【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
534 / 597

英雄の復活Ⅶ

しおりを挟む
「ナリユキとミクちゃんにかかっているわね。勿論、マーズベルの皆にはもっと強くなってもらわないと困るけど」

「そうなんだよ。だからこれからしばらくは仕事もこなしつつ、鍛える時間を与えたいと思っている」

「賢明な判断ね。ナリユキはどうするの?」

「俺は創世ジェスの調査を行うつもりだ。これ以上伸びしろはあまり無いし、アリシアを守りたいしな」

「成程。じゃあ私は博士を追わずマーズベルにいた方が良さそうね。貴方はどうでもいいけど、ミクちゃんが悲しむところは見たくないわ」

「おい! 聞き捨てならんぞ」

 俺がデアとそうやりとりをしているとミクちゃんの暗くなっていた表情もだんだんと晴れてきた。

「別に? 本心を言ったまでよ」

「本心酷くね?」

「仲良いよね二人とも」

 くすっと笑みを浮かべるミクちゃんに対して「そんな事ないわ」とさらっと流すデア。その冷めた態度俺は少し悲しいからな!?

「ところでデア。俺から頼みがあるんだけど」

「どうしたの?」

「マーズベルの文部大臣の役職に就いてほしいんだ。経験値も勿論あるし、戦術ならマーズベルトップクラスだと思うから」

 俺がそう言うとデアは「う~ん」と唸っていた。

「具体的に私は何をすればいいの?」

「マーズベルの幹部以外の国民に、戦い方のいろはを教えてほしいんだ」

「成程ね。別にいいわよ」

 意外とあっさりと引き受けてくれたので俺はホッと胸を撫でおろした。

「ただし条件があるわ」

 と、デア。やはり無料タダでいけないらしい。

「条件は簡単よ。貴方が創世主ザ・クリエイター創造神ブラフマーに覚醒させて博士を必ず倒す事。欲を言えば、英雄ノ神インドラのアクティブスキル、雷神弓シャクラダヌス雷神剣パランジャを使えるといいんだけど」

 と、デアは悪戯な笑みを浮かべていた。

「しょ――精進します」

 つい俺はそう気弱な回答をしてしまった。その様子を見ていたデアは満足気な笑みを浮かべて「引き受けてあげる」と承諾してくれた。

 俺が強くなるためにはデアが言った通り、創造神ブラフマーに覚醒させて創造神ブラフマーのアクティブスキルなりアルティメットスキルなり会得し、尚且つ創造神ブラフマーの特性を入手する事。そして追加で英雄ノ神インドラのアクティブスキル、雷神弓シャクラダヌス雷神剣パランジャを会得する事。他にも英雄ノ神インドラの特性なりアクティブスキル或いはアルティメットスキルがあるなら覚えておいた方がいい。

「私は天衣無縫オーディンのスキルや特性はほぼ会得している状態――なので、強さの限界値がきているの。でも、ナリユキとミクちゃん――特にナリユキは神のスキルを覚醒させていない状態で今の強さなの。知性・記憶の略奪と献上メーティスがある限り、他人のスキルを習得できる可能性があるから、強さの上限は無いと言っていい。必ず倒すのよ」

 デアのその言葉には力強さを感じた。必ずコヴィー・S・ウィズダムを倒すという決意の表れだ。

「じゃあ宜しく頼む。勿論、戦術だけではなく一般教養なども付けてほしい」

「戦術は大人子供問わずだけど、一般教養なら学校があったほうがいいわね。学校ないんでしょ?」

 デアにそう問いかけられて俺は「ああ」と答えた。

「そこまで手を回すことができなかったからな」

「じゃあ学校は作った方がいいわね」

「学校がある国はそもそも多いの?」

 ミクちゃんの質問に「いいえ」と回答をするデア。

「何でなんだ? 転生者が多いのに学校が少ないって――」

 俺の質問に目を瞑り始めたデア。そして三秒後には口を開く。

「そうね~。確かに転生者でも教師だった人もいるわ。けれども学校という大きな建造物を建てて、大勢の教師を集めるのは至難。簡単に言うと人手不足ね――。教える事ができる人が少ないのよ。それに転生者同士で私達のように巡り合うのは意外と困難なの。仮に会った人が転生者だったとしても、学生や一般企業の従事者。医者、学者、料理人――職業はバラバラよ」

「い――言われてみればそうだな」

 デアの見解は模範解答だった。さっきの間は恐らく特性を使って情報収集をして出したデアの結論だ。

「でも魔物でも教える事できるよね? ランベリオンやベルゾーグも部下には色々と教えているよ?」

「確かに教えることができる魔物もいるけど、マーズベル程個々の魔物が優れている国は無いわ。そうねあったとしたらミロクの国ペルソナくらいかしら」

「成程――」

「魔物がいれば人手不足を解消できるけど、優秀な魔物と出会うのもなかなか難しいって事か――」

 と、ミクちゃんは頭を悩ませていた。

「私達がきた世界のように、この世界では誰かに教えてもらう文化があまり浸透していないのよ。冒険をしてお金を稼ぐ。武器を製造してお金を稼ぐ。商人としてお金を稼ぐ。農家としてお金を稼ぐ。国の兵士としてお金を稼ぐ。という感じなのよ。知識や情報を得るためにはお金を支払う必要があるわ。ほら、本だって金貨一枚必要な本だってあるでしょ? 銀貨でも50枚くらいは必要になったりするし」

「言われてみればそうだな――それほど情報や教養の付加価値が高いのか――」

「小さい頃から学べる環境が少ないのはそのせいよ。自分が富を得るには、誰だって単価を上げたいと思うのが普通でしょ?」

「お金持ちから巻き上げるって事か」

「言い方悪いわね」

 と、苦笑を浮かべるデア。

「なら、やるしかないな。皆が教養を蓄えて立派な大人になれるように。教えてもらうのが当たり前の世界をな」

 そう俺が意気込むとミクちゃんとデアが首を傾げていた。

 まずは学校を設立しよう。これが今日の緊急の仕事だ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

処理中です...