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英雄の復活Ⅶ
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「ナリユキとミクちゃんにかかっているわね。勿論、マーズベルの皆にはもっと強くなってもらわないと困るけど」
「そうなんだよ。だからこれからしばらくは仕事もこなしつつ、鍛える時間を与えたいと思っている」
「賢明な判断ね。ナリユキはどうするの?」
「俺は創世の調査を行うつもりだ。これ以上伸びしろはあまり無いし、アリシアを守りたいしな」
「成程。じゃあ私は博士を追わずマーズベルにいた方が良さそうね。貴方はどうでもいいけど、ミクちゃんが悲しむところは見たくないわ」
「おい! 聞き捨てならんぞ」
俺がデアとそうやりとりをしているとミクちゃんの暗くなっていた表情もだんだんと晴れてきた。
「別に? 本心を言ったまでよ」
「本心酷くね?」
「仲良いよね二人とも」
くすっと笑みを浮かべるミクちゃんに対して「そんな事ないわ」とさらっと流すデア。その冷めた態度俺は少し悲しいからな!?
「ところでデア。俺から頼みがあるんだけど」
「どうしたの?」
「マーズベルの文部大臣の役職に就いてほしいんだ。経験値も勿論あるし、戦術ならマーズベルトップクラスだと思うから」
俺がそう言うとデアは「う~ん」と唸っていた。
「具体的に私は何をすればいいの?」
「マーズベルの幹部以外の国民に、戦い方のいろはを教えてほしいんだ」
「成程ね。別にいいわよ」
意外とあっさりと引き受けてくれたので俺はホッと胸を撫でおろした。
「ただし条件があるわ」
と、デア。やはり無料でいけないらしい。
「条件は簡単よ。貴方が創世主を創造神に覚醒させて博士を必ず倒す事。欲を言えば、英雄ノ神のアクティブスキル、雷神弓や雷神剣を使えるといいんだけど」
と、デアは悪戯な笑みを浮かべていた。
「しょ――精進します」
つい俺はそう気弱な回答をしてしまった。その様子を見ていたデアは満足気な笑みを浮かべて「引き受けてあげる」と承諾してくれた。
俺が強くなるためにはデアが言った通り、創造神に覚醒させて創造神のアクティブスキルなりアルティメットスキルなり会得し、尚且つ創造神の特性を入手する事。そして追加で英雄ノ神のアクティブスキル、雷神弓や雷神剣を会得する事。他にも英雄ノ神の特性なりアクティブスキル或いはアルティメットスキルがあるなら覚えておいた方がいい。
「私は天衣無縫のスキルや特性はほぼ会得している状態――なので、強さの限界値がきているの。でも、ナリユキとミクちゃん――特にナリユキは神のスキルを覚醒させていない状態で今の強さなの。知性・記憶の略奪と献上がある限り、他人のスキルを習得できる可能性があるから、強さの上限は無いと言っていい。必ず倒すのよ」
デアのその言葉には力強さを感じた。必ずコヴィー・S・ウィズダムを倒すという決意の表れだ。
「じゃあ宜しく頼む。勿論、戦術だけではなく一般教養なども付けてほしい」
「戦術は大人子供問わずだけど、一般教養なら学校があったほうがいいわね。学校ないんでしょ?」
デアにそう問いかけられて俺は「ああ」と答えた。
「そこまで手を回すことができなかったからな」
「じゃあ学校は作った方がいいわね」
「学校がある国はそもそも多いの?」
ミクちゃんの質問に「いいえ」と回答をするデア。
「何でなんだ? 転生者が多いのに学校が少ないって――」
俺の質問に目を瞑り始めたデア。そして三秒後には口を開く。
「そうね~。確かに転生者でも教師だった人もいるわ。けれども学校という大きな建造物を建てて、大勢の教師を集めるのは至難。簡単に言うと人手不足ね――。教える事ができる人が少ないのよ。それに転生者同士で私達のように巡り合うのは意外と困難なの。仮に会った人が転生者だったとしても、学生や一般企業の従事者。医者、学者、料理人――職業はバラバラよ」
「い――言われてみればそうだな」
デアの見解は模範解答だった。さっきの間は恐らく特性を使って情報収集をして出したデアの結論だ。
「でも魔物でも教える事できるよね? ランベリオンやベルゾーグも部下には色々と教えているよ?」
「確かに教えることができる魔物もいるけど、マーズベル程個々の魔物が優れている国は無いわ。そうねあったとしたらミロクの国ペルソナくらいかしら」
「成程――」
「魔物がいれば人手不足を解消できるけど、優秀な魔物と出会うのもなかなか難しいって事か――」
と、ミクちゃんは頭を悩ませていた。
「私達がきた世界のように、この世界では誰かに教えてもらう文化があまり浸透していないのよ。冒険をしてお金を稼ぐ。武器を製造してお金を稼ぐ。商人としてお金を稼ぐ。農家としてお金を稼ぐ。国の兵士としてお金を稼ぐ。という感じなのよ。知識や情報を得るためにはお金を支払う必要があるわ。ほら、本だって金貨一枚必要な本だってあるでしょ? 銀貨でも50枚くらいは必要になったりするし」
「言われてみればそうだな――それほど情報や教養の付加価値が高いのか――」
「小さい頃から学べる環境が少ないのはそのせいよ。自分が富を得るには、誰だって単価を上げたいと思うのが普通でしょ?」
「お金持ちから巻き上げるって事か」
「言い方悪いわね」
と、苦笑を浮かべるデア。
「なら、やるしかないな。皆が教養を蓄えて立派な大人になれるように。教えてもらうのが当たり前の世界をな」
そう俺が意気込むとミクちゃんとデアが首を傾げていた。
まずは学校を設立しよう。これが今日の緊急の仕事だ。
「そうなんだよ。だからこれからしばらくは仕事もこなしつつ、鍛える時間を与えたいと思っている」
「賢明な判断ね。ナリユキはどうするの?」
「俺は創世の調査を行うつもりだ。これ以上伸びしろはあまり無いし、アリシアを守りたいしな」
「成程。じゃあ私は博士を追わずマーズベルにいた方が良さそうね。貴方はどうでもいいけど、ミクちゃんが悲しむところは見たくないわ」
「おい! 聞き捨てならんぞ」
俺がデアとそうやりとりをしているとミクちゃんの暗くなっていた表情もだんだんと晴れてきた。
「別に? 本心を言ったまでよ」
「本心酷くね?」
「仲良いよね二人とも」
くすっと笑みを浮かべるミクちゃんに対して「そんな事ないわ」とさらっと流すデア。その冷めた態度俺は少し悲しいからな!?
