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最終局面Ⅰ
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「黒龍は完全に消滅したようだな」
「どうやらそのようじゃのう」
ルシファーとアスモデウスさんがそう言っているので間違いないだろう。魔眼の効果の透視で岩山の下を覗いているのだ。
「心臓とMPの流れが完全に停止しているんですか?」
「その通りじゃ」
アスモデウスさんがそう返事をしてくれると、ルシファーは同意をするかのように頷いていた。
「何だろうこの悪寒。ちょっと未来を視てみるね」
ミクちゃんはそう言って目を瞑って両手を合わせた。発動したのはミクちゃんのもう一つのユニークスキル、巫女の祈りだ。巫女の魂魄を宿して入手したこのスキルは両手を合わせるだけで明確な未来を視ることができる。
悪い未来を視たのだろうか? ミクちゃんの顔色はみるみる蒼白していった。
「ミクちゃん。顔色凄く悪いよ? 大丈夫?」
「ナリユキ君。ヤバいかも――黒龍生きているよ? それに更に強くなっていてナリユキ君以外は全滅する……」
「どういう事だ? 私の目には黒龍の心臓とMPは停止して視えているんだぞ?」
「しかし、ミク殿がそういうのであれば何かタネがある筈じゃな」
「そうね。巫女の未来を視る力は天眼の未来予知眼とは比較にならない程遠い未来と正確性があるから間違いでは無いと思うわ。それでも彼は死んでいるんでしょ? 対策を講じようにもどうにもできないわね」
「妙だな――何故心臓とMPの流れが止まっているのに、我々は倒されるのだ?」
「そこまでは分からないです。視えた未来の少し前の未来を視たいのですが、黒龍がいきなり動き出したとしか言いようがないんですよね」
いきなり動き出す――。もしかして俺みたいに生き返るのか? 俺は創造神と知性神と対話をして、新しいスキルを入手して生き返った。もしかして黒龍も同じことが起きるのだろうか? しかし、俺以外という事はデアも倒される訳だろ? もしかして、黒龍はデアの天衣無縫を超える新しいスキルや特性を入手するのか? それとも破壊神のユニークスキルを持つ者だけが許されるアルティメットスキルでも入手するのだろうか?
「デア。俺は以前黒龍と戦った時に一度死んだんだ。というか実は二回死んでいるだけど――」
「こんなときにどうしたのよ。それにナリユキ二回も死んでいるの!?」
「それは私も今聞いて驚いた」
デアとルシファーはそういい反応を見せてくれた。
「一度目はミクちゃんの蘇生で生き返り、二度目は創造神と知性神の二人と対話が出来て生き返った。黒龍も俺と同じような体験をしている可能性があるんじゃないか?」
「否定はできないわね。ただ、何のスキルや特性を入手するのか分からないけど、破壊神と対話をして生き返ったのであれば、私達が全滅するのは頷けるわ。ナリユキだけ倒されないのはよく分からないけど」
「否定はできないか――」
俺がそう呟くとルシファーが黒刀を岩山に向けた。
「ならば私の技で心臓を切り刻めばいい」
「奴の心臓は岩山に押し潰されているのに、さらに切り刻むのか? 一体どういう神経しとるんじゃ其方は」
――魔眼無いから見えていなかったけど心臓押し潰されているね――。そう考えると、スキルを発動させなくする森羅万象って改めてエグいな。俺達が住んでいた世界のように軟弱になるって事だもんな。
「何か今聞きたくなかった話がちらって聞こえたけど聞こえなかったことにしよう」
ミクちゃんは「ハハ」と乾いた笑いを上げてまるで壊れたロボットのようになっていた。
「まあ、森羅万象を使って攻撃をしたんだもの。ぐちゃぐちゃの肉片に心臓が押し潰されている状態なんて当然ね」
「おいデア。いらん事言うな」
「何の事かしら?」
デアはそう言って悪戯な笑みを浮かべていた。絶対にわざとだこの人。
「それにしてもバラバラの状態で自力で生き返るのって私はイメージできないわ。蘇生なら分るけど」
そう会話をしている時だった。大地が突如として大きく揺れ始めて、マーズベルの天気は快晴だったにも関わらず雷雨が降り始めた。まるでこの世界が怯え、泣いているかのように俺は思えた。これは黒龍が復活するとしか思えない。
「一体どうなっているんだ――?」
「分からない。まだは黒龍はバラバラのままだからな」
ルシファーがそう言った瞬間――。マーズベルの国土全体が黒炎に包まれてしまった。
「おいおい! 一体何が起きているんだ!」
このままでは国民全員の命が危ない。俺はもう既に気が気でなかった。天眼の千里眼を使えば国民に被害が及んでいる――。
建造物のあちこちが黒炎が包まれてしまい、その炎が人に移ってしまっている。
「ナリユキ君――」
「ま――マズいのう」
「マズいのはマーズベルだけではないぞ」
「その通りよ。世界中が黒炎に包まれているわ。被害は甚大ね。貴方のヒーティスも、青龍のオストロンも、隣国のカーネルも――。どうやら想定していた最低の物語になっているわ」
どうやってこの危機を乗り越えたらいいんだ――。
「少し泥臭いけどこの方法しかないわ。青龍。貴方私の八本脚軍馬に乗って、貴方の水で世界中の黒炎を鎮火させなさい」
「八本脚軍馬? それは何だ?」
「私の可愛いペットよ」
デアがそう言った瞬間、突如として現れたあまりにも巨大な黄金の鬣と尻尾を持った八本の脚が特徴的な白い馬。体長が50m程あるその姿は別の世界から来たような優雅さと猛々しさを持っていた。
「貴方は私の馬に乗り、降り立った場所で水のスキルと美しき生命を使いなさい。八本脚軍馬は世界中どこへでも瞬時に移動できる能力を持っているわ」
「分かった。行ってくる」
青龍さんは言われるがまま八本脚軍馬の背中に乗った。
「移動しながら我が指示を出す。準備は良いな? デアよ行ってくるぞ」
「ええ。任せたわよ」
そうデアと八本脚軍馬が会話をすると、八本脚軍馬はこの場から消した。
あとは――。
「どうやらそのようじゃのう」
ルシファーとアスモデウスさんがそう言っているので間違いないだろう。魔眼の効果の透視で岩山の下を覗いているのだ。
「心臓とMPの流れが完全に停止しているんですか?」
「その通りじゃ」
アスモデウスさんがそう返事をしてくれると、ルシファーは同意をするかのように頷いていた。
「何だろうこの悪寒。ちょっと未来を視てみるね」
ミクちゃんはそう言って目を瞑って両手を合わせた。発動したのはミクちゃんのもう一つのユニークスキル、巫女の祈りだ。巫女の魂魄を宿して入手したこのスキルは両手を合わせるだけで明確な未来を視ることができる。
悪い未来を視たのだろうか? ミクちゃんの顔色はみるみる蒼白していった。
「ミクちゃん。顔色凄く悪いよ? 大丈夫?」
「ナリユキ君。ヤバいかも――黒龍生きているよ? それに更に強くなっていてナリユキ君以外は全滅する……」
「どういう事だ? 私の目には黒龍の心臓とMPは停止して視えているんだぞ?」
「しかし、ミク殿がそういうのであれば何かタネがある筈じゃな」
「そうね。巫女の未来を視る力は天眼の未来予知眼とは比較にならない程遠い未来と正確性があるから間違いでは無いと思うわ。それでも彼は死んでいるんでしょ? 対策を講じようにもどうにもできないわね」
「妙だな――何故心臓とMPの流れが止まっているのに、我々は倒されるのだ?」
「そこまでは分からないです。視えた未来の少し前の未来を視たいのですが、黒龍がいきなり動き出したとしか言いようがないんですよね」
いきなり動き出す――。もしかして俺みたいに生き返るのか? 俺は創造神と知性神と対話をして、新しいスキルを入手して生き返った。もしかして黒龍も同じことが起きるのだろうか? しかし、俺以外という事はデアも倒される訳だろ? もしかして、黒龍はデアの天衣無縫を超える新しいスキルや特性を入手するのか? それとも破壊神のユニークスキルを持つ者だけが許されるアルティメットスキルでも入手するのだろうか?
