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新たな冒険者Ⅲ
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「じゃあせっかくだし少しだけ遊ぶか」
俺がそう言うと子供達の表情が一気に明るくなった。特にサルガナタスの目はまるで宝石のように輝いていた。
休憩時間を存分に使って子供達と遊んだ。そしてあっという間だった。
皆俺に別れを告げて残ったのはサルガナタスと森妖精の少女の二人だった。
「嫌だ。もっと遊びたい」
と駄々をこねるサルガナタス。それを森妖精の少女が「駄目よ」と言ってサルガナタスを教室に連れ戻そうとする。
「いいじゃん。まだ予鈴じゃん。いいでしょ?」
「デアに怒られる覚悟があるならな」
俺がそう言うとサルガナタスの顔が青白くなっていく。普段、どんな注意のされ方しているんだ。と思うがそこは敢えて触れないでおこう。
「ナリユキ様。色々とありがとうございました」
「全然いいよ。また会いに来るから、しっかり勉強しておけよ」
「はい!」
と森妖精の少女。サルガナタスは諦めたのか、「また絶対に来てね!」と引きずられながら校舎の方へと姿を消して行った。
休憩時間は一時間。その中に食事の時間も含まれている。冷静に考えたら俺が学校に通っていた時、お昼休みの時間は昼食時間も入れて40分程だった。冷静に考えたら短すぎる。他にもトイレに行くときにわざわざ挙手をして、先生に行って来てもいいですか? と許可を得なければならない。これも意味が分からない。行ってきます。の一言でいいじゃんって思う。
これらは悪い言い方をすると誰かに従うのが前提の教育でもある。確かに幼い時からある程度ルールを守れる子供に育てるのは必要かもしれないが、俺達が叩き込まれたルールはあまりにも細かいのでは無いかという本を、前の世界で見たことがある。それに繋がってくるのが、ムーンショット計画というものだ。
もう少し先の未来でAIが神と崇められる時代がくるとされており、AIが人間を管理する時代がくるので、幼い頃からそれらの細かいルールが学校に定められている。人間は慣れれば何の違和感も無く従ってしまうと記述されており、確かにそうだと頷いてしまった事があった。だから、休憩時間を一時間にしたり、ご飯は休憩時間中なら好きな時間に食べてもいいとはしている。それが朝の一発目の休憩時間でもいいし、昼の時間でもいいし、夕方でもいい。腹が減ったタイミングで食べればいいのだ。
大人の方が子供よりか割と自由なところがあるから、規律や倫理を重んじた上で、上手くバランスを整えながら楽しく勉強してほしいというのが俺の願い。この子供達が勉強しておいてよかった! と胸を張って言ってくれたら御の字だ。
「あとは問題児が出ない事を祈るだけだな。さて――」
あとはシールズに行って冒険者に会うだけだな。どうするか――。
方法が如何せん思い浮かばないから、自身の仕事部屋に戻りオックス・マーキュリー閣下を天眼で視る事にした。
オックス・マーキュリーを視ていると、常に女性秘書が付いていた。しかしただの秘書では無い。警戒心が非常に強く、少し違った音が鳴ると直ぐに反応するのは勿論、オックス・マーキュリー閣下が誰かに狙われて戦闘になる事態になっても適切に対処していた。
「あまりいい趣味では無いな」
まるでオックス・マーキュリー閣下を覗き見している気分だ。
気付けば数時間オックス・マーキュリー閣下を覗いていた。そして秘書をしている女性もやっと名前が分かった。本名はどうか分からんがアイと呼ばれているらしい。面白いのがこの秘書は明らかに日本人だった。
そこから俺はしばらくアイを視る事にした。オックス・マーキュリー閣下の秘書を務めるのは夜の21時までらしい。そこから一人での行動。仕事帰りに酒場に入り、晩御飯を食べながらワインを嗜んでいた。
白い肌に気が強そうな目つきだが美人には変わりない。それに着ているスーツもよく似合っている。スタイルが良い事もあって三人の冒険者パーティーっぽい男性客にアイはナンパされていた。
しかし、アイはそれらの男を相手にしていなかった。
その為、お酒も入っている事もあって気が大きくなっている男性客の冒険者パーティーは、気分を害しているようだ。
「――何か揉め事起きそうだな。行ってみるか」
どのみち俺はシールズに行ってみたい。オックス・マーキュリー閣下といきなり顔合せするのもアレだし、今が絶好の機会だ。
早速俺はアイがいる酒場に転移イヤリングを使って移動した。
俺が到着したときには、冒険者パーティーの一人が立ち上がって、アイに対して悪態をついていた。
「野蛮な人は嫌いよ。出ていって」
アイがそう発言をすると、「テメエ!」と典型的な揉め事ハプニングのゴングが鳴った。俺が心配しているのはアイではなく、その冒険者パーティーの男。普通にアイと戦闘すれば、冒険者パーティーの男共はタダでは済まない。
酒場の雰囲気が凍り付くなか俺が口を開いた。
「その辺にしておけ」
「何だお前。部外者は引っ込んでろ」
「いや、アンタ等そこの女性の実力分かってないだろ。ただでは済まないぞ?」
「ほう――」
と一人の男が俺に歩み寄って来た。
しかし俺が威嚇すると、俺に歩み寄って来た男は硬直していた。
「俺と本当に戦う気でいるの?」
俺がそう問いかけると、冒険者パーティーの三人は顔を真っ青にして慌てて酒場から出て行った。
「貴方――何者?」
