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協力成立Ⅱ
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「これはまた随分と違う方向に進展したな」
青龍はそう言って満足気な笑みを浮かべていた。
「驚きですよ。まさか創世と協力関係を組むことになるとは――」
「そうだな。大躍進というところか。ただ、気になったのはミロク程の実力の持ち主が地下世界にいる時に黒龍の情報を得る事ができなかったとは――」
「それは奴の生殺与奪の特性や能力だと思います。コヴィー・S・ウィズダムが持っているユニークスキル、生殺与奪のベースとなる奈落神は神を罰する事ができる神でした。どれほどの神であろうと、奈落神が創り上げた奈落の世界では無力になるとの事です。多くの神の能力――ましてや原初の三神の維持神の能力を有するミロクですら奈落神の前では無力という事になるのです」
「そんな馬鹿な話があるのか――」
「俺も驚きですよ。正直なところこの目で見たミロクは別格でした。そのミロクがコヴィー・S・ウィズダムの力を恐れている――生殺与奪と破壊神を――」
「話を聞いただけだと相当厄介だな。オストロンも厳戒態勢を怠らないようにせねば」
「そうですね。コヴィー・S・ウィズダムの調査はマーズベルとペルソナでやります。オストロンは万が一に備えて戦力増強に当たる方がいいでしょう。ただでさえ、黒龍との戦いで大きな犠牲を払っていますし」
「そうだな。お気遣いありがとう。閣下」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます。マルキージオ卿がいなければミロクと会う事も無かったでしょうし」
「お褒めの言葉ありがとうございます」
マルキージオ卿はそう言って俺に一礼をした。
「ただ、ナリユキ閣下に同行するのが今回で終わりと思うと非常に残念です」
マルキージオ卿はそう悔しそうな表情を浮かべていた。
「これから一緒できる仕事を増やせばいいだけですよ」
俺がそう言うとマルキージオ卿は満面の笑みを浮かべていた。
「しかし、創世の戦力は見事に不明だったな――」
「Z級の実力を持つ大幹部と呼ばれるミロクの家臣が三人いるってだけでも大きな情報ではありますけどね。その他幹部の情報を得れませんでした」
「まあ仕方ない。もし共闘する事になれば幹部の実力も分かるだろうしな。慎重に頼む」
「任せて下さい。それではこれで。また何かあれば連絡します」
「ああ」
俺は青龍さんと握手を交わした。その後青龍さんはアマミヤと握手を交わし、俺はマルキージオ卿と握手を交わした。
「閣下。近々マーズベルにお伺い致しますので、その時は是非」
と、マルキージオ卿は嬉々としていた。
「勿論です。是非お願いします」
俺がそう言うとさらに笑みを零すマルキージオ卿。どんだけ嬉しいんだよ。いや、いいんだけどさ。
「では」
俺とアマミヤはオストロン七大青家の見送りによりオストロンから出立し、マーズベルに帰国した。
「私いらなかった」
帰国するなり俺の仕事部屋のソファーでそう拗ねるアマミヤ。その姿を見てくすっと笑みを浮かべているミクちゃん。
「せっかくの二人旅呆気なかったですねアマミヤさん」
「ミクちゃんはそうやって私をからかう――タテワキさんと思い出話もしたかったのに」
アマミヤはそう小さく呟いた。
あれ? アマミヤさん? もしかしてその為に同行したいって打診したの?
「可愛いですね」
と笑みを浮かべるミクちゃんの言葉に反応したアマミヤは「意地悪」と呟いていた。
「そんな事なら今度二人で飲みいけばいいだろ。仕事の事を忘れてたっぷり飲もうぜ」
俺がそう言うと今度はミクちゃんが拗ね始める。まあ――そうよね。
「ごめん。ミクちゃん」
「私とも二人きりで飲みに行こうね」
「勿論」
俺がそう言うとミクちゃんは「やったあ!」と言ってこの部屋を出て行った。
「本当に可愛いですね。羨ましいな~」
「アマミヤでもミクちゃんの事可愛いと思うんだ」
「そりゃそうですよ。顔も可愛いしスタイルがいいどころか、あんな感じで感情を爆発させるんだもん。反則ですよ」
「今が楽しい証拠だろ。ミクちゃんもアマミヤと同じく、前の世界で苦しんだ人間だ。平凡な生活を過ごしてきた俺とは違って」
俺がそう言うとアマミヤが「そうですかね?」と返答してきた。
「タテワキさんは気付いてないだけですよ。私が知っている限りではこの世界に転生した人間は皆、他とは少し違った人生を歩んでいます。ほら、マカロフ卿も前の世界では相当苦しい生活でした。軍に裏切られたから反発心が爆発して反乱軍を立ち上げたけど、最終的にはマカロフ卿を追放した軍のお偉いさんがマカロフ卿の仲間を惨殺した後、マカロフ卿は拷問された後に体中に油を塗られて、煙草を投げられてそのまま火炙りにされた――」
「そうだな。でもまあマカロフ卿の人生はまた特別だろ」
「不幸に特別なんてものは無いですよ。自分が不幸だと思えばそれは不幸。他の人と比べる必要は無いですから。だからこそ、神様はこの世界で楽しく暮らせるチャンスを与えくれたのだと最近思います。絶対に飲みに行きましょうね」
アマミヤは俺にそう言ってウインクをするなりこの部屋から出て行った。
