世界樹の下で

瀬織董李

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転生前③

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「あー、……お、お疲れ様です。えと、じゃあ、次に私が転生する先の世界の事を教えて貰えますか?」

 例えば戦争が絶えなくていつもドンパチ何処かでやってる様な世界だったら嫌だし。それならいっそ特典なんか要らないから元の世界で産まれ変わった方がマシだ。
 どんな世界か、どんな文化か、一つずつ聞いていく。

「どんな世界かといえば、比較的平和です。貴女方の世界で言う剣と魔法の世界で、魔獣と呼ばれる生き物が驚異にはなっていますが数は少ないのでそれほど人が襲われるような事件はありません。魔王とか魔族とかも居ませんね。文化レベルは貴女方の世界の近世始めくらいですかね?まだ産業革命が起きる前、大航海時代の辺りですね。まあ、魔法があったりする分、進んでいたり遅れていたりと色々違いはありますが」

 天使様は、一旦話を区切ってズズーッとお茶を啜った。啜る飲み方出来るんだ流石天使。

「……何か変な誉められ方をしましたが、まあいいでしょう。人種は特にありません。肌や髪の色は多少地方で特色がありますが、差別がある程ではありません。差別があるとしたら身分ですね。文化レベルは近世ですが、政治レベルでは封建制度が残っているので」

 つまり、日本で流行ってるラノベのナンチャッテ中世ヨーロッパ的剣と魔法の世界そのものか。

「そういうことですね。どうです?考えは纏まりましたか?」

「そうですね。まあ、あまり考え過ぎてもどう転ぶかわかりませんし。『ぼくのかんがえたさいきょうてんせい』とかやる気はありませんしね」

「貴女はちょっと変わっていますね。こういう時はほとんどが権力や美貌やチート能力を求める輩が多いと聞いていましたが」

 まあ興味ないわけじゃないけど、それを活かせるかどうかは自信ないしねー。美貌なんてほんの二、三十年だし所詮皮一枚。それに男性にちやほやされるの嬉しいと思ったことないし。それに下手に権力なんて持ってて暗殺とかの身の危険に怯えるのもなんかヤだし。そもそもチートって不正行為だもの。まあ、その対策まで出来るように願いが三つなのかもしれないけど。
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