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刺客の本領Ⅰ
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タスクとツバキの連続攻撃を漆黒の三又槍でいとも簡単に止めていく。
「人型化になっただけであんなに動きにキレが出るの?」
「そうだ。な? 言った通りだろ?」
「強化もかけているんだよね?」
「かけてるな。それでバロールの方が涼しい顔をしている。そもそも戦闘値はバロールの方が高いから、当然の結果と言えば当然の結果だけど」
「だけど――?」
「見ろよあのタスクの表情。何とかしてくれそうな負けん気をビリビリと感じる」
「確かに」
俺の意見にアイは強く頷いていた。
しかし数分の攻防が続くとタスクとツバキは息を切らしてきた。そしてとうとう――。
バロールの一閃により二人はなぎ倒された。
二人は腹部から大量の血を噴出させて地面へと倒れこむ。一方、その様子を見て高らかに笑うバロール。
「流石に図体が小さくなると動きのキレが段違いだな」
「そうだね」
そう言って二人は立ち上がった。勿論、彼等のレベルなので自動再生と自動回復で身体は修復されていたが、大きな一太刀を浴びた二人は悔しがっているようだった。
「我は転生者という存在がとことん嫌いでな。八つ裂きにしてやろう」
「何でそんなに転生者を目の敵にするんだ?」
俺がそう何気ない質問をしたら、バロールは剣幕な表情を浮かべながらこう答えた。
「我は――あの老いぼれを許さない――。そしてその老いぼれと同じ全ての転生者をこの世から消す――」
「老いぼれの転生者?」
「ああ。そうだ。今は若い姿をしているがな。中身は500年以上前の転生者だ」
と、今にも憤慨しそうなバロール。
「――もしかしてコヴィー・S・ウィズダムとか?」
「貴様あの老いぼれの仲間か!」
と、言ってバロールが俺に襲い掛かってきた。すると、タスクとツバキが「無視をするな!」と言い放ってバロールの攻撃を食い止める。
「邪魔をするな貴様等!」
「それは無理な相談だね。私達も無視をされるのは嫌だもん。あのお兄さんを倒したいなら、先に私達を倒さないと」
「そういう事だ。コヴィー・S・ウィズダムが誰かは知らないし、お前の怨恨に興味は毛頭ない。大人しく俺に切り裂かれるんだな」
タスクがそう言いながら力をグッと入れると、鍔競り合いを制したのはタスクとツバキだった。
バロールはそのまま二人の攻撃を浴びて、再び腹部から血を噴出させていた。
「小癪な!」
バロールがそう強く言い放った途端、タスクとツバキは後ろに吹き飛ばされて家の中に放り込まれた。その勢いで家は倒壊し、潰れた家屋に埋もれてしまう。
その影響は二人だけではない。アイも吹き飛ばされそうになっていたので、俺がアイを抱えてアイが吹き飛ばされるのを防止した。
スキル名は王の威圧。という聞いたことが無い名前のアクティブスキル。相手が何であろうと、無条件に吹き飛ばして大きなダメージを与えるというもの。
まあ、Z級の俺は効かないし、俺がアイを守ったから大丈夫だったけど、倒壊した家の中から出てきたタスクとツバキは案の定血まみれになっていた。
ぜえぜえ――と大きな息を切らして現れたタスクとツバキ。案の定、全身血まみれになって出てきた。しかし、心配をする必要は無い。再び自動再生と自動回復が彼等の身体を修復する。
「この戦い長引きそう?」
「いや、そうでもない。恐らくバロールの勝ちだ」
俺がそう言った通りバロールは不敵な笑みを浮かべるなり、邪悪なエネルギーを三又槍に集中させていた。そして――。
「喰らうがいい転生者共。これが我の虚王斬!」
