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創世の裏切り者Ⅱ
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俺がお願いした通り、俺はミロクと会う事になった。ただ、アマミヤとマルキージオ卿は同席出来ないとの事で、ミロクが待っているとされている王都の外れにあるアブヤド神殿の前で、スペンサー公爵と共に待機する事になった。
勿論、アブヤド神殿には人の気配が無い。むしろミロクが本当に待っているのか疑うレベルだった。
「綺麗な神殿だな――」
思わずそう呟いてしまうほど魅力的な神殿だ。神殿が全て白い石で造られているのは、どこかパルテノン神殿を彷彿させる。
神殿の中に入ると中央に立っていたのはコンスルの記憶で見た通りの人物だった。
息を飲むほどの美丈夫。限りなく白に近い淡い金色の胸元くらいまである長い髪。サファイアのような綺麗な青色の瞳。首元にはパールのような数珠の首飾りをしており、純白の狩衣姿で身を纏っている。身長は175cm程。それほど大きくはない。ただ圧倒的な高位の存在であることは分かる。人生で初めてだ。後光が差している人なんて。
「はじめまして。ナリユキ・タテワキ閣下。私はミロクです」
ミロクはそう言って俺に握手を求めてきた。
「はじめまして。マーズベルの国主、ナリユキ・タテワキです」
俺は気付けば吸い寄せられるようにミロクと握手を交わしていた。ミロクは信じられない程の優しい笑みを浮かべて、満足気な様子だった。
「まずは世界を救ってくれてありがとう。まさか、私が地下世界にいる間に黒龍が暴れていたとは思わなかった。私の代わりに世界中の大切な仲間を危機から救ってくれて助かった。本当にありがとう」
ミロクはそう俺に感謝を述べてきた。
「けれども、コヴィー・S・ウィズダムは破壊神を手にした」
「そのようだね。これは私の落ち度だ。彼の野望を見抜くことができなかった私のね」
ミロクはそう言って拳をぎゅっと握っていた。
「スペンサー公爵が言っていた。ミロク様は全てを見抜くが出来ると――何故、コヴィー・S・ウィズダムが今まで私欲の為に動いている事を知らなかった? 研究施設を提供したのはアンタでしょ?」
「ある程度は見抜くことができる。それに彼もはじめから野望を抱いていた訳ではない。研究に没頭していくうちに怪物が生まれた。そして、彼の最終的な目標はこの私から力を奪う事だと思う」
「アンタの?」
「そう。私が持つユニークスキルのなかでも特に4つは強力だからね。生殺与奪で私の力を奪いに来るだろう。大切な仲間を殺したのはあくまで序章に過ぎない。そして先日、破壊神を入手した彼の計画は大詰めと言えるだろう。あとは私とナリユキ閣下だけだ」
「アンタも狙われているとは想像もつかなかったな。ん? 今、特に4つって言った?」
「特にだよ。既に知っている通りだけど、維持神、全知全能、天変地異、森羅万象以外のスキルの事だよ。もっとも、この4つ以外のユニークスキルを使う事は殆どないけどね」
「――チートだ」
「閣下も相当チートだよ」
ミロクはそう言って柔和な笑みを浮かべた。
「狙われるのは兄弟スキルだから至極当然の事だよ。いずれにせよ、我々はこのような状況下で争うべきではないと感じているし、マーズベルの戦力は世界に必要不可欠。私がアリシアを連れて行くためにマーズベルを消してしまうなんて事は無い」
と断言するミロク。正直なところ、圧倒的な存在感は創造神を凌駕している。だからこそなのだろうか。嘘をついていたとしても、嘘をついてないと錯覚してしまう。後光がちらつくからだろうか――。
自分が言ってて何だが後光がちらつくって何?
