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ポセイドンの力Ⅰ
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触れた瞬間訪れた真っ白な空間。
「ほう。ここに訪れるとは其方は石版を読んだのか?」
そう問いかけてきたのは2m程の巨体を持ち、腰くらいまである青い髪の男性だった。見た目は三十前半から四十前半。長方形のウール布を右肩を露出させて体に巻きつけている。両腕には波のような刺青を入れている。そして、右手には自身と同じくらいの長さの三叉の矛を持っていた。淵が金色でそれ以外の部分がサファイアのように輝いているのが特徴的だった。
「ええ。まあ――」
「人間と会うのは何万年ぶりか分からないが、余の導きで来てくれたという訳だな?」
「そうですね。貴方も神様でいいんですよね?」
「いかにも。余はポセイドン。大海と地震を操る神だ」
そう聞いた瞬間、俺のテンションは爆上がりだった。ポセイドンきたああああ! と心の中でガッツポーズをした。多少ニヤけているかもしれない。
「其方の名は?」
「私の名前はナリユキ・タテワキ。マーズベルの国主をしています」
すると、ポセイドンは首を傾げていた。
「余の記憶ではマーズベルは国ではなかったが。確か、ブラフマー様が力を入れて強力な魔物ばかりにしていた広大な森と、淡水と海水が入り混じる湖と、鉱石が豊富な山脈があった土地ではなかったか?」
「そうです。そこに住んでいた飛竜と協力し、マーズベルの管理をしていた森妖精の許可を得て建国しました」
つうかマーズベルの魔物ってブラフマーが創造したのかよ。現存の魔物は自然に生まれたものだろうけど、祖先は全てブラフマーが生み出したものって事か。そりゃあ強い魔物が集まる訳だ。あの人、本当に世界を創造したんだな。それにポセイドンまで様付けで呼んでいるし、神様のなかの神様なんだろうな。原初の三神って。
「成程。なかなか面白いな――気になるのだが、其方もしかして神のユニークスキルを三つ持っていないか? それに創造主というユニークスキルは、能力の内容を見る限りブラフマー様の力ではないか?」
「全くその通りです」
俺がそう言うとポセイドンは怪訝な表情を浮かべていた。
「固有能力を五つも持っている人間は見たことがない。創造主、知性・記憶の略奪と献上、英雄ノ神、復讐の時限爆弾、悪魔との機密契約――それほど多くの力を手にし、Z級の強さに到達した其方は、何故力を求める」
ポセイドンは真剣な眼差しでそう問いかけてきた。
「倒したい人間――。いえ、倒さなければならない敵がいるんです」
俺はポセイドンの目を真っ直ぐ見てそう伝えた。しかしポセイドンは「しかし……」と迷っている。そんな時だった。
「久しぶりだなポセイドン」
聞き慣れた声。異常なまでの存在感。右に視線を移すと、そこにはブラフマーが立っていた。
「ブラフマー様!?」
と、ポセイドンは驚愕した後跪く。
「ああ。そんな事しなくていい。面を上げてくれ」
ポセイドンはブラフマーの指示通り、顔を上げてブラフマーの目を真っすぐ見ていた。
「まさか、まだ繋がっていない状態でお会いできるなんて――」
ポセイドンはそう言って俺の顔をまじまじと見てくる。
「まあ端的に言えば、私と坊主の関係性は親密にある。だから、坊主の中にポセイドンがいなくても、坊主とポセイドンが接触していれば、私も干渉する事が出来るという訳だ。まあアレだ。坊主の世界の言葉を借りるなら保護者面談ってやつだ」
「それは余計なお世話」
「余計なお世話とは何だ。大きな商談の時は上司の同行は必要不可欠だろ?」
ブラフマーは俺にそう指摘した。前の世界で例えられると妙に腹落ちするから何も言えない。
「ポセイドン。坊主にお主の力が必要なのだ。理由は単純だ。タルタロスの力を持つ人間がいる。それにその人間は最近、シヴァの力も手にした」
ブラフマーがそう伝えるとポセイドンは目を丸くして驚いていた。
「本当ですか……?」
「嘘な訳なかろう。代表的な力がその二つだが、実際には様々な力を持っている。その人間は様々な実験を行った事により、私が生み出した赤龍の力と、今は亡き魔王ザガンの力、そして森妖精の力を持っている。今の世界で唯一存在する神、ヴィシュヌ。今はミロクと名乗っているが、ヴィシュヌですら手を焼く程の力を持っているのだ。坊主にどれだけ力があってもまだまだ足りないのだ」
「ヴィシュヌ様ですら――つまり、ブラフマー様や我が弟のゼウスが、仮に現世にいても勝てる可能は低いという訳ですか?」
ポセイドンはブラフマーに対して恐る恐るそう質問を投げた。吃驚なんだが、ゼウスってポセイドンの弟だったのか――。
「恥ずかしい話その通りだ。大丈夫だ。坊主に力を預けても問題ない。仮に坊主が悪事に活用した時は、繋がりが深い私達が道を正せば良いだけだ」
ブラフマーがそう伝えるとポセイドンは俺の方を向いてきた。
「人間――いや、ナリユキよ。正義の為に余の力を使うと誓えるか?」
