【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
517 / 597

恐るべき天衣無縫Ⅲ

しおりを挟む
「私の天衣無縫オーディン。ナリユキは攻略したわよ」

「何――?」

 デアの言葉に黒龍ニゲルが俺の方を見てくると、俺はサムズアップをした。

「成程。ならば俺様でも攻略できない訳では無いのか」

 と、呟いていたので本当に攻略しそうな気がする。黒龍ニゲルの俺への対抗意識に火をつけたようだ。これで負けてしまったらどうなるんでしょうね本当に。

「未来を捻じ曲げる――。さっきから俺様は思った通りに動けていないだけ」

 黒龍ニゲルはそう言ってブツブツと呟き始めた。下手に破壊神シヴァでパワーアップしても意味がない事は分かっているようだ。恐らく、今まで力で全てをねじ伏せてきた為、他人のユニークスキルを攻略しようと思ったのは、今回を入れてそう多くは無い筈。だからこうして黒龍ニゲルが考えなら戦うところを見るのは希少に違いない。

「少しは考える事できた?」

「あとは試すのみだな」

 そう呟いた黒龍ニゲルの空気が変わった。そこから始まる二人の刀による戦い。

「何かあれだな。ちょっかいかけようと思えば、俺はちょっかいかけれるのに、何か手を出したら駄目な空気出てるよな。ほら、漫画やアニメでそこ手助けしたらいけるんじゃね? ってシーンあるだろ?」

「確かにそうだね。それに黒龍ニゲルがデアさんの天衣無縫オーディンを攻略するところを見たい気がする」

「異世界の人間と言うのは呑気だな」

「本当じゃのう。まあそこが良い点ではあるがのう。そもそも妾と青龍リオは攻撃したくても返り討ちにあうだけじゃし」

 アスモデウスさんに関しては魔真王サタンを解除してMPの消費を抑えている。

「せっかく地上に来たのに、攻撃を与える隙が無いとどうしようもないな」

 ルシファーは二人の戦闘をまじまじと見ながら常に乱入できる隙を伺っているようだ。

「ねえナリユキ君気のせいかな?」

「何が?」

黒龍ニゲル・クティオストルーデが押し始めているよ?」

 ミクちゃんの言った通りだった。天衣無縫オーディンを使っている以上、攻撃を受けることが無い筈のデアが先程から黒龍ニゲルの刀傷を負い始めた。当然、デアも直ぐに再生するから問題は無いけど、これは黒龍ニゲル天衣無縫オーディンの未来を捻じ曲げるという力に抗い始めている証拠だ。

「奴も戦いのなかでスキルが増えるほど、戦闘センスの高い龍族だ。未来を超越できても可笑しくはない」

「ナリユキ。あのデアという女は普段どんなスキルを持っているんだ?」

 ルシファーがそう質問してきた。そう言えば、青龍リオさんもルシファーも本来の姿知らないもんな。

「デアは転生者で、コヴィー・S・ウィズダムの手によって、龍族、魔族、森妖精エルフを主体に様々な血を持つ人間だ」

「もしかして魔真王サタンも使えるのか?」

「ああ。魔真王サタンも使えるし相当な腕を持つ森妖精エルフにしか使えない神樹セフィロトのスキルも使える。それに天衣無縫オーディンを極めたんだろうな。天衣無縫オーディンを持つ者しか使えないアルティメットスキルを二つ持っている。今は天衣無縫オーディン黒龍ニゲルに化けているからステータスを視てもそれらのスキルは消えているけどな」

「――成程。魔界で広めておくか。地上に侵攻しようものなら、神のユニークスキルを持つ二人の転生者と、闇払やみばらいを持っている転生者がいるとな」

「そうしておいてくれ。敵がわんさか来るのは普通に困る」

 俺とルシファーがそう会話をしている時だった。「あっ!」とミクちゃん、青龍リオさん、アスモデウスさんが叫んだと思えば、デアが初めて黒龍ニゲルのスキルをまともに直撃していた。それは黒滅龍炎波ニゲル・ルインフラムヴァーグだった。

「お返しだ小娘」

 デアは全ての体が再生するなり「ふう」と溜め息をついていた。

「やるわね」

「これ決着つくのかな?」

「いや、しばらくは無理だろ。黒龍ニゲルと戦う時は三日程戦い続けないといけない覚悟がいる」

 俺がそう言うとルシファーが「体力勝負か――」と少し苦い表情を浮かべていた。多分体力勝負には自信ないのだろう。

 突如、黒龍ニゲルの邪気が大幅に増幅した。しかし破壊神シヴァによるパワーアップという訳では無さそうだった。一体何をする気だ――。

「皆! 今すぐここから離れて!」

 デアは剣幕な表情を見せながらそう叫んだ。

「離れよう」

 俺達はデアの言った通りこの場から直ぐに離れた。事情は分からないけど、デアのあの焦り方は異常だった。そして突如としてデアと黒龍ニゲルがいた周囲は大爆発を起こした。半径10kmにも及ぶ大爆発。俺達は爆発の中に巻き込まれていたので、ミクちゃんの星光の聖域ルミナ・サンクチュアリによってノーダメージだったし、この強烈な爆風を浴びる事はなかった。

 爆風が止むと爆心地から半径10kmの場所は何も無い更地となっていた。そして隕石でも落ちたのか? と疑うレベルのクレーターは、マーズベル森林の生物を一瞬にして塵と化したのは言うまでもない。

「俺、やっぱり黒龍ニゲル嫌いだ。人の森をむちゃくちゃにしやがって」

「本当に酷いよね……」

「まあそこは余に任せろ。いくらでも自然を元通りにしてやる」

「ありがとうございます」

 俺がそうお礼をすると、青龍リオさんが「構わん」と言って微笑んでくれた。

「デアさん。大丈夫かな?」

「流石に今の爆発はマズそうだな」

 そう思っていた時だった。二人の黒龍ニゲルが再生するなり、ハアハアと息を切らしていた。デアも今の爆発で相当な体力を減らしてしまった。黒龍ニゲルに関しては体力とMPを削ってしまった。そこまでしてデアにどんなダメージを与えたかったのか、黒龍ニゲルのステータスを視ても検討がつかないので不明である。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

処理中です...