【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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新たな冒険者Ⅶ

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「あの二人でも勝てないじゃないの!?」

「確かにそうかも。タスクが7,500。ツバキが7,000だからな」

「助けなくて大丈夫なの!?」

「なるようになるだろ。少し見物させてもらう」

 俺がそう言うとアイは開いた口が塞がらない――と言った状態だった。

「いいわ。私が助ける」

「いやだから焦るなって」

 俺がアイを手を引っ張って呼び止めると、アイは「何で!?」と声を荒げていた。

「この相手に勝てれば俺が依頼しようとしているクエストを安心して任せられるから試してみたいんだ。それにほら、あの巨人の表情を見てみろ」

 俺がそう言うとアイは巨人の表情を凝視した。

「何か、力を目一杯入れている感じで苦い表情をしているわね」

 次の瞬間、巨人の二つの手首が斬り落とされた。見事巨人から脱出した二人は俺達の前に着地した。

「油断していた。まさか俺達の事をハメたのか? 巨人を従える人間がいるとはな」

「いや、タスク。それは疑いすぎだよ」

「どうも信用ならんが――まあいい。少し厄介な敵ではありそうだな」

「そうだね。バロールの魔眼には注意しないと」

「ああ。こんな巨人がこの世界にいるとはな――」

 タスクがそう言っていたが違和感があった。流石にこんな化物地上にはいないと思う。

「我はフォモール族の王! この我の両手を斬り落とした事後悔するがいい!」

 バロールはそう言って怒号を散らした。同時に、二人が斬り落とした手は容易く再生された。奴も自動再生を持っているから、手を斬り落としたくらいで大したダメージにはならない。

「話は後だ得体の知れない日本人」

「ここは私達が食い止める。フォモール族か何か知らないけど、最初に喧嘩を売ってきたのはアンタなんだから!」

 タスクとツバキはそう言って刀を構えた。タスクは左側に立ち右手で抜刀の構え。ツバキは右側に立ち左手で抜刀の構え。見事なまでの左右対称シンメトリーだ。

「おう。頑張れ。最悪何かあっても俺がソイツを倒すから」

 俺のその言葉に反応したのはバロールだった。

「減らず口を――この二人を殺した後、貴様をあの世に送ってやろう」

「出来るものならやってみな」

「ぬかせー!」

 そう言ってバロールは俺に向かって走ってきた。

「俺達の事が眼中に無さそうだな」

「少しイラっとするよね」

 そう言って走ってきたバロールが、タスクとツバキに近付くと、二人は同時に抜刀した。龍騎士を彷彿させる抜刀の速さはS級の最上位クラスと言っても良い。

「凄い速さ――あんなの避けきれない」

 アイがそう呟いた通り、あまりにも速い抜刀攻撃に、バロールは避ける事ができず足が見事に切断されてしまった。戦闘値は結構離れているのに、格上相手でもあそこまで火力を出せるのは凄いな。

「凄い攻撃――」

 と、アイは感心していた。

「行くぞツバキ」

「分かってる」

 タスクがそう確認を行いツバキがそう頷くと、タスクは立てないバロールの首元をめがけて飛んで行った。ツバキはタスクに刀を向けながらタスクの後に付いている。刀を向けられたタスクは輝き始めた。

 ツバキがタスクに刀を向ける事によって、タスクに攻撃力増加の強化バフをかけたようだ。

「喰らえ!」

 タスクがそう言って一太刀浴びせようとした時だった。バロールが口から黒い雷を纏っている赤いエネルギー波を放った。久しぶりの登場だ。破壊の滅殺光ディスラクション・レーズだ。

「何あの攻撃!? 凄いエネルギー――」

 どうやらアイはこの技を見るのは初めてらしいな。

「油断したな人間よ!」

 そう高笑いをしているバロールだったが――。

「油断しているのは貴様だ」

「そっくりそのまま返すね!」

 バロールは声がする後ろを振り向いた瞬間、首から大量の血が噴出した。

「戦闘値関係ない!?」

「まあ攻撃に特化しているからな。身体が大きい分、ヒットボックスが大きくなるしスピードも鈍る。耐久値は高いけどこの調子で攻撃していれば、自動再生の速度も低下してバロールが不利になる」

「成程――。身体が大きい方が有利だと思っていたけど」

「そうでもないさ。実際に黒龍が俺と本気で戦う時は、人型化ヒューマノイドになっていた。奴もそうする筈だぜ」

「こ――黒龍と戦ったの!?」

「……もしかして知らなかったのか?」

「ええ」

「どんだけ閉鎖的な国なんだよ。ヤバいだろ」

「それは私も思う。そもそも黒龍なんて伝説上の魔物と思っていたから」

 アイはそう言って恥ずかし気な様子を見せていた。
 
「黒龍のせいで世界中で火災が起きていたと思うんだけど――」

「あれ――黒龍だったんだ。街中がパニックになったと思えば、誰かが鎮火してくれていたから」

「それ、オストロンの国主、青龍リオ・シェンランだから」

「はい……」

 と、アイは俺に顔を合わせなくなった。

「貴様等なかなかやるな」

 と不敵な笑みを浮かべるバロール。一方タスクとツバキは「案外大したことが無いな」と吐き捨てた。

 その言葉がバロールは癇に障ったのか――。

「いいだろう。後悔させてやる」

 そう言ってバロールは自らのエネルギーを大いに開放した。

 その後人型化ヒューマノイドになったバロールの姿は、なかなか厨二心を燻ぶられるような外見をしていた。

「それが貴様の人型化ヒューマノイドか」

「おお――悪魔って感じだね」

 と、タスクとツバキは続けて感想を述べていた。

 長い銀髪は健在。鍛え抜かれた上半身を露わにし、体中には黒い紋様が現れていた。左目にはレザーの黒い眼帯をしており、漆黒の三又槍を持っているのが特徴的だ。そして腕には黒い籠手ガントレットを装着している。人型化ヒューマノイドでは身長が3m程のようだ。

「この姿になればそう攻撃を受けないぞ? 覚悟はいいな?」

「ほざけ」

 タスクはそう言って地面を蹴り上げた。



 
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