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神の訓練Ⅰ
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以前と同じ真っ白な空間だ。
「ほお。またこの世界に来たのか。まさかミロクに本当に会うとはな。まあいずれにしても黒龍討伐おめでとう」
「大躍進ですね。ナリユキ君!」
そう嬉しそうに笑みを零したメーティス。その隣には相変わらず偉そうな――まあ実際に偉いんだけどブラフマーがいた。でも、メーティスの隣にいるのは誰だ――?
青い髪を後ろへと流している髪型で、眉毛は雷を模したような形をしており、鷹のように鋭い眼が特徴的な上半身裸の男だ。ブラフマーと同じく屈強な体つきをしている。男なら誰しもが憧れる肉体美とでも言おうか。腰には赤い布を巻き、白のドウティと呼ばれるパンツを履いている。何より右手には青い雷を帯びた剣を持っている。ルシファーが使っていた雷神剣だ。
「もしかしてインドラ!?」
「神に向かって無礼な餓鬼だな」
「アンタの力が無かったら黒龍を倒すことができなかった。本当にありがとうございます!」
俺は全力でそうお礼を述べた。するとフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「インドラは照れ屋なんだ」
え? そうなの?
俺がインドラを見ていると、インドラはブラフマーに対して「殺す」と言って雷神剣をブンブンと振っていた。ブラフマーはインドラの連続攻撃を人差し指で止めているという異様な光景。
「もしかしてインドラよりブラフマーの方が全然強かったりする?」
俺がメーティスにそう問いかけると、メーティスは「勿論です」と笑みを零していた。
「ほらほら。どうした。私を殺すんじゃなかったのか!?」
と、煽り散らかすブラフマー。
「何が原初の三神だ! クソ爺ふざけるな!」
とインドラはキレ散らかしていた。
「ブラフマーが爺呼ばわりって」
「神々がいた時代にも世代がありますからね~。最初にこの世に誕生したのが、ヴィシュヌ、ブラフマー、シヴァの第0世代なので、第二世代のインドラからすると、ブラフマーはお爺さんになるのですよ。ナリユキ君が私達の能力を宿しているので、私とブラフマーは一緒にいますが、私はブラフマーの事を尊敬しています。ですので、お名前を呼び捨てするのは始めは抵抗ありました――」
と笑みを浮かべるメーティス。
「何で呼び捨てがいいんだろう」
「何かそっちのほうが可愛いかららしいです。尊敬している方のご要望であればその通りにしますよね。でも分からないんですよ――」
と考えているメーティスは確かに可愛かった。
「クソ化物め――」
と息を切らしているインドラ。それに対して杖をクルクルと回して遊んでいるブラフマー。
「せっかく坊主が来てくれたのにほったらかしだったな。悪い悪い。何か聞きたいことあるか?」
そうブラフマーが問いかけてきた。
「聞きたい事――破壊神のスキルをコヴィー・S・ウィズダムが有したのは知っているよな?」
「勿論だ。私はずっと坊主の事を見ているからな」
「今のままじゃ100%勝てない。かと言ってこのままコヴィー・S・ウィズダムを野放しにする訳にはいかない」
「確かにな。奴がシヴァとタルタロスの能力を持っているのは非常に厄介だ。善良な心を持っている人間であれば、我々神々が危惧する必要ないのだが――」
ブラフマーはそう言って顎に手を付けて何か考え始めた。
「そんなに厄介なのか?」
「ああ。タルタロスはゼウス、アース、アルカナ、オーディンなどの第1世代の神でな。神を罰する事ができる神だったんだ。だから、スキルの階級に関係なく奪い取る事ができる。私は正直タルタロスは苦手だ」
と、苦笑を浮かべるブラフマー。メーティスもインドラも苦い表情を浮かべているので、相当嫌われているんだなとしみじみと感じた。
「アイツ趣味悪いしな」
インドラがそう吐き捨てすると「そうですね」と相槌を打つメーティス。勝手に話が進んでいくんだけど。
「よし坊主。修行をつけてやる」
「修行!? 目の前にミロクがいるのに、そんな時間あるの!?」
「ここでの時間は時が進んでいないと同義だ。問題ない」
「本当に?」
「神が嘘を付くと思うのか?」
「――あいにく」
俺がそう呟くと「ええい! ぼさっとしていないで始めるぞ!」
とブラフマーが号令をかけてきた。
「私に一撃を与えてみろ。いつも戦っているような戦闘スタイルでいいぞ。あ、でもそのホルスターにある天を穿つ者や腰にかけている黒紅煉刀を使うのは無しだ。あくまでスキルを覚醒させる為の修行だ。創造主で武器を生み出すのだ」
「分かった」
俺が取り出したのはデザートイーグルだ。
「いいのかそれで?」
「とりあえず様子見。刀だと一本出して戦い続けるけど、銃なら様子を見て色々な武器を出し入れできるだろ?」
「ほう。流石坊主だ。さあ来い」
「行くぞ!」
俺はそう言った瞬間にデザートイーグルを発砲した。恐らく避けられるが果たして――。
そう思った時だった。ブラフマーの前には俺の弾丸ですら通らない鉄の壁が現れた。
「そんなのありかよ!?」
「私は創造神だぞ。何でも出せると言ったじゃないか」
と言われてぐうの音もでなかった。同時に思った。
「何でも出せるのセコくない?」
「ほお。またこの世界に来たのか。まさかミロクに本当に会うとはな。まあいずれにしても黒龍討伐おめでとう」
「大躍進ですね。ナリユキ君!」
そう嬉しそうに笑みを零したメーティス。その隣には相変わらず偉そうな――まあ実際に偉いんだけどブラフマーがいた。でも、メーティスの隣にいるのは誰だ――?
