【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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神の訓練Ⅳ

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 ただ、やるとして一つ疑問なのは知性・記憶の略奪と献上メーティスがブラフマーに対して効くかどうか――。

 そして、もう一つはブラフマーに対して知性・記憶の略奪と献上メーティスを発動させる為の作戦の立案だ。何でもかんでも出すことができるブラフマーに対してそんな作戦があるのか? って話だけど。

 ただヒントはある。銃での攻撃だと近付くことはできないが、刀での攻撃だと懐には入る事ができる。ならば火力をさらに上げる。刀が一本で足りないならニ本にすればいい。

 俺は早速もう一本の黒紅煉刀くろべにれんとうを出現させた。

「面白い――」

 ブラフマーの眼光がより鋭くなった。さっきまではふざけていたような雰囲気がどこか出ており、遊ばれているような感覚だったが今は違う。二刀流にした事によりブラフマーの緊張感が高まったのが容易に分かる。

「行くぞ」

「来い」

 ブラフマーにそう挑発されたので俺は遠慮なくブラフマーに斬りこんだ。ブラフマーは俺の攻撃を杖でガードするのに必死だった。

「流石だな。二刀流でこれほど変わるとはな」

「そらどうも」

 俺がそう言って右手の黒紅煉刀くろべにれんとうで薙ぎ払うと、ブラフマーは地に足をつきながらベルトコンベヤーに乗っているかのように後ろに滑って行った。

「受けてみて思うがこれ程とはな――ルシファーに知性・記憶の略奪と献上メーティスを使った事によって刀のスキルが飛躍的に上がった。もしかすると、世界一の剣豪になっているんじゃないか? 黒龍ニゲルもいないしな」

「お世辞はやめてくれよ。俺は地下世界アンダー・グラウンドに行っていないからな」

「成程な。それはそうだ」

「覚悟しろよブラフマー」

 俺はそう言って黒紅煉刀くろべにれんとうでの斬撃を連続で飛ばした。

「――めちゃくちゃだな。地上でやれば斬撃一つで町が吹き飛ぶぞ」

「まあこの世界は何も無い空間なので、そういう意味では好き放題暴れる事ができますからね。ブラフマーが辺りに山や海、街――星などを創造すれば、己の斬撃がどれほどの威力なのか分かると思いますけどね」

「自然があるとどうしても手加減をするからな。その分あの餓鬼は戦いやすいだろう。地上で同じ事をやって目ん玉飛び出しているところを見てみたいものだが」

 ――俺そんな斬撃を飛ばすことができているのか――。確かに黒龍ニゲルと戦った後もパワーアップはしているからな――と思った。

 しかしブラフマーは俺の斬撃を悉く躱していく。ここで物を出してガードをしないのはやはり、斬撃である以上はモノを出してもそれを真っ二つにして自分のところへ飛んでくるのが分かっているからだろう。

 俺が斬撃の嵐――文字の如く無数の斬撃を飛ばしていると、ブラフマーはキツくなってきたのか、前方に手を張り直径20m程の斬撃を受け止める事ができる巨大なバリアーを出現させた。

 その隙に俺はブラフマーの後ろに回り込み、ブラフマーの頭を掴むことに成功した。

「成程な――。まさかブラフマーが四人もいたとは」

 俺がそう呟くとブラフマーはニッと笑みを浮かべた。

「まさにその通りだ。私が手を出さずにあらゆる物体を出現させていた正体だ」

 そう――。これはブラフマーの特性で四無量心しむりょうしんという特性だ。なのでステータスには反映されない。特性能力としては非常に強力で、自分以外の四人の自分を創り出し、合計五人で意思疎通を図ることができる事。また、これらを全て倒さないと本体を倒す事はできないというチート特性だ。だから、俺が戦っているのは勿論本体のブラフマーだったが、能力を出していたのは四無量心しむりょうしんの特性で創り出された偽物のブラフマーだった。

 俺がその偽物を見つける事ができなかったのは、四無量心しむりょうしんのブラフマーが全員透明マントを使っていたらしい。発想がユニーク過ぎる。

 そしてどうやら俺はこの特性の習得条件は満たしており、創造主ザ・クリエイター創造神ブラフマーにすれば習得できるらしい。仏教用語で楽を与え、苦を除かせようとして起こす四つの心だ。楽しみを与える慈無量心。苦しみを除く悲無量心。他人の楽を喜ぶ喜無量心。他人に対して愛憎の心がなく平等である捨無量心。これら四つの心を普段から持ち合わて普段から自然に出来ていれば特性開放できるそうだ。なので、ブラフマー視点では俺は合格クリアしているらしい。これだけで強力だがブラフマーのスキルや特性は他にも色々とある。

 梵天ぼんてんと呼ばれる仏の化身を出したり、アルティメットスキルでは千手観音を出したり、攻撃に特化したスキルを習得できる。まあ、俺がスキルを覚醒させた際には仏に関する事が割と何でもできるって話だ。そもそもブラフマーってのは悟りの境地みたいなもんだしな。

「どうだ? 少しはヒントになったか?」

 そう問いかけてくるブラフマー。

「さてはわざと俺に知性を奪わせたな? 俺のスキルを無効にする事もできたんだろ?」

「さあな」

 そうブラフマーは知らんふりをした。俺が得た情報ではブラフマーは心を完全に無にする事ができる。簡単に言えば脳内を完全にすっからかんにする。もっと言えば死人と同じような境地に立つことができる訳だ。理解できそうで理解し難い芸当だな――。

「いずれにせよ私の不意をつけたのは素晴らしい事だ。そこでユニークスキルを覚醒させる為のヒントをやろう」

「ヒント? 随分と気前がいいな」

「私のスキルを継承する人間はそういないからな」

「まあ――都合の良いスキルだからな」

「私としては当たり前の事だ。坊主達の世界が持つ科学や理論では我々が用いる力を解明することはできない。我々は宇宙レベルの最高の文明を持っているからな」

「自慢かよ」

 俺がそう呟くとブラフマーは「そうだな」と笑みを浮かべていた。

「さて、本題だ」

 ブラフマーがそう言って俺を真っすぐ見てきた。

 



 



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