【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
575 / 597

ポセイドンの力Ⅲ

しおりを挟む
「他に何か質問はあるか?」

「いえ――十分です」

 俺がそう答えるとポセイドンは満足気な表情を浮かべていた。

「ではな坊主。ポセイドンの力を存分に発揮できることを期待しておくぞ」

 ブラフマーはそう言って俺に激励をくれた。

「ブラフマー様。これからは宜しくお願い致します」

 ポセイドンはブラフマーに対して握手を求めていた。ブラフマーは「ああ。こちらこそ」とポセイドンの手を強く握る。

「ナリユキ。余は其方をブラフマー様と共に見守る。余の力があれば、例えタルタロスの力を持っている人間の攻撃を受けても死にはしない。あとは己の成長意欲次第だ」

「もう何度か死んでしまっていますからね。ポセイドンさんの力が無くても十分懲りているので」

 俺がそう返すとポセイドンは納得した表情を浮かべていた。

「それでは行ってこい」

 ポセイドンのその言葉と共に俺は元の世界に戻った。すると、アイが「成功――よね?」と声をかけてきた。

「成功だよ」

「凄い……信じられないエネルギー」

 そう呟くアイの目は、大好きな著名人を見ているときのような目へと変化していた。凄いエネルギーなのはそうなんだけど、エネルギーが駄々洩れなのは俺がこの力に慣れていない証拠でもある。

「エネルギーというより、MPが駄々洩れだと皆驚くだろ? だから普段は抑えているんだけど、新しい力が加わった事により抑制が上手くできていないみたいだな」

「な――成程。流石に戦闘値も上がったんでしょ? 私には視えないから」

「多分上がってるはずなんだけどな。どれだけ上がっているか正直分からないんだよ。まあ、マーズベルに帰ったときにでも確認してみるさ。それより、帰り船がなくても大丈夫だぞ。俺が送り届けてやるから」

「どういう事?」

「まあ見てな」

 俺は水の中に飛び込んだ後、光が俺を包みこみとある動物に変身をした。勿論アイはその姿に驚いていた。

「ナリユキ――閣下よね?」

「勿論」

「凄い。一瞬にしてクジラになるなんて」

「新しい力は人間以外のあらゆる生物に変身することができるんだ。森妖精エルフや魔族みたいに人の形をしているのは無理だけどな。当然――」

 俺は陸に飛び出している最中に飛竜ワイバーンに変身をした。当然アイは目を丸くして驚いている。

「それ、もしかして飛行能力あるの?」

「見てみるか?」

 俺はそう言って羽ばたいて見せた。これ、空ならもっと優雅に飛べるんだろうな~とか思うと、予定ではアイを乗せて帰るからそのときが楽しみだ。

「便利な能力ね。一体誰の能力なの?」

「ポセイドンだ。ほらオリュンポス十二神の」

 俺がそう言うとアイは「おお……」と声にならない声を漏らしていた。

「しかもこの変身能力は一切MPを必要としない特性だ。他にも海洋生物と話せたり、海の中の自在に動ける。便利な能力だろ?」

「そうね。確かに魔物の特性が使えるのは凄く便利な能力ね。それがユニークスキルではなく、ユニークスキルの特性の一部だなんて」

「そういう事。この姿でも他のユニークスキルは使えないにしろ、アクティブスキルやアルティメットスキルは発動する事ができるからそれほど不便じゃない。それにこうやって喋る事もできるしな」

「凄いわね。ただ変な感じ。さっきまで人の姿だった人が今私の前にいるのは飛竜ワイバーンだもの」

「それもそうだな」

 俺はそう返事をして元の人間の姿に戻った。視点の高さが急に変わるから少しは慣れは必要だな。魔物の特性を扱う点については、自然と出来るから問題ない。強いて言えば魔物の姿になることで、視界の原色も変わってしまう事だ。クジラに姿を変えた時は二原色しかなかったから、脳が赤色の情報をキャッチできていなかった。人間は赤・緑・青の三原色だから、一色の色が識別できないだけで、視えている世界が大きく違う。逆に飛竜ワイバーンの姿では人間より一原色多い四原色だった。人間と同様の赤・緑・青の三原色に加えて紫外線や特定の波長を視認できた。そうなると慣れてない俺からするとなかなかしんどい。これも慣れが必要だな。

「ただ、人間の姿じゃないとMPが漏れる量が結構多いな」

「威圧感結構すごかったよ。もう少しエネルギーを抑制した方がいいかも」

「だろうな。さて、寄り道できたから満足だ」

 俺がそう言うとアイが思い出したかのように手をポンと叩いた。

「そうよ! 他にも色々見せたいものがあるのよ」

「じっくり案内頼むよ」

「任せて」

 俺はポセイドンの力を手にして地下世界アンダー・グラウンドを後にした。この島にも住人がいる事を考えると、いつもでこの島に訪れる事ができるように、知り合いを一人でもいいので作っておきたい。そうすれば、この島を転移テレポートイヤリングを使って訪れる事ができる。後日、ここを調査したいしな。

 俺とアイは地上へ出て、アイの案内でスヴァール島をじっくりと観光をした。

 長さ8,000kmにも及ぶ氷河。まるで地下世界アンダー・グラウンドのように広々とした氷の洞窟。かつてこのスヴァール島を統べていたであろう主の氷の巨城。このような寒冷地域に樹は生えない筈だが、氷晶の森と呼ばれている神秘的な場所にも訪れた。観光地にすればいいのにと思ったが、王国だったスヴァール島の自然を守る為、原則現地の人しか入れないらしい。

 なんと言っても、氷の塔があったのは驚きだ。現在はシールズ領のスヴァール島だが、スヴァールが王国だった時代に、先住民が王の墓として、MPを大量に注いで何千人という人材リソースを割いて造ったのだとか。それがこの1,000mの氷の塔らしい。俺も同じのを創造主ザ・クリエイターで一瞬出すことができるが、この氷の塔、王の墓ブリシェールのような威風堂々とした建造物は表現できないだろう。それはまさに、人によって造られたモノと簡易的に造ったモノとの差だ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

処理中です...