫よねえ。でも、変人だから蜥蜴とかハムスターとかだったりして。
「心の声が漏れてるよ。近いのはあるけど違うね。流石に僕もトカゲは嫌だなあ」
お、秘密なのかな?まあ旅に出たら会えるでしょう。自分で言っといてなんだけど私も蜥蜴はヤだし。
「で、結局いつ出発なんですか?畑もどうするか決めてないですけど」
王様の許可あるのかどうかすら知らないんだけど。私が来る前みたいに全体の畑から良さげなのを選ぶのかな?…いや、別に王様に謁見なんて望んでないからね!フリじゃないよ!!
「勿論宰相経由で陛下に話は行っているよ。陛下も驚いていたけどね。まさか農婦として雇った女性が聖魔法の使い手だなんてね。君が暫く離れるのはとても残念だけど、国としては問題ないよ仕方ないしね」
畑は予想通り以前のやり方になるようだ。ちなみに私がチクった料理長の料理は、ホントはあんまり王族の皆さまの口には合ってなかった様で、どうやらクビになるらしい。
……いや、逆恨みで刺されないようにね、って笑顔で言われても困るんですケド……
「まあ、こんなもんですかね。これ以上大きくすると光量が落ちますし、長時間は無理です。蝋燭の火くらいならもっと保ちますけど」
ふむふむ、と頷きながらランクス殿下は、大きくなったり小さくなったりしてる私の光魔法を注視している。
「昨日も思ったけど綺麗な魔法だね。魔導士の中でも中々いないよ」
「きれい?」
え?魔法に綺麗とか汚いとかあんの?
「なんていうのかな……魔力の精度が違う気がするね。魔導士には確かに魔力が大きく、強大な魔法が使える者が居るが、その実魔力操作は結構いい加減なんだ。もしかしたら魔法を習得した頃は出来たかもしれない指先に炎を灯す魔法も、魔力があがって強大な魔法を覚えていくうちに絞ることが段々苦手になって出来なくなるようなんだ」
「ああ、まあ私は魔力増えなくて、初級しか使えないんで」
そもそもよくよく考えれば、生活に密着した初級レベルの魔法が使えれば十分なのだ。畑に水撒いたり、暖炉に火を付けたり、落ち葉集めたり、害獣用の落とし穴掘ったり……
「一応確認は出来たよ。ありがとう。本当なら一番肝心な聖魔法も確認したかったんだけどね。昨日君に止められたからね」
「当たり前です。怪我人をわざわざ作らないで下さい」
「君がカシェの使い魔を治療している所は見そびれたからねえ」
「…そういえば、殿下には使い魔はいらっしゃらないのですか?」
この人も塔の魔導士だから使い魔はいそうだけど。まあ順当にいけば鳥か猫よねえ。でも、変人だから蜥蜴とかハムスターとかだったりして。
「心の声が漏れてるよ。近いのはあるけど違うね。流石に僕もトカゲは嫌だなあ」
お、秘密なのかな?まあ旅に出たら会えるでしょう。自分で言っといてなんだけど私も蜥蜴はヤだし。
「で、結局いつ出発なんですか?畑もどうするか決めてないですけど」
王様の許可あるのかどうかすら知らないんだけど。私が来る前みたいに全体の畑から良さげなのを選ぶのかな?…いや、別に王様に謁見なんて望んでないからね!フリじゃないよ!!
「勿論宰相経由で陛下に話は行っているよ。陛下も驚いていたけどね。まさか農婦として雇った女性が聖魔法の使い手だなんてね。君が暫く離れるのはとても残念だけど、国としては問題ないよ仕方ないしね」
畑は予想通り以前のやり方になるようだ。ちなみに私がチクった料理長の料理は、ホントはあんまり王族の皆さまの口には合ってなかった様で、どうやらクビになるらしい。
……いや、逆恨みで刺されないようにね、って笑顔で言われても困るんですケド……
1
お気に入りに追加
788
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる