【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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神の訓練Ⅲ

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 ブラフマーが消えろと命じたのか海と雷の攻撃は止んだ。ただ、俺は服がびしょ濡れな上に雷の攻撃のせいで服がボロボロになっていた。

 俺が床に手をつきぜえぜえと息を切らしていると――。

「なんだ? 攻撃してこないのか?」

 とブラフマーが煽ってきた。

「銃にこだわる必要がないな」

 俺は手から黒紅煉刀くろべにれんとうを出現させた。

「刀で来るか」

「あんまり得意じゃなかったけど、黒龍ニゲルとの戦いで刀も相当得意になったからな。ほら、帯刀タテワキって名字に随分と相応しくなっただろ?」

「確かに」

 ブラフマーはそう言って笑みを浮かべた。俺はそれと同時にブラフマーに斬りこんだ。

 ブラフマーは一瞬驚いたものの、ブラフマーの首元を捉えていた俺の一刀を右手で防いだ。右手には何やら黒い鉄のグローブをしていた。

「銃より刀の方が速いじゃないか。流石の私も驚いたぞ」

「何だよそのグローブ。ただのグローブじゃないだろ」

「ああ。これか? これはヤールングレイプルと言ってな。雷神トールの所有物だ。これがまた強くてな――」

 そう淡々と語り出すブラフマー。神の所有物まで出せるって本当に何でもありだな。

「喋ってられるのも今のうちだ」

 俺が一度刀を鞘に納める動作を行った。本物の黒紅煉刀くろべにれんとうではないから鞘ないけど、このアクティブスキルを発動するにはこの動作が必要。

「くるか」

 俺が何の攻撃をするのか当然ながら分かっているようだ。

無双神冥斬むいそうしんめいざん

 俺がそう叫ぶと俺のなかで最強クラスの刀スキルが発動した。

「ほお――なかなか凄い技だな」

「本物は圧巻ですね」

 インドラもメーティスもそう讃えてくれた。しかし手応えは全く無い。

「こっちだ」

 後ろからブラフマーの声が聞こえたかと思えば背中に蹴りを入れられて前方に吹き飛ばされた。

「避けたのか――!?」

 後ろを振り向くと不敵な笑みを浮かべて「流石の私も無双神冥斬むいそうしんめいざんを喰らってしまっては結構なダメージを負うからな~」と一言。

 だからと言って軽々と避けられると困るんだけど。

「くそ~。あくまで創造主ザ・クリエイターの覚醒させる為の修行だもんな」

「そうだ。別にアクティブスキルをどんどん発動しても良いがそれだとこの修行の意味は無いからな」

「もっと早く――」

 俺はブラフマーの懐に入るなり創造主ザ・クリエイターで多種多様な武器を出現させて連続攻撃を行った。拳銃、アサルトライフル、サブマシンガン、刀、剣などなど。ありとあらゆる武器を出現させた。

「なかなかやるな」

 そう言いながらも俺の攻撃を避けたりガードをしたりなど、あらゆる手法を使ってブラフマーは俺の攻撃を対処していた。ここで一つ違和感を覚える。俺の攻撃に対してあまりにも的確な処理――。

 まるで俯瞰して見ているかのような動きだ。

「まるで俺の攻撃を他から見ているみたいだな。俺と全く同じなら手から出す動作モーションは必要だし――一体どこから出しているんだ?」

 俺がそう問いかけると、ブラフマーは口角を吊り上げた。

「勘がいいな。流石だな。しかし一体どのようにしているのか分からないよな?」

「あいにくな」

 辺りを見渡しても、この場にいるのはブラフマーとインドラとメーティスだけ――。

「メーティスが創造神ブラフマーを使っている可能性は!?」

 俺がそう問いかけるとブラフマーは手を叩いて笑っていた。

「それは無い。メーティスは創造神ブラフマーを使えないからな。しかし発想は非常に近いぞ」

「発想は近い――。じゃあ創造神ブラフマーを使っているのは別にいるって事か――」

 俺がブツブツとそう呟きながら考えていると、ブラフマーは容赦無くAA-12を構えて発砲してきた。こんな事を言うのも何だが、自分以外の人が俺が普段使っているあらゆる武器を使ってくるのは少し不気味だ。それにスキル――と言うか能力は俺の上位互換。まるで未来の自分と戦っているみたいだ。

「他のユニークスキルを使えばもう少しマシに戦う事ができるのにな」

 ブラフマーがそう呟いたので俺は「あんなり変わらないと思う」と返しながら、俺もAA-12を発砲した。まあ当たらなかったけど。

「どんどんいくぞ!」

 ブラフマーはそう言って二丁拳銃を構えた。

 その弾丸の威力は出鱈目なもので、一撃一撃が俺の神撃天波しんげきてんはと何ら変わりない。勿論俺は避けるので精一杯だった。

「ふざけるな! 何で昔の神が俺以上に銃スキルが豊富なんだよ!」

「スキルじゃない! ただのパワーだ!」

 と言って高笑いをしながら連続で広範囲のエネルギー銃弾を放ってくる。本当にいい加減にしてほしい。

「あの爺、餓鬼を相手に楽しんでいやるがな」

「まあ普段戦う事がないですもんね」

「――俺はいつもからかわれているだけだからな」

「インドラでは相手になりませんからね」

「ふざけるな! 俺の方があの餓鬼より全然強いわ!」

「はいはい。そうですね~」

 とメーティスにあしらわれているインドラ。ここまでくるとちょっと可哀想だな――。

 それにしても――。

 ブラフマーがどのように能力を出しているのか分からない以上、知性・記憶の略奪と献上メーティスで正体を暴くしかないが、それをするくらいなら一撃を入れたほうがいいしな――。

 いや――。ブラフマーのソレがもし特性ならば俺がブラフマーの特性を会得できるチャンスかもしれない。まずは、近付いてブラフマーに知性・記憶の略奪と献上メーティスを使用する。これが一番スキルの覚醒とアクティブスキル、アルティメットスキル、特性を会得できる近道だ。

「よし――」

 俺は両頬をパシッと叩くと、ブラフマーは「何か企んでいるな?」と問いかけきた。

「その通りだ」
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