「ところでデア。俺から頼みがあるんだけど」
「どうしたの?」
「マーズベルの文部大臣の役職に就いてほしいんだ。経験値も勿論あるし、戦術ならマーズベルトップクラスだと思うから」
俺がそう言うとデアは「う~ん」と唸っていた。
「具体的に私は何をすればいいの?」
「マーズベルの幹部以外の国民に、戦い方のいろはを教えてほしいんだ」
「成程ね。別にいいわよ」
意外とあっさりと引き受けてくれたので俺はホッと胸を撫でおろした。
「ただし条件があるわ」
と、デア。やはり無料でいけないらしい。
「条件は簡単よ。貴方が創世主を創造神に覚醒させて博士を必ず倒す事。欲を言えば、英雄ノ神のアクティブスキル、雷神弓や雷神剣を使えるといいんだけど」
と、デアは悪戯な笑みを浮かべていた。
「しょ――精進します」
つい俺はそう気弱な回答をしてしまった。その様子を見ていたデアは満足気な笑みを浮かべて「引き受けてあげる」と承諾してくれた。
俺が強くなるためにはデアが言った通り、創造神に覚醒させて創造神のアクティブスキルなりアルティメットスキルなり会得し、尚且つ創造神の特性を入手する事。そして追加で英雄ノ神のアクティブスキル、雷神弓や雷神剣を会得する事。他にも英雄ノ神の特性なりアクティブスキル或いはアルティメットスキルがあるなら覚えておいた方がいい。
「私は天衣無縫のスキルや特性はほぼ会得している状態――なので、強さの限界値がきているの。でも、ナリユキとミクちゃん――特にナリユキは神のスキルを覚醒させていない状態で今の強さなの。知性・記憶の略奪と献上がある限り、他人のスキルを習得できる可能性があるから、強さの上限は無いと言っていい。必ず倒すのよ」
デアのその言葉には力強さを感じた。必ずコヴィー・S・ウィズダムを倒すという決意の表れだ。
「じゃあ宜しく頼む。勿論、戦術だけではなく一般教養なども付けてほしい」
「戦術は大人子供問わずだけど、一般教養なら学校があったほうがいいわね。学校ないんでしょ?」
デアにそう問いかけられて俺は「ああ」と答えた。
「そこまで手を回すことができなかったからな」
「じゃあ学校は作った方がいいわね」
「学校がある国はそもそも多いの?」
ミクちゃんの質問に「いいえ」と回答をするデア。
「何でなんだ? 転生者が多いのに学校が少ないって――」
俺の質問に目を瞑り始めたデア。そして三秒後には口を開く。
「そうね~。確かに転生者でも教師だった人もいるわ。けれども学校という大きな建造物を建てて、大勢の教師を集めるのは至難。簡単に言うと人手不足ね――。教える事ができる人が少ないのよ。それに転生者同士で私達のように巡り合うのは意外と困難なの。仮に会った人が転生者だったとしても、学生や一般企業の従事者。医者、学者、料理人――職業はバラバラよ」
「い――言われてみればそうだな」
デアの見解は模範解答だった。さっきの間は恐らく特性を使って情報収集をして出したデアの結論だ。
「でも魔物でも教える事できるよね? ランベリオンやベルゾーグも部下には色々と教えているよ?」
「確かに教えることができる魔物もいるけど、マーズベル程個々の魔物が優れている国は無いわ。そうねあったとしたらミロクの国ペルソナくらいかしら」
「成程――」
「魔物がいれば人手不足を解消できるけど、優秀な魔物と出会うのもなかなか難しいって事か――」
と、ミクちゃんは頭を悩ませていた。
「私達がきた世界のように、この世界では誰かに教えてもらう文化があまり浸透していないのよ。冒険をしてお金を稼ぐ。武器を製造してお金を稼ぐ。商人としてお金を稼ぐ。農家としてお金を稼ぐ。国の兵士としてお金を稼ぐ。という感じなのよ。知識や情報を得るためにはお金を支払う必要があるわ。ほら、本だって金貨一枚必要な本だってあるでしょ? 銀貨でも50枚くらいは必要になったりするし」
「言われてみればそうだな――それほど情報や教養の付加価値が高いのか――」
「小さい頃から学べる環境が少ないのはそのせいよ。自分が富を得るには、誰だって単価を上げたいと思うのが普通でしょ?」
「お金持ちから巻き上げるって事か」
「言い方悪いわね」
と、苦笑を浮かべるデア。
「なら、やるしかないな。皆が教養を蓄えて立派な大人になれるように。教えてもらうのが当たり前の世界をな」
そう俺が意気込むとミクちゃんとデアが首を傾げていた。
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