「デア。俺は以前黒龍と戦った時に一度死んだんだ。というか実は二回死んでいるだけど――」
「こんなときにどうしたのよ。それにナリユキ二回も死んでいるの!?」
「それは私も今聞いて驚いた」
デアとルシファーはそういい反応を見せてくれた。
「一度目はミクちゃんの蘇生で生き返り、二度目は創造神と知性神の二人と対話が出来て生き返った。黒龍も俺と同じような体験をしている可能性があるんじゃないか?」
「否定はできないわね。ただ、何のスキルや特性を入手するのか分からないけど、破壊神と対話をして生き返ったのであれば、私達が全滅するのは頷けるわ。ナリユキだけ倒されないのはよく分からないけど」
「否定はできないか――」
俺がそう呟くとルシファーが黒刀を岩山に向けた。
「ならば私の技で心臓を切り刻めばいい」
「奴の心臓は岩山に押し潰されているのに、さらに切り刻むのか? 一体どういう神経しとるんじゃ其方は」
――魔眼無いから見えていなかったけど心臓押し潰されているね――。そう考えると、スキルを発動させなくする森羅万象って改めてエグいな。俺達が住んでいた世界のように軟弱になるって事だもんな。
「何か今聞きたくなかった話がちらって聞こえたけど聞こえなかったことにしよう」
ミクちゃんは「ハハ」と乾いた笑いを上げてまるで壊れたロボットのようになっていた。
「まあ、森羅万象を使って攻撃をしたんだもの。ぐちゃぐちゃの肉片に心臓が押し潰されている状態なんて当然ね」
「おいデア。いらん事言うな」
「何の事かしら?」
デアはそう言って悪戯な笑みを浮かべていた。絶対にわざとだこの人。
「それにしてもバラバラの状態で自力で生き返るのって私はイメージできないわ。蘇生なら分るけど」
そう会話をしている時だった。大地が突如として大きく揺れ始めて、マーズベルの天気は快晴だったにも関わらず雷雨が降り始めた。まるでこの世界が怯え、泣いているかのように俺は思えた。これは黒龍が復活するとしか思えない。
「一体どうなっているんだ――?」
「分からない。まだは黒龍はバラバラのままだからな」
ルシファーがそう言った瞬間――。マーズベルの国土全体が黒炎に包まれてしまった。
「おいおい! 一体何が起きているんだ!」
このままでは国民全員の命が危ない。俺はもう既に気が気でなかった。天眼の千里眼を使えば国民に被害が及んでいる――。
建造物のあちこちが黒炎が包まれてしまい、その炎が人に移ってしまっている。
「ナリユキ君――」
「ま――マズいのう」
「マズいのはマーズベルだけではないぞ」
「その通りよ。世界中が黒炎に包まれているわ。被害は甚大ね。貴方のヒーティスも、青龍のオストロンも、隣国のカーネルも――。どうやら想定していた最低の物語になっているわ」
どうやってこの危機を乗り越えたらいいんだ――。
「少し泥臭いけどこの方法しかないわ。青龍。貴方私の八本脚軍馬に乗って、貴方の水で世界中の黒炎を鎮火させなさい」
「八本脚軍馬? それは何だ?」
「私の可愛いペットよ」
デアがそう言った瞬間、突如として現れたあまりにも巨大な黄金の鬣と尻尾を持った八本の脚が特徴的な白い馬。体長が50m程あるその姿は別の世界から来たような優雅さと猛々しさを持っていた。
「貴方は私の馬に乗り、降り立った場所で水のスキルと美しき生命を使いなさい。八本脚軍馬は世界中どこへでも瞬時に移動できる能力を持っているわ」
「分かった。行ってくる」
青龍さんは言われるがまま八本脚軍馬の背中に乗った。
「移動しながら我が指示を出す。準備は良いな? デアよ行ってくるぞ」
「ええ。任せたわよ」
そうデアと八本脚軍馬が会話をすると、八本脚軍馬はこの場から消した。
あとは――。
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