【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
549 / 597

創世の裏切り者Ⅱ

しおりを挟む
 俺がお願いした通り、俺はミロクと会う事になった。ただ、アマミヤとマルキージオ卿は同席出来ないとの事で、ミロクが待っているとされている王都の外れにあるアブヤド神殿の前で、スペンサー公爵と共に待機する事になった。

 勿論、アブヤド神殿には人の気配が無い。むしろミロクが本当に待っているのか疑うレベルだった。

「綺麗な神殿だな――」

 思わずそう呟いてしまうほど魅力的な神殿だ。神殿が全て白い石で造られているのは、どこかパルテノン神殿を彷彿させる。

 神殿の中に入ると中央に立っていたのはコンスルの記憶で見た通りの人物だった。

 息を飲むほどの美丈夫。限りなく白に近い淡い金色の胸元くらいまである長い髪。サファイアのような綺麗な青色の瞳。首元にはパールのような数珠の首飾りをしており、純白の狩衣姿で身を纏っている。身長は175cm程。それほど大きくはない。ただ圧倒的な高位の存在であることは分かる。人生で初めてだ。後光が差している人なんて。

「はじめまして。ナリユキ・タテワキ閣下。私はミロクです」

 ミロクはそう言って俺に握手を求めてきた。

「はじめまして。マーズベルの国主、ナリユキ・タテワキです」

 俺は気付けば吸い寄せられるようにミロクと握手を交わしていた。ミロクは信じられない程の優しい笑みを浮かべて、満足気な様子だった。

「まずは世界を救ってくれてありがとう。まさか、私が地下世界アンダー・グラウンドにいる間に黒龍が暴れていたとは思わなかった。私の代わりに世界中の大切な仲間を危機から救ってくれて助かった。本当にありがとう」

 ミロクはそう俺に感謝を述べてきた。

「けれども、コヴィー・S・ウィズダムは破壊神シヴァを手にした」

「そのようだね。これは私の落ち度だ。彼の野望を見抜くことができなかった私のね」

 ミロクはそう言って拳をぎゅっと握っていた。

「スペンサー公爵が言っていた。ミロク様は全てを見抜くが出来ると――何故、コヴィー・S・ウィズダムが今まで私欲の為に動いている事を知らなかった? 研究施設を提供したのはアンタでしょ?」

「ある程度は見抜くことができる。それに彼もはじめから野望を抱いていた訳ではない。研究に没頭していくうちに怪物が生まれた。そして、彼の最終的な目標はこの私から力を奪う事だと思う」

「アンタの?」

「そう。私が持つユニークスキルのなかでも特に4つは強力だからね。生殺与奪タルタロスで私の力を奪いに来るだろう。大切な仲間を殺したのはあくまで序章に過ぎない。そして先日、破壊神シヴァを入手した彼の計画は大詰めと言えるだろう。あとは私とナリユキ閣下だけだ」

「アンタも狙われているとは想像もつかなかったな。ん? 今、特に4つって言った?」

「特にだよ。既に知っている通りだけど、維持神ヴィシュヌ全知全能ゼウス天変地異アース森羅万象アルカナ以外のスキルの事だよ。もっとも、この4つ以外のユニークスキルを使う事は殆どないけどね」

「――チートだ」

「閣下も相当チートだよ」

 ミロクはそう言って柔和な笑みを浮かべた。

「狙われるのは兄弟スキルだから至極当然の事だよ。いずれにせよ、我々はこのような状況下で争うべきではないと感じているし、マーズベルの戦力は世界に必要不可欠。私がアリシアを連れて行くためにマーズベルを消してしまうなんて事は無い」

 と断言するミロク。正直なところ、圧倒的な存在感は創造神ブラフマーを凌駕している。だからこそなのだろうか。嘘をついていたとしても、嘘をついてないと錯覚してしまう。後光がちらつくからだろうか――。

 自分が言ってて何だが後光がちらつくって何?

「もし閣下が我々にコヴィーの捜索を手伝ってくれるのであれば、閣下に一つプレゼントしたい物がある」

 と、言われたので俺は物凄く警戒してしまった。そのせいなのだろうか――。

「そんなに怖い顔をしなくてもいいじゃないか」

 そうミロクに言われてしまった。

「世界を救ってくれたお礼――というより、まずは私が築き上げた国々や、大切な仲間達を救ってくれたお礼だよ」

 俺はしばらく考えた後こう返答した。

「どんなプレゼント?」

「そうだね――。創造神ブラフマーに覚醒させる為のキッカケを与えようかなと」

「――何でそこまでしてくれるんだ?」

「感謝をしているからだよ。感謝をするのに、さっき以外の理由が必要かな? 感謝したいから感謝をする。人を助けたいと思うのに明確な理由が必要かな? それと同じだよ。確かに私に対して警戒心を抱くのは、私が創世ジェスの創始者だから仕方が無いかもしれないけどね」

 俺はそうミロクに返答された。確かに感謝をする理由はさっきので十分だ。

「不安であれば、悪魔との機密契約イビル・コントラクトでも試して……。いや、申し訳ない。私にはその階級レベルのユニークスキルは通じなかった」

 嫌味か! とつい口に出してしまいそうだったのは言うまでも無い。

「分かった。ありがたく受け取る」

 もし、本当に創造神ブラフマーに近付けるのであればこの上ない好機チャンスだ。

「前へ」

 ミロクにそう言われて俺は「ああ」と返して前に出た。そしてミロクに頭を触れられた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

処理中です...