516 / 597
恐るべき天衣無縫Ⅱ
しおりを挟む
デアは早速好き放題に暴れている黒龍に近付くと、黒龍はデアに気付き動揺していた。
「な――貴様。何者だ」
「へえ。相当驚いているわね。私はデア。貴方を倒しに来たの」
「俺様を倒しに?」
「そうよ。どう? 目の前にもう一人の自分が鏡以外で見る事ができるのは」
「――気味が悪いな」
「でしょうね。それにスキルもそっくりそのまま使えるのよ」
「らしいな。しかし威力はどうだ!」
黒龍は早速デアに向けて黒滅龍炎波を放った。対するデアも黒滅龍炎波を放つ。
「す――凄い。全くの互角」
「想像以上だな。これ見ている方が面白いんじゃね?」
「気持ちは分かるけど援護しよう!」
「そうだな」
黒滅龍炎波のぶつかり合いで、黒龍は俺達にまで気を配る事はできていなかった。「何だと!?」と黒龍は驚きながらも、デアの黒滅龍炎波に食らいつく。しかし俺達がやることは、黒龍に対してちょっかいをかける事。俺は早速創造主でミニガンを取り出してから設置した。
「いくぞ!」
俺はミニガンを発射。銃口から火が噴いているようなマズルフラッシュと、ブーという繋がった音。勿論、メタルストームにはレートは敵わないが、黒龍の注意を逸らすには十分な武器だ。まあ、毎分6,000発らしいもんな。凄いよ十分。
発射時間は僅か3秒。俺が発射した弾は勿論全て黒龍の頭に命中。すると、黒龍は「ナリユキー!」と言ってデアの黒滅龍炎波に飲み込まれた。
「す――凄いのう。まさか黒龍にも化けるとは――」
「ナリユキ殿。もしかしてまた新しいZ級か? 聞いていないぞ」
と、俺の隣に来て少し怒り口調な青龍さん。
「そ――そうですよ。カルベリアツリーのダンジョンの1,000層のボスです」
「……全く。どれほど国の軍事力を上げれば気が済むんだ。ではあれか? マーズベルはZ級が三人いるのか?」
「そういう事になりますね」
「次回の六芒星会議でその情報を話すんだぞ」
「勿論ですよ」
俺がそう返事をすると、青龍さんはハアと溜め息をついていた。
「本当に六芒星に入れていて良かった。ナリユキ殿がもし違う性格なら全世界はナリユキ殿が独占していたな」
「でもまあ、そんな独占するような嫌な性格していたら人は寄ってませんよ」
「確かにな」
そう青龍さんは頷いた。
「おい。悠長に話をしている場合ではないぞ」
ルシファーがそう土煙が上がっている方向を指した。そこには憎悪むき出しの瞳をした黒龍がいた。つうかその憎悪は邪気にも込められていた。
「完全に怒っているな」
ルシファーも思わず苦笑を浮かべてそう呟く。
「まあ、全く同じ自分が現れた時点で嫌じゃろうな。黒龍は特に嫌いそうじゃ」
「貴様は絶対に殺す!」
そう怒号を散らしながら黒龍はデアに黒刀で斬りかかった。
「ナリユキ! 何でもいいから刀を出して!」
「え――あ、そうか。今は出せないのか」
俺がそう言うとデアはコクリと頷いた。
「そう言われてもな~」
と、咄嗟に思い浮かんだのが妖刀村正だった。徳川家に仇をなす妖刀と言われている割と有名な刀だ。でも妖刀って言っているくらいだから凄い邪気が出ているけど気にしなくていいか。
俺が妖刀村正を放り投げると、デアは黒龍の攻撃を避けながら器用に俺が放り投げた妖刀村正をキャッチした。
「なかなかいい刀じゃない」
そう言ってデアは黒龍の黒刀を受け止めた。キインという刀と刀が重なり合う金属音も相まってなのか、なんか格好いいとすら思えた。
「ふざけるな! 咄嗟に出した割にはやたらといい刀じゃないか!」
と黒龍はキレながらデアに攻撃を仕掛けていた。そこキレるところなのか? とか思いながらもデアの刀捌きを眺めていた。
「あの刀使ってみたいな」
ルシファーがそう言ったので、俺が「ほらよ」と同じの出すと、妖刀村正を眺めていた。
「特に変わった見た目をしている訳ではないな。しかしキレ味はよさそうだ」
と、言ってルシファーは刀をブンと素振りをしただけで辺りの木々を鰹節のように粉々にしていた。多分そんな恐ろしい事ができるの貴方だけです。はい。
「黒滅爪斬!」
と二人が同じスキルを出し合った。どっちが攻撃を受けるんだ? と思っていたら互いの攻撃を受け止めあっていた。
「普通に見物しておきたいな」
「そもそも妾達が入れる隙が無さそうじゃのう」
「それは言えているな。巻き沿いを喰らうだけだ」