そう言って放たれた漆黒の赤い斬撃。凄まじいエネルギーが込められており、街を軽く吹き飛ばすくらいの威力がある事が推測できるソレは、タスクとツバキを風に煽られる紙のように軽々と吹き飛ばし、直撃した二人は噴水のような出血をしていた。
「ま――マズいんじゃない!?」
「かもな。でもあれで諦める二人じゃないさ」
「何でそこまで冷静なの!? 死ぬかもしれないよ」
「大丈夫。俺がいる限り二人を死なす事は無いさ。バロールなんて俺の相手にもならん」
俺がそう言うとアイはポカンとしていた表情を浮かべていた。
「そういう問題なの――」
「そういう問題。何でもかんでも助けていては駄目だ。見守るのも立派な仕事だぜ?」
「そ――そうなのかな~」
「まあ、上の立場になれば少しは分かる筈だ」
俺がそう言ってもアイは腑に落ちていない様子だった。
「なかなかの攻撃だな」
「流石にダメージ大きいかも」
そう言って二人はムクリと立ち上がるなり平然を装っていた。回復している筈がどこか我慢しているようにも見える――。内部的に相当なダメージを負ったのかもしれないが、自動回復をすればそれらのダメージも修復できる事を考えると、先程の攻撃で相当な体力を奪われたようだ。
戦闘値はあくまでタスクとツバキの方が下だしな。
さあどうする?
「ツバキ。アレを使うぞ」
「分かった。少し飛ばし過ぎな気もするけど仕方ないよね」
彼等が指しているアレとは二人で発動する強力なアクティブスキルだ。スキル名は真・夢想刀。相手を意識せずに斬り伏せるという非常にシンプルなアクティブスキルだが、相手が攻撃を意識するほど威力が上がるという変わったスキルだった。
コンビ技が来ると思ったら意識せずにはいられないのが普通だ。あとは、その攻撃を受ける側がどれだけその攻撃を意識するかによる。恐らく、恐怖心が高ければ高い程死亡率も上がるんだろうな。そう思うと、人によっては一撃必殺の技となる訳だ。
「行くぞ」
「いつでも」
三秒後、何の合図も無しで互いの呼吸を合わせて発動したアクティブスキル、真・夢想刀はバロールを斬り伏せた。
「人型化になっただけであんなに動きにキレが出るの?」
「そうだ。な? 言った通りだろ?」
「強化もかけているんだよね?」
「かけてるな。それでバロールの方が涼しい顔をしている。そもそも戦闘値はバロールの方が高いから、当然の結果と言えば当然の結果だけど」
「だけど――?」
「見ろよあのタスクの表情。何とかしてくれそうな負けん気をビリビリと感じる」
「確かに」
俺の意見にアイは強く頷いていた。
しかし数分の攻防が続くとタスクとツバキは息を切らしてきた。そしてとうとう――。
バロールの一閃により二人はなぎ倒された。
二人は腹部から大量の血を噴出させて地面へと倒れこむ。一方、その様子を見て高らかに笑うバロール。
「流石に図体が小さくなると動きのキレが段違いだな」
「そうだね」
そう言って二人は立ち上がった。勿論、彼等のレベルなので自動再生と自動回復で身体は修復されていたが、大きな一太刀を浴びた二人は悔しがっているようだった。
「我は転生者という存在がとことん嫌いでな。八つ裂きにしてやろう」
「何でそんなに転生者を目の敵にするんだ?」
俺がそう何気ない質問をしたら、バロールは剣幕な表情を浮かべながらこう答えた。
「我は――あの老いぼれを許さない――。そしてその老いぼれと同じ全ての転生者をこの世から消す――」
「老いぼれの転生者?」
「ああ。そうだ。今は若い姿をしているがな。中身は500年以上前の転生者だ」
と、今にも憤慨しそうなバロール。
「――もしかしてコヴィー・S・ウィズダムとか?」
「貴様あの老いぼれの仲間か!」
と、言ってバロールが俺に襲い掛かってきた。すると、タスクとツバキが「無視をするな!」と言い放ってバロールの攻撃を食い止める。
