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ポセイドンの力Ⅲ
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「他に何か質問はあるか?」
「いえ――十分です」
俺がそう答えるとポセイドンは満足気な表情を浮かべていた。
「ではな坊主。ポセイドンの力を存分に発揮できることを期待しておくぞ」
ブラフマーはそう言って俺に激励をくれた。
「ブラフマー様。これからは宜しくお願い致します」
ポセイドンはブラフマーに対して握手を求めていた。ブラフマーは「ああ。こちらこそ」とポセイドンの手を強く握る。
「ナリユキ。余は其方をブラフマー様と共に見守る。余の力があれば、例えタルタロスの力を持っている人間の攻撃を受けても死にはしない。あとは己の成長意欲次第だ」
「もう何度か死んでしまっていますからね。ポセイドンさんの力が無くても十分懲りているので」
俺がそう返すとポセイドンは納得した表情を浮かべていた。
「それでは行ってこい」
ポセイドンのその言葉と共に俺は元の世界に戻った。すると、アイが「成功――よね?」と声をかけてきた。
「成功だよ」
「凄い……信じられないエネルギー」
そう呟くアイの目は、大好きな著名人を見ているときのような目へと変化していた。凄いエネルギーなのはそうなんだけど、エネルギーが駄々洩れなのは俺がこの力に慣れていない証拠でもある。
「エネルギーというより、MPが駄々洩れだと皆驚くだろ? だから普段は抑えているんだけど、新しい力が加わった事により抑制が上手くできていないみたいだな」
「な――成程。流石に戦闘値も上がったんでしょ? 私には視えないから」
「多分上がってるはずなんだけどな。どれだけ上がっているか正直分からないんだよ。まあ、マーズベルに帰ったときにでも確認してみるさ。それより、帰り船がなくても大丈夫だぞ。俺が送り届けてやるから」
「どういう事?」
「まあ見てな」
俺は水の中に飛び込んだ後、光が俺を包みこみとある動物に変身をした。勿論アイはその姿に驚いていた。
「ナリユキ――閣下よね?」
「勿論」
「凄い。一瞬にしてクジラになるなんて」
「新しい力は人間以外のあらゆる生物に変身することができるんだ。森妖精や魔族みたいに人の形をしているのは無理だけどな。当然――」
俺は陸に飛び出している最中に飛竜に変身をした。当然アイは目を丸くして驚いている。
「それ、もしかして飛行能力あるの?」
「見てみるか?」
俺はそう言って羽ばたいて見せた。これ、空ならもっと優雅に飛べるんだろうな~とか思うと、予定ではアイを乗せて帰るからそのときが楽しみだ。
「便利な能力ね。一体誰の能力なの?」
「ポセイドンだ。ほらオリュンポス十二神の」
俺がそう言うとアイは「おお……」と声にならない声を漏らしていた。
「しかもこの変身能力は一切MPを必要としない特性だ。他にも海洋生物と話せたり、海の中の自在に動ける。便利な能力だろ?」
「そうね。確かに魔物の特性が使えるのは凄く便利な能力ね。それがユニークスキルではなく、ユニークスキルの特性の一部だなんて」
「そういう事。この姿でも他のユニークスキルは使えないにしろ、アクティブスキルやアルティメットスキルは発動する事ができるからそれほど不便じゃない。それにこうやって喋る事もできるしな」
「凄いわね。ただ変な感じ。さっきまで人の姿だった人が今私の前にいるのは飛竜だもの」
「それもそうだな」