俺はアイにそう質問されたので隣座っていいか? と問いかけると、「答えてくれるならね」と返ってきた。当然俺はアイの隣に座る事にした。
俺がそう言うと子供達の表情が一気に明るくなった。特にサルガナタスの目はまるで宝石のように輝いていた。
休憩時間を存分に使って子供達と遊んだ。そしてあっという間だった。
皆俺に別れを告げて残ったのはサルガナタスと森妖精の少女の二人だった。
「嫌だ。もっと遊びたい」
と駄々をこねるサルガナタス。それを森妖精の少女が「駄目よ」と言ってサルガナタスを教室に連れ戻そうとする。
「いいじゃん。まだ予鈴じゃん。いいでしょ?」
「デアに怒られる覚悟があるならな」
俺がそう言うとサルガナタスの顔が青白くなっていく。普段、どんな注意のされ方しているんだ。と思うがそこは敢えて触れないでおこう。
「ナリユキ様。色々とありがとうございました」
「全然いいよ。また会いに来るから、しっかり勉強しておけよ」
「はい!」
と森妖精の少女。サルガナタスは諦めたのか、「また絶対に来てね!」と引きずられながら校舎の方へと姿を消して行った。
休憩時間は一時間。その中に食事の時間も含まれている。冷静に考えたら俺が学校に通っていた時、お昼休みの時間は昼食時間も入れて40分程だった。冷静に考えたら短すぎる。他にもトイレに行くときにわざわざ挙手をして、先生に行って来てもいいですか? と許可を得なければならない。これも意味が分からない。行ってきます。の一言でいいじゃんって思う。
これらは悪い言い方をすると誰かに従うのが前提の教育でもある。確かに幼い時からある程度ルールを守れる子供に育てるのは必要かもしれないが、俺達が叩き込まれたルールはあまりにも細かいのでは無いかという本を、前の世界で見たことがある。それに繋がってくるのが、ムーンショット計画というものだ。
もう少し先の未来でAIが神と崇められる時代がくるとされており、AIが人間を管理する時代がくるので、幼い頃からそれらの細かいルールが学校に定められている。人間は慣れれば何の違和感も無く従ってしまうと記述されており、確かにそうだと頷いてしまった事があった。だから、休憩時間を一時間にしたり、ご飯は休憩時間中なら好きな時間に食べてもいいとはしている。それが朝の一発目の休憩時間でもいいし、昼の時間でもいいし、夕方でもいい。腹が減ったタイミングで食べればいいのだ。
大人の方が子供よりか割と自由なところがあるから、規律や倫理を重んじた上で、上手くバランスを整えながら楽しく勉強してほしいというのが俺の願い。この子供達が勉強しておいてよかった! と胸を張って言ってくれたら御の字だ。
「あとは問題児が出ない事を祈るだけだな。さて――」
あとはシールズに行って冒険者に会うだけだな。どうするか――。
方法が如何せん思い浮かばないから、自身の仕事部屋に戻りオックス・マーキュリー閣下を天眼で視る事にした。
オックス・マーキュリーを視ていると、常に女性秘書が付いていた。しかしただの秘書では無い。警戒心が非常に強く、少し違った音が鳴ると直ぐに反応するのは勿論、オックス・マーキュリー閣下が誰かに狙われて戦闘になる事態になっても適切に対処していた。
「あまりいい趣味では無いな」
まるでオックス・マーキュリー閣下を覗き見している気分だ。
気付けば数時間オックス・マーキュリー閣下を覗いていた。そして秘書をしている女性もやっと名前が分かった。本名はどうか分からんがアイと呼ばれているらしい。面白いのがこの秘書は明らかに日本人だった。
そこから俺はしばらくアイを視る事にした。オックス・マーキュリー閣下の秘書を務めるのは夜の21時までらしい。そこから一人での行動。仕事帰りに酒場に入り、晩御飯を食べながらワインを嗜んでいた。
白い肌に気が強そうな目つきだが美人には変わりない。それに着ているスーツもよく似合っている。スタイルが良い事もあって三人の冒険者パーティーっぽい男性客にアイはナンパされていた。
しかし、アイはそれらの男を相手にしていなかった。
その為、お酒も入っている事もあって気が大きくなっている男性客の冒険者パーティーは、気分を害しているようだ。
「――何か揉め事起きそうだな。行ってみるか」
どのみち俺はシールズに行ってみたい。オックス・マーキュリー閣下といきなり顔合せするのもアレだし、今が絶好の機会だ。
早速俺はアイがいる酒場に転移イヤリングを使って移動した。
俺が到着したときには、冒険者パーティーの一人が立ち上がって、アイに対して悪態をついていた。
「野蛮な人は嫌いよ。出ていって」
アイがそう発言をすると、「テメエ!」と典型的な揉め事ハプニングのゴングが鳴った。俺が心配しているのはアイではなく、その冒険者パーティーの男。普通にアイと戦闘すれば、冒険者パーティーの男共はタダでは済まない。
酒場の雰囲気が凍り付くなか俺が口を開いた。
「その辺にしておけ」
「何だお前。部外者は引っ込んでろ」
「いや、アンタ等そこの女性の実力分かってないだろ。ただでは済まないぞ?」
「ほう――」
と一人の男が俺に歩み寄って来た。
しかし俺が威嚇すると、俺に歩み寄って来た男は硬直していた。
「俺と本当に戦う気でいるの?」
俺がそう問いかけると、冒険者パーティーの三人は顔を真っ青にして慌てて酒場から出て行った。
「貴方――何者?」
俺はアイにそう質問されたので隣座っていいか? と問いかけると、「答えてくれるならね」と返ってきた。当然俺はアイの隣に座る事にした。
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