「もし閣下が我々にコヴィーの捜索を手伝ってくれるのであれば、閣下に一つプレゼントしたい物がある」
と、言われたので俺は物凄く警戒してしまった。そのせいなのだろうか――。
「そんなに怖い顔をしなくてもいいじゃないか」
そうミロクに言われてしまった。
「世界を救ってくれたお礼――というより、まずは私が築き上げた国々や、大切な仲間達を救ってくれたお礼だよ」
俺はしばらく考えた後こう返答した。
「どんなプレゼント?」
「そうだね――。創造神に覚醒させる為のキッカケを与えようかなと」
「――何でそこまでしてくれるんだ?」
「感謝をしているからだよ。感謝をするのに、さっき以外の理由が必要かな? 感謝したいから感謝をする。人を助けたいと思うのに明確な理由が必要かな? それと同じだよ。確かに私に対して警戒心を抱くのは、私が創世の創始者だから仕方が無いかもしれないけどね」
俺はそうミロクに返答された。確かに感謝をする理由はさっきので十分だ。
「不安であれば、悪魔との機密契約でも試して……。いや、申し訳ない。私にはその階級のユニークスキルは通じなかった」
嫌味か! とつい口に出してしまいそうだったのは言うまでも無い。
「分かった。ありがたく受け取る」
もし、本当に創造神に近付けるのであればこの上ない好機だ。
「前へ」
ミロクにそう言われて俺は「ああ」と返して前に出た。そしてミロクに頭を触れられた。
勿論、アブヤド神殿には人の気配が無い。むしろミロクが本当に待っているのか疑うレベルだった。
「綺麗な神殿だな――」
思わずそう呟いてしまうほど魅力的な神殿だ。神殿が全て白い石で造られているのは、どこかパルテノン神殿を彷彿させる。
神殿の中に入ると中央に立っていたのはコンスルの記憶で見た通りの人物だった。
息を飲むほどの美丈夫。限りなく白に近い淡い金色の胸元くらいまである長い髪。サファイアのような綺麗な青色の瞳。首元にはパールのような数珠の首飾りをしており、純白の狩衣姿で身を纏っている。身長は175cm程。それほど大きくはない。ただ圧倒的な高位の存在であることは分かる。人生で初めてだ。後光が差している人なんて。
「はじめまして。ナリユキ・タテワキ閣下。私はミロクです」
ミロクはそう言って俺に握手を求めてきた。
「はじめまして。マーズベルの国主、ナリユキ・タテワキです」
俺は気付けば吸い寄せられるようにミロクと握手を交わしていた。ミロクは信じられない程の優しい笑みを浮かべて、満足気な様子だった。
「まずは世界を救ってくれてありがとう。まさか、私が地下世界にいる間に黒龍が暴れていたとは思わなかった。私の代わりに世界中の大切な仲間を危機から救ってくれて助かった。本当にありがとう」
ミロクはそう俺に感謝を述べてきた。
「けれども、コヴィー・S・ウィズダムは破壊神を手にした」
「そのようだね。これは私の落ち度だ。彼の野望を見抜くことができなかった私のね」
ミロクはそう言って拳をぎゅっと握っていた。
「スペンサー公爵が言っていた。ミロク様は全てを見抜くが出来ると――何故、コヴィー・S・ウィズダムが今まで私欲の為に動いている事を知らなかった? 研究施設を提供したのはアンタでしょ?」
「ある程度は見抜くことができる。それに彼もはじめから野望を抱いていた訳ではない。研究に没頭していくうちに怪物が生まれた。そして、彼の最終的な目標はこの私から力を奪う事だと思う」
「アンタの?」
「そう。私が持つユニークスキルのなかでも特に4つは強力だからね。生殺与奪で私の力を奪いに来るだろう。大切な仲間を殺したのはあくまで序章に過ぎない。そして先日、破壊神を入手した彼の計画は大詰めと言えるだろう。あとは私とナリユキ閣下だけだ」
「アンタも狙われているとは想像もつかなかったな。ん? 今、特に4つって言った?」
「特にだよ。既に知っている通りだけど、維持神、全知全能、天変地異、森羅万象以外のスキルの事だよ。もっとも、この4つ以外のユニークスキルを使う事は殆どないけどね」
「――チートだ」
「閣下も相当チートだよ」
ミロクはそう言って柔和な笑みを浮かべた。
「狙われるのは兄弟スキルだから至極当然の事だよ。いずれにせよ、我々はこのような状況下で争うべきではないと感じているし、マーズベルの戦力は世界に必要不可欠。私がアリシアを連れて行くためにマーズベルを消してしまうなんて事は無い」
と断言するミロク。正直なところ、圧倒的な存在感は創造神を凌駕している。だからこそなのだろうか。嘘をついていたとしても、嘘をついてないと錯覚してしまう。後光がちらつくからだろうか――。
自分が言ってて何だが後光がちらつくって何?
「もし閣下が我々にコヴィーの捜索を手伝ってくれるのであれば、閣下に一つプレゼントしたい物がある」
と、言われたので俺は物凄く警戒してしまった。そのせいなのだろうか――。
「そんなに怖い顔をしなくてもいいじゃないか」
そうミロクに言われてしまった。
「世界を救ってくれたお礼――というより、まずは私が築き上げた国々や、大切な仲間達を救ってくれたお礼だよ」
俺はしばらく考えた後こう返答した。
「どんなプレゼント?」
「そうだね――。創造神に覚醒させる為のキッカケを与えようかなと」
「――何でそこまでしてくれるんだ?」
「感謝をしているからだよ。感謝をするのに、さっき以外の理由が必要かな? 感謝したいから感謝をする。人を助けたいと思うのに明確な理由が必要かな? それと同じだよ。確かに私に対して警戒心を抱くのは、私が創世の創始者だから仕方が無いかもしれないけどね」
俺はそうミロクに返答された。確かに感謝をする理由はさっきので十分だ。
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嫌味か! とつい口に出してしまいそうだったのは言うまでも無い。
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