俺はそう返事をして元の人間の姿に戻った。視点の高さが急に変わるから少しは慣れは必要だな。魔物の特性を扱う点については、自然と出来るから問題ない。強いて言えば魔物の姿になることで、視界の原色も変わってしまう事だ。クジラに姿を変えた時は二原色しかなかったから、脳が赤色の情報をキャッチできていなかった。人間は赤・緑・青の三原色だから、一色の色が識別できないだけで、視えている世界が大きく違う。逆に飛竜の姿では人間より一原色多い四原色だった。人間と同様の赤・緑・青の三原色に加えて紫外線や特定の波長を視認できた。そうなると慣れてない俺からするとなかなかしんどい。これも慣れが必要だな。
「ただ、人間の姿じゃないとMPが漏れる量が結構多いな」
「威圧感結構すごかったよ。もう少しエネルギーを抑制した方がいいかも」
「だろうな。さて、寄り道できたから満足だ」
俺がそう言うとアイが思い出したかのように手をポンと叩いた。
「そうよ! 他にも色々見せたいものがあるのよ」
「じっくり案内頼むよ」
「任せて」
俺はポセイドンの力を手にして地下世界を後にした。この島にも住人がいる事を考えると、いつもでこの島に訪れる事ができるように、知り合いを一人でもいいので作っておきたい。そうすれば、この島を転移イヤリングを使って訪れる事ができる。後日、ここを調査したいしな。
俺とアイは地上へ出て、アイの案内でスヴァール島をじっくりと観光をした。
長さ8,000kmにも及ぶ氷河。まるで地下世界のように広々とした氷の洞窟。かつてこのスヴァール島を統べていたであろう主の氷の巨城。このような寒冷地域に樹は生えない筈だが、氷晶の森と呼ばれている神秘的な場所にも訪れた。観光地にすればいいのにと思ったが、王国だったスヴァール島の自然を守る為、原則現地の人しか入れないらしい。
なんと言っても、氷の塔があったのは驚きだ。現在はシールズ領のスヴァール島だが、スヴァールが王国だった時代に、先住民が王の墓として、MPを大量に注いで何千人という人材を割いて造ったのだとか。それがこの1,000mの氷の塔らしい。俺も同じのを創造主で一瞬出すことができるが、この氷の塔、王の墓のような威風堂々とした建造物は表現できないだろう。それはまさに、人によって造られたモノと簡易的に造ったモノとの差だ。
「いえ――十分です」
俺がそう答えるとポセイドンは満足気な表情を浮かべていた。
「ではな坊主。ポセイドンの力を存分に発揮できることを期待しておくぞ」
ブラフマーはそう言って俺に激励をくれた。
「ブラフマー様。これからは宜しくお願い致します」
ポセイドンはブラフマーに対して握手を求めていた。ブラフマーは「ああ。こちらこそ」とポセイドンの手を強く握る。
「ナリユキ。余は其方をブラフマー様と共に見守る。余の力があれば、例えタルタロスの力を持っている人間の攻撃を受けても死にはしない。あとは己の成長意欲次第だ」
「もう何度か死んでしまっていますからね。ポセイドンさんの力が無くても十分懲りているので」
俺がそう返すとポセイドンは納得した表情を浮かべていた。
「それでは行ってこい」
ポセイドンのその言葉と共に俺は元の世界に戻った。すると、アイが「成功――よね?」と声をかけてきた。
「成功だよ」
「凄い……信じられないエネルギー」
そう呟くアイの目は、大好きな著名人を見ているときのような目へと変化していた。凄いエネルギーなのはそうなんだけど、エネルギーが駄々洩れなのは俺がこの力に慣れていない証拠でもある。
「エネルギーというより、MPが駄々洩れだと皆驚くだろ? だから普段は抑えているんだけど、新しい力が加わった事により抑制が上手くできていないみたいだな」
「な――成程。流石に戦闘値も上がったんでしょ? 私には視えないから」
「多分上がってるはずなんだけどな。どれだけ上がっているか正直分からないんだよ。まあ、マーズベルに帰ったときにでも確認してみるさ。それより、帰り船がなくても大丈夫だぞ。俺が送り届けてやるから」
「どういう事?」
「まあ見てな」
俺は水の中に飛び込んだ後、光が俺を包みこみとある動物に変身をした。勿論アイはその姿に驚いていた。
