【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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蠢く闇Ⅲ

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「し――仕事が早いのう――」

 玉座で俺を待機していたアスモデウスさんがそう感想を述べた。

「ナリユキ閣下は探索も得意なんですか!?」

 とエリゴスは驚いた表情を見せていた。

海内無双ポセイドンの特性が強いお陰だな。魔物の言語が分からなくても魔物は色々と教えてくれる」

「成程。それでこの者を捕らえた訳ですね?」

 エリゴスは俺の隣で気絶して横たわっているヴェルサーリオを指した。

「情報を得る事はできたし、特に拷問をする必要は無いと思うが、疑問が浮かぶ度に捕らえているヴェルサーリオから情報を得ればいいと思ってる」

「その通りじゃな」

 アスモデウスさんはそう頷いていた。

「ところで、二人はアマイモンという魔族は知っているか?」

「それが今回の黒幕なのか?」

「恐らく。前提として、魔界のアスモデウス軍には作戦実行していないようだけど、他の魔王軍はヒーティスと同様の被害を受けているみたいだ。ベリアル軍もルシファー軍もな」

「成程のう。しかしアマイモンという魔族は知らぬな――エリゴス、其方は知っておるか?」

「いいえ。存じ上げません」

 魔族でも知らない魔族か――でも不思議だな。ヴェルサーリオが崇拝して慕っている魔族なら、相当な実力を持っている筈。それこそ魔王に匹敵する程の強さを持っていても不思議じゃない。

「魔界でも仮に戦闘値が7,000あれば有名人だよな?」

「当り前じゃ。7,000の戦闘値などそんなにゴロゴロいるもんじゃないしのう」

「戦闘値が6,000あっても有名人だよな?」

 俺がそう質問をすると二人は大きく頷いた。

「現に、ナリユキ閣下が捕えたこのヴェルサーリオは魔界では有名です。そもそもですが、バフォメットが人型化ヒューマノイドになれる時点で、元々知能が高いバフォメットの中でも、より知能が高い個体という訳なので」

「言ってしまえば、戦闘値が低くても有名になれる訳じゃ。そもそも、バフォメットそのものが希少で強い種族じゃしのう」

「それでエリゴスはヴェルサーリオの事を知っていた訳か」

「さようでございます。ヴェルサーリオは知略に長けているバフォメットで有名です。元々は、100人規模の精鋭をを率いていたリーダーでもあり、人を惹きつけるカリスマ性も持ち合わせております」

「中小企業の社長って訳か」

 俺がそう呟くと「中小企業?」と首を傾げていた。

「気にするな。それよりアマイモンの情報が分からないのは厳しいな――」 

「ルシファーに聞いてみるのはどうじゃろうか? 妾はまともに相手にしてくれないじゃろうが、ナリユキ閣下なら問題ない筈じゃ。パイモンには美味しい手土産持っていけば、何も言うまい」

「確かに」

 思わず笑みが零れてしまった。パイモンの食い意地凄いからな~。

「あのルシファーが、ナリユキ閣下とそのような交流ができるなんて――」

 と、エリゴスは驚いている。

「閣下に英雄ノ神インドラを託したのもルシファーが何かを感じ取ったからじゃろう。本当にどの魔王とも喋らんのに、ナリユキ閣下とは普通に喋るんじゃ。信じられないじゃろ?」

 少し強めの圧でエリゴスにそう話しかけるアスモデウスさん。エリゴスは「分かりましたから落ち着いてください」とアスモデウスさんをなだめる。

「頼まれてくれるか? ナリユキ閣下」

「勿論だ。この話を聞いて黙ってられる訳が無い。ルシファーは黒龍ニゲル討伐で死線を潜り抜けた同士だ。放っておく訳にはいかない。それに何やら嫌な予感もするしな。コヴィー・S・ウィズダムや黒龍ニゲル程の規模では無いけど、俺の直感が脅威を感じている」

「なるほど。では魔界への入口イビル・ポイントまで一緒に行こう。エリゴス、少し留守を頼むぞ?」

「かしこまりました。くれぐれもお気をつけ下さい」

「勿論じゃ。ではヴェルサーリオを幽閉しておいてくれ。あと、パイモンへの手土産を用意するのじゃ」

「かしこまりました」

 待つこと数分。パイモンへの手土産を持ち、俺はアスモデウスさんと一緒に魔界への入口イビル・ポイントまで戻った。

「飛び込めば行けるんだっけ?」

「そうじゃの。ナリユキ閣下なら問題ない。前提としてZ級じゃしのう」

「飛び込むだけだったら別に見送りいらなかったのに」

「国主が魔界への入口イビル・ポイントへ飛び込むって言っているのに、見送らない訳にはいかないじゃろう。それに、本当に万が一何かあったら妾は正気じゃおれん。ナリユキ閣下が魔界への入口イビル・ポイントに入り、魔界に無事到着したのを確認しなと気が済まないのじゃ」

「分かった。ありがとうな。そんで? ここに戻って来るにはどうすればいい?」

「簡単じゃ。出て来たところから入れば良い。あちらからこちらに来るときは地上界への入口アース・ポイントと呼ばれておるが原理は同じじゃ。ここの出入り口はアスモデウス軍が管理しておるから、妾の許可さえあれば出入りは簡単じゃ」

「――ん? もしかして何らかの仕掛けがあるのか?」

「勿論じゃ。無断で侵入した者は肉体が滅びる仕組みになっておる」

「さらっと怖い事言うな」

「妾がそれでも定期的にここに見に来るのは異変が無いかどうかを確かめるためでもあるが、仮にヴェルサーリオ達がここの魔界への入口イビル・ポイントを使って来たのであればその原因も知りたい」

「でも魔界への入口イビル・ポイントは世界に数か所あるんだよな?」

「そうじゃ。ここだけはないから、他の魔界への入口イビル・ポイントから来た可能性が高いとは思うがのう」

「分かった。じゃあ行ってくる」

「ほんとうにすまない。戻ってきたら妾と夜を共に――」

「却下で」

 俺がそう突き放した言い方をすると、「その目も好きじゃ!」と言ってくねくねしていた。放っておこう。

 俺は深呼吸をして魔界への入口イビル・ポイントの中に入って行った。

 確かに魔界への入口イビル・ポイントの中はえげつない程の瘴気が漂っていた。時空が歪んでいるかのような紫色の空間は気味が悪い。

 10秒程この空間に漂った後、エネルギーの集合体の黒い球状のゲートが出現した。俺はその中へ入りこんだ。
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