青い髪を後ろへと流している髪型で、眉毛は雷を模したような形をしており、鷹のように鋭い眼が特徴的な上半身裸の男だ。ブラフマーと同じく屈強な体つきをしている。男なら誰しもが憧れる肉体美とでも言おうか。腰には赤い布を巻き、白のドウティと呼ばれるパンツを履いている。何より右手には青い雷を帯びた剣を持っている。ルシファーが使っていた雷神剣だ。
「もしかしてインドラ!?」
「神に向かって無礼な餓鬼だな」
「アンタの力が無かったら黒龍を倒すことができなかった。本当にありがとうございます!」
俺は全力でそうお礼を述べた。するとフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「インドラは照れ屋なんだ」
え? そうなの?
俺がインドラを見ていると、インドラはブラフマーに対して「殺す」と言って雷神剣をブンブンと振っていた。ブラフマーはインドラの連続攻撃を人差し指で止めているという異様な光景。
「もしかしてインドラよりブラフマーの方が全然強かったりする?」
俺がメーティスにそう問いかけると、メーティスは「勿論です」と笑みを零していた。
「ほらほら。どうした。私を殺すんじゃなかったのか!?」
と、煽り散らかすブラフマー。
「何が原初の三神だ! クソ爺ふざけるな!」
とインドラはキレ散らかしていた。
「ブラフマーが爺呼ばわりって」
「神々がいた時代にも世代がありますからね~。最初にこの世に誕生したのが、ヴィシュヌ、ブラフマー、シヴァの第0世代なので、第二世代のインドラからすると、ブラフマーはお爺さんになるのですよ。ナリユキ君が私達の能力を宿しているので、私とブラフマーは一緒にいますが、私はブラフマーの事を尊敬しています。ですので、お名前を呼び捨てするのは始めは抵抗ありました――」
と笑みを浮かべるメーティス。
「何で呼び捨てがいいんだろう」
「何かそっちのほうが可愛いかららしいです。尊敬している方のご要望であればその通りにしますよね。でも分からないんですよ――」
と考えているメーティスは確かに可愛かった。
「クソ化物め――」
と息を切らしているインドラ。それに対して杖をクルクルと回して遊んでいるブラフマー。
「せっかく坊主が来てくれたのにほったらかしだったな。悪い悪い。何か聞きたいことあるか?」
そうブラフマーが問いかけてきた。
「聞きたい事――破壊神のスキルをコヴィー・S・ウィズダムが有したのは知っているよな?」
「勿論だ。私はずっと坊主の事を見ているからな」
「今のままじゃ100%勝てない。かと言ってこのままコヴィー・S・ウィズダムを野放しにする訳にはいかない」
「確かにな。奴がシヴァとタルタロスの能力を持っているのは非常に厄介だ。善良な心を持っている人間であれば、我々神々が危惧する必要ないのだが――」
ブラフマーはそう言って顎に手を付けて何か考え始めた。
「そんなに厄介なのか?」
「ああ。タルタロスはゼウス、アース、アルカナ、オーディンなどの第1世代の神でな。神を罰する事ができる神だったんだ。だから、スキルの階級に関係なく奪い取る事ができる。私は正直タルタロスは苦手だ」
と、苦笑を浮かべるブラフマー。メーティスもインドラも苦い表情を浮かべているので、相当嫌われているんだなとしみじみと感じた。
「アイツ趣味悪いしな」
インドラがそう吐き捨てすると「そうですね」と相槌を打つメーティス。勝手に話が進んでいくんだけど。
「よし坊主。修行をつけてやる」
「修行!? 目の前にミロクがいるのに、そんな時間あるの!?」
「ここでの時間は時が進んでいないと同義だ。問題ない」
「本当に?」
「神が嘘を付くと思うのか?」
「――あいにく」
俺がそう呟くと「ええい! ぼさっとしていないで始めるぞ!」
とブラフマーが号令をかけてきた。
「私に一撃を与えてみろ。いつも戦っているような戦闘スタイルでいいぞ。あ、でもそのホルスターにある天を穿つ者や腰にかけている黒紅煉刀を使うのは無しだ。あくまでスキルを覚醒させる為の修行だ。創造主で武器を生み出すのだ」
「分かった」
俺が取り出したのはデザートイーグルだ。
「いいのかそれで?」
「とりあえず様子見。刀だと一本出して戦い続けるけど、銃なら様子を見て色々な武器を出し入れできるだろ?」
「ほう。流石坊主だ。さあ来い」
「行くぞ!」
俺はそう言った瞬間にデザートイーグルを発砲した。恐らく避けられるが果たして――。
そう思った時だった。ブラフマーの前には俺の弾丸ですら通らない鉄の壁が現れた。
「そんなのありかよ!?」
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