扉が閉まった後、俺はつい「本当に明るくなったな~」と呟いていた。
青龍はそう言って満足気な笑みを浮かべていた。
「驚きですよ。まさか創世と協力関係を組むことになるとは――」
「そうだな。大躍進というところか。ただ、気になったのはミロク程の実力の持ち主が地下世界にいる時に黒龍の情報を得る事ができなかったとは――」
「それは奴の生殺与奪の特性や能力だと思います。コヴィー・S・ウィズダムが持っているユニークスキル、生殺与奪のベースとなる奈落神は神を罰する事ができる神でした。どれほどの神であろうと、奈落神が創り上げた奈落の世界では無力になるとの事です。多くの神の能力――ましてや原初の三神の維持神の能力を有するミロクですら奈落神の前では無力という事になるのです」
「そんな馬鹿な話があるのか――」
「俺も驚きですよ。正直なところこの目で見たミロクは別格でした。そのミロクがコヴィー・S・ウィズダムの力を恐れている――生殺与奪と破壊神を――」
「話を聞いただけだと相当厄介だな。オストロンも厳戒態勢を怠らないようにせねば」
「そうですね。コヴィー・S・ウィズダムの調査はマーズベルとペルソナでやります。オストロンは万が一に備えて戦力増強に当たる方がいいでしょう。ただでさえ、黒龍との戦いで大きな犠牲を払っていますし」
「そうだな。お気遣いありがとう。閣下」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます。マルキージオ卿がいなければミロクと会う事も無かったでしょうし」
「お褒めの言葉ありがとうございます」
マルキージオ卿はそう言って俺に一礼をした。
「ただ、ナリユキ閣下に同行するのが今回で終わりと思うと非常に残念です」
マルキージオ卿はそう悔しそうな表情を浮かべていた。
「これから一緒できる仕事を増やせばいいだけですよ」
俺がそう言うとマルキージオ卿は満面の笑みを浮かべていた。
「しかし、創世の戦力は見事に不明だったな――」
「Z級の実力を持つ大幹部と呼ばれるミロクの家臣が三人いるってだけでも大きな情報ではありますけどね。その他幹部の情報を得れませんでした」
「まあ仕方ない。もし共闘する事になれば幹部の実力も分かるだろうしな。慎重に頼む」
「任せて下さい。それではこれで。また何かあれば連絡します」
「ああ」
俺は青龍さんと握手を交わした。その後青龍さんはアマミヤと握手を交わし、俺はマルキージオ卿と握手を交わした。
「閣下。近々マーズベルにお伺い致しますので、その時は是非」
と、マルキージオ卿は嬉々としていた。
「勿論です。是非お願いします」
俺がそう言うとさらに笑みを零すマルキージオ卿。どんだけ嬉しいんだよ。いや、いいんだけどさ。
「では」
俺とアマミヤはオストロン七大青家の見送りによりオストロンから出立し、マーズベルに帰国した。
「私いらなかった」
帰国するなり俺の仕事部屋のソファーでそう拗ねるアマミヤ。その姿を見てくすっと笑みを浮かべているミクちゃん。
「せっかくの二人旅呆気なかったですねアマミヤさん」
「ミクちゃんはそうやって私をからかう――タテワキさんと思い出話もしたかったのに」
アマミヤはそう小さく呟いた。
あれ? アマミヤさん? もしかしてその為に同行したいって打診したの?
「可愛いですね」
と笑みを浮かべるミクちゃんの言葉に反応したアマミヤは「意地悪」と呟いていた。
「そんな事なら今度二人で飲みいけばいいだろ。仕事の事を忘れてたっぷり飲もうぜ」
俺がそう言うと今度はミクちゃんが拗ね始める。まあ――そうよね。
「ごめん。ミクちゃん」
「私とも二人きりで飲みに行こうね」
「勿論」
俺がそう言うとミクちゃんは「やったあ!」と言ってこの部屋を出て行った。
「本当に可愛いですね。羨ましいな~」
「アマミヤでもミクちゃんの事可愛いと思うんだ」
「そりゃそうですよ。顔も可愛いしスタイルがいいどころか、あんな感じで感情を爆発させるんだもん。反則ですよ」
「今が楽しい証拠だろ。ミクちゃんもアマミヤと同じく、前の世界で苦しんだ人間だ。平凡な生活を過ごしてきた俺とは違って」
俺がそう言うとアマミヤが「そうですかね?」と返答してきた。
「タテワキさんは気付いてないだけですよ。私が知っている限りではこの世界に転生した人間は皆、他とは少し違った人生を歩んでいます。ほら、マカロフ卿も前の世界では相当苦しい生活でした。軍に裏切られたから反発心が爆発して反乱軍を立ち上げたけど、最終的にはマカロフ卿を追放した軍のお偉いさんがマカロフ卿の仲間を惨殺した後、マカロフ卿は拷問された後に体中に油を塗られて、煙草を投げられてそのまま火炙りにされた――」
「そうだな。でもまあマカロフ卿の人生はまた特別だろ」
「不幸に特別なんてものは無いですよ。自分が不幸だと思えばそれは不幸。他の人と比べる必要は無いですから。だからこそ、神様はこの世界で楽しく暮らせるチャンスを与えくれたのだと最近思います。絶対に飲みに行きましょうね」
アマミヤは俺にそう言ってウインクをするなりこの部屋から出て行った。
扉が閉まった後、俺はつい「本当に明るくなったな~」と呟いていた。
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