「邪魔をするな貴様等!」
「それは無理な相談だね。私達も無視をされるのは嫌だもん。あのお兄さんを倒したいなら、先に私達を倒さないと」
「そういう事だ。コヴィー・S・ウィズダムが誰かは知らないし、お前の怨恨に興味は毛頭ない。大人しく俺に切り裂かれるんだな」
タスクがそう言いながら力をグッと入れると、鍔競り合いを制したのはタスクとツバキだった。
バロールはそのまま二人の攻撃を浴びて、再び腹部から血を噴出させていた。
「小癪な!」
バロールがそう強く言い放った途端、タスクとツバキは後ろに吹き飛ばされて家の中に放り込まれた。その勢いで家は倒壊し、潰れた家屋に埋もれてしまう。
その影響は二人だけではない。アイも吹き飛ばされそうになっていたので、俺がアイを抱えてアイが吹き飛ばされるのを防止した。
スキル名は王の威圧。という聞いたことが無い名前のアクティブスキル。相手が何であろうと、無条件に吹き飛ばして大きなダメージを与えるというもの。
まあ、Z級の俺は効かないし、俺がアイを守ったから大丈夫だったけど、倒壊した家の中から出てきたタスクとツバキは案の定血まみれになっていた。
ぜえぜえ――と大きな息を切らして現れたタスクとツバキ。案の定、全身血まみれになって出てきた。しかし、心配をする必要は無い。再び自動再生と自動回復が彼等の身体を修復する。
「この戦い長引きそう?」
「いや、そうでもない。恐らくバロールの勝ちだ」
俺がそう言った通りバロールは不敵な笑みを浮かべるなり、邪悪なエネルギーを三又槍に集中させていた。そして――。
「喰らうがいい転生者共。これが我の虚王斬!」
そう言って放たれた漆黒の赤い斬撃。凄まじいエネルギーが込められており、街を軽く吹き飛ばすくらいの威力がある事が推測できるソレは、タスクとツバキを風に煽られる紙のように軽々と吹き飛ばし、直撃した二人は噴水のような出血をしていた。
「ま――マズいんじゃない!?」
「かもな。でもあれで諦める二人じゃないさ」
「何でそこまで冷静なの!? 死ぬかもしれないよ」
「大丈夫。俺がいる限り二人を死なす事は無いさ。バロールなんて俺の相手にもならん」
俺がそう言うとアイはポカンとしていた表情を浮かべていた。
「そういう問題なの――」
「そういう問題。何でもかんでも助けていては駄目だ。見守るのも立派な仕事だぜ?」
「そ――そうなのかな~」
「まあ、上の立場になれば少しは分かる筈だ」
俺がそう言ってもアイは腑に落ちていない様子だった。
「なかなかの攻撃だな」
「流石にダメージ大きいかも」
そう言って二人はムクリと立ち上がるなり平然を装っていた。回復している筈がどこか我慢しているようにも見える――。内部的に相当なダメージを負ったのかもしれないが、自動回復をすればそれらのダメージも修復できる事を考えると、先程の攻撃で相当な体力を奪われたようだ。
戦闘値はあくまでタスクとツバキの方が下だしな。
さあどうする?
「ツバキ。アレを使うぞ」
「分かった。少し飛ばし過ぎな気もするけど仕方ないよね」
彼等が指しているアレとは二人で発動する強力なアクティブスキルだ。スキル名は真・夢想刀。相手を意識せずに斬り伏せるという非常にシンプルなアクティブスキルだが、相手が攻撃を意識するほど威力が上がるという変わったスキルだった。
コンビ技が来ると思ったら意識せずにはいられないのが普通だ。あとは、その攻撃を受ける側がどれだけその攻撃を意識するかによる。恐らく、恐怖心が高ければ高い程死亡率も上がるんだろうな。そう思うと、人によっては一撃必殺の技となる訳だ。
「行くぞ」
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