「ナリユキ――閣下よね?」
「勿論」
「凄い。一瞬にしてクジラになるなんて」
「新しい力は人間以外のあらゆる生物に変身することができるんだ。森妖精や魔族みたいに人の形をしているのは無理だけどな。当然――」
俺は陸に飛び出している最中に飛竜に変身をした。当然アイは目を丸くして驚いている。
「それ、もしかして飛行能力あるの?」
「見てみるか?」
俺はそう言って羽ばたいて見せた。これ、空ならもっと優雅に飛べるんだろうな~とか思うと、予定ではアイを乗せて帰るからそのときが楽しみだ。
「便利な能力ね。一体誰の能力なの?」
「ポセイドンだ。ほらオリュンポス十二神の」
俺がそう言うとアイは「おお……」と声にならない声を漏らしていた。
「しかもこの変身能力は一切MPを必要としない特性だ。他にも海洋生物と話せたり、海の中の自在に動ける。便利な能力だろ?」
「そうね。確かに魔物の特性が使えるのは凄く便利な能力ね。それがユニークスキルではなく、ユニークスキルの特性の一部だなんて」
「そういう事。この姿でも他のユニークスキルは使えないにしろ、アクティブスキルやアルティメットスキルは発動する事ができるからそれほど不便じゃない。それにこうやって喋る事もできるしな」
「凄いわね。ただ変な感じ。さっきまで人の姿だった人が今私の前にいるのは飛竜だもの」
「それもそうだな」
俺はそう返事をして元の人間の姿に戻った。視点の高さが急に変わるから少しは慣れは必要だな。魔物の特性を扱う点については、自然と出来るから問題ない。強いて言えば魔物の姿になることで、視界の原色も変わってしまう事だ。クジラに姿を変えた時は二原色しかなかったから、脳が赤色の情報をキャッチできていなかった。人間は赤・緑・青の三原色だから、一色の色が識別できないだけで、視えている世界が大きく違う。逆に飛竜の姿では人間より一原色多い四原色だった。人間と同様の赤・緑・青の三原色に加えて紫外線や特定の波長を視認できた。そうなると慣れてない俺からするとなかなかしんどい。これも慣れが必要だな。
「ただ、人間の姿じゃないとMPが漏れる量が結構多いな」
「威圧感結構すごかったよ。もう少しエネルギーを抑制した方がいいかも」
「だろうな。さて、寄り道できたから満足だ」
俺がそう言うとアイが思い出したかのように手をポンと叩いた。
「そうよ! 他にも色々見せたいものがあるのよ」
「じっくり案内頼むよ」
「任せて」
俺はポセイドンの力を手にして地下世界を後にした。この島にも住人がいる事を考えると、いつもでこの島に訪れる事ができるように、知り合いを一人でもいいので作っておきたい。そうすれば、この島を転移イヤリングを使って訪れる事ができる。後日、ここを調査したいしな。
俺とアイは地上へ出て、アイの案内でスヴァール島をじっくりと観光をした。
長さ8,000kmにも及ぶ氷河。まるで地下世界のように広々とした氷の洞窟。かつてこのスヴァール島を統べていたであろう主の氷の巨城。このような寒冷地域に樹は生えない筈だが、氷晶の森と呼ばれている神秘的な場所にも訪れた。観光地にすればいいのにと思ったが、王国だったスヴァール島の自然を守る為、原則現地の人しか入れないらしい。
なんと言っても、氷の塔があったのは驚きだ。現在はシールズ領のスヴァール島だが、スヴァールが王国だった時代に、先住民が王の墓として、MPを大量に注いで何千人という人材を割いて造ったのだとか。それがこの1,000mの氷の塔らしい。俺も同じのを創造主で一瞬出すことができるが、この氷の塔、王の墓のような威風堂々とした建造物は表現できないだろう。それはまさに、人によって造られたモノと簡易的に造ったモノとの差だ。
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