青龍さんとアスモデウスさんがそう会話しているところだった。黒滅爪衝斬という刺突攻撃で、デアは黒龍を吹き飛ばした。
デアは吹き飛ばした黒龍の後ろへ回り込み、黒滅龍炎弾を繰り出した。直径10mの黒炎がマシンガンの如く襲い掛かる。
当然、黒龍は避け切る事ができずに黒滅龍炎弾に直撃した。さっきから黒龍のほうが攻撃が当たっているのは、デアの天衣無縫の効果で未来を捻じ曲げているからだ。それで黒龍は避けようとしても避けることができない。天眼の未来予知眼で視た未来から逃れようとしているけど、なかなかその未来に抗う事ができないでいる。
「あのもう一人の黒龍になっているデアという女性――相当やるな」
「あの変身スキルは神のユニークスキルなんですよ。天衣無縫って言って相手の姿に変身してスキルをそのままコピーする効果と、未来を少し捻じ曲げる効果を有しています」
「未来を捻じ曲げる――どんな風にだ?」
「未来予知眼などで未来を視ている事が前提ですが、例えば敵が右に移動しようとしているところを左に移動させるとかそういった小さい事です」
「成程――未来を変えるというより行動を変えさせるという感じか」
「正解です。それでも敵からしたら戦い辛いと思いますよ。俺は凄くやりにくかったし」
俺がそう溜め息交じりに呟くと、「苦労したんだな」と青龍さんに労いの言葉をもらった。なんか凄い事をした気分だ。
「な――貴様。何者だ」
「へえ。相当驚いているわね。私はデア。貴方を倒しに来たの」
「俺様を倒しに?」
「そうよ。どう? 目の前にもう一人の自分が鏡以外で見る事ができるのは」
「――気味が悪いな」
「でしょうね。それにスキルもそっくりそのまま使えるのよ」
「らしいな。しかし威力はどうだ!」
黒龍は早速デアに向けて黒滅龍炎波を放った。対するデアも黒滅龍炎波を放つ。
「す――凄い。全くの互角」
「想像以上だな。これ見ている方が面白いんじゃね?」
「気持ちは分かるけど援護しよう!」
「そうだな」
黒滅龍炎波のぶつかり合いで、黒龍は俺達にまで気を配る事はできていなかった。「何だと!?」と黒龍は驚きながらも、デアの黒滅龍炎波に食らいつく。しかし俺達がやることは、黒龍に対してちょっかいをかける事。俺は早速創造主でミニガンを取り出してから設置した。
「いくぞ!」
俺はミニガンを発射。銃口から火が噴いているようなマズルフラッシュと、ブーという繋がった音。勿論、メタルストームにはレートは敵わないが、黒龍の注意を逸らすには十分な武器だ。まあ、毎分6,000発らしいもんな。凄いよ十分。
発射時間は僅か3秒。俺が発射した弾は勿論全て黒龍の頭に命中。すると、黒龍は「ナリユキー!」と言ってデアの黒滅龍炎波に飲み込まれた。
「す――凄いのう。まさか黒龍にも化けるとは――」
「ナリユキ殿。もしかしてまた新しいZ級か? 聞いていないぞ」
と、俺の隣に来て少し怒り口調な青龍さん。
「そ――そうですよ。カルベリアツリーのダンジョンの1,000層のボスです」
「……全く。どれほど国の軍事力を上げれば気が済むんだ。ではあれか? マーズベルはZ級が三人いるのか?」
「そういう事になりますね」
「次回の六芒星会議でその情報を話すんだぞ」
「勿論ですよ」
俺がそう返事をすると、青龍さんはハアと溜め息をついていた。
「本当に六芒星に入れていて良かった。ナリユキ殿がもし違う性格なら全世界はナリユキ殿が独占していたな」
「でもまあ、そんな独占するような嫌な性格していたら人は寄ってませんよ」
「確かにな」
そう青龍さんは頷いた。
「おい。悠長に話をしている場合ではないぞ」
ルシファーがそう土煙が上がっている方向を指した。そこには憎悪むき出しの瞳をした黒龍がいた。つうかその憎悪は邪気にも込められていた。
「完全に怒っているな」
ルシファーも思わず苦笑を浮かべてそう呟く。
「まあ、全く同じ自分が現れた時点で嫌じゃろうな。黒龍は特に嫌いそうじゃ」
「貴様は絶対に殺す!」
そう怒号を散らしながら黒龍はデアに黒刀で斬りかかった。
「ナリユキ! 何でもいいから刀を出して!」
「え――あ、そうか。今は出せないのか」
俺がそう言うとデアはコクリと頷いた。
「そう言われてもな~」
と、咄嗟に思い浮かんだのが妖刀村正だった。徳川家に仇をなす妖刀と言われている割と有名な刀だ。でも妖刀って言っているくらいだから凄い邪気が