「勿論」
俺はそう伝えるとポセイドンは何か決心した様子だった。
ポセイドンは大きく深呼吸をして口を開いた。
「ほう。ここに訪れるとは其方は石版を読んだのか?」
そう問いかけてきたのは2m程の巨体を持ち、腰くらいまである青い髪の男性だった。見た目は三十前半から四十前半。長方形のウール布を右肩を露出させて体に巻きつけている。両腕には波のような刺青を入れている。そして、右手には自身と同じくらいの長さの三叉の矛を持っていた。淵が金色でそれ以外の部分がサファイアのように輝いているのが特徴的だった。
「ええ。まあ――」
「人間と会うのは何万年ぶりか分からないが、余の導きで来てくれたという訳だな?」
「そうですね。貴方も神様でいいんですよね?」
「いかにも。余はポセイドン。大海と地震を操る神だ」
そう聞いた瞬間、俺のテンションは爆上がりだった。ポセイドンきたああああ! と心の中でガッツポーズをした。多少ニヤけているかもしれない。
「其方の名は?」
「私の名前はナリユキ・タテワキ。マーズベルの国主をしています」
すると、ポセイドンは首を傾げていた。
「余の記憶ではマーズベルは国ではなかったが。確か、ブラフマー様が力を入れて強力な魔物ばかりにしていた広大な森と、淡水と海水が入り混じる湖と、鉱石が豊富な山脈があった土地ではなかったか?」
「そうです。そこに住んでいた飛竜と協力し、マーズベルの管理をしていた森妖精の許可を得て建国しました」
つうかマーズベルの魔物ってブラフマーが創造したのかよ。現存の魔物は自然に生まれたものだろうけど、祖先は全てブラフマーが生み出したものって事か。そりゃあ強い魔物が集まる訳だ。あの人、本当に世界を創造したんだな。それにポセイドンまで様付けで呼んでいるし、神様のなかの神様なんだろうな。原初の三神って。
「成程。なかなか面白いな――気になるのだが、其方もしかして神のユニークスキルを三つ持っていないか? それに創造主というユニークスキルは、能力の内容を見る限りブラフマー様の力ではないか?」
「全くその通りです」
俺がそう言うとポセイドンは怪訝な表情を浮かべていた。
「固有能力を五つも持っている人間は見たことがない。創造主、知性・記憶の略奪と献上、英雄ノ神、復讐の時限爆弾、悪魔との機密契約――それほど多くの力を手にし、Z級の強さに到達した其方は、何故力を求める」
ポセイドンは真剣な眼差しでそう問いかけてきた。
「倒したい人間――。いえ、倒さなければならない敵がいるんです」
俺はポセイドンの目を真っ直ぐ見てそう伝えた。しかしポセイドンは「しかし……」と迷っている。そんな時だった。
「久しぶりだなポセイドン」
聞き慣れた声。異常なまでの存在感。右に視線を移すと、そこにはブラフマーが立っていた。
「ブラフマー様!?」
と、ポセイドンは驚愕した後跪く。
「ああ。そんな事しなくていい。面を上げてくれ」
ポセイドンはブラフマーの指示通り、顔を上げてブラフマーの目を真っすぐ見ていた。
「まさか、まだ繋がっていない状態でお会いできるなんて――」
ポセイドンはそう言って俺の顔をまじまじと見てくる。
「まあ端的に言えば、私と坊主の関係性は親密にある。だから、坊主の中にポセイドンがいなくても、坊主とポセイドンが接触していれば、私も干渉する事が出来るという訳だ。まあアレだ。坊主の世界の言葉を借りるなら保護者面談ってやつだ」
「それは余計なお世話」
「余計なお世話とは何だ。大きな商談の時は上司の同行は必要不可欠だろ?」
ブラフマーは俺にそう指摘した。前の世界で例えられると妙に腹落ちするから何も言えない。
「ポセイドン。坊主にお主の力が必要なのだ。理由は単純だ。タルタロスの力を持つ人間がいる。それにその人間は最近、シヴァの力も手にした」
ブラフマーがそう伝えるとポセイドンは目を丸くして驚いていた。
「本当ですか……?」
「嘘な訳なかろう。代表的な力がその二つだが、実際には様々な力を持っている。その人間は様々な実験を行った事により、私が生み出した赤龍の力と、今は亡き魔王ザガンの力、そして森妖精の力を持っている。今の世界で唯一存在する神、ヴィシュヌ。今はミロクと名乗っているが、ヴィシュヌですら手を焼く程の力を持っているのだ。坊主にどれだけ力があってもまだまだ足りないのだ」
「ヴィシュヌ様ですら――つまり、ブラフマー様や我が弟のゼウスが、仮に現世にいても勝てる可能は低いという訳ですか?」
ポセイドンはブラフマーに対して恐る恐るそう質問を投げた。吃驚なんだが、ゼウスってポセイドンの弟だったのか――。
「恥ずかしい話その通りだ。大丈夫だ。坊主に力を預けても問題ない。仮に坊主が悪事に活用した時は、繋がりが深い私達が道を正せば良いだけだ」
ブラフマーがそう伝えるとポセイドンは俺の方を向いてきた。
「人間――いや、ナリユキよ。正義の為に余の力を使うと誓えるか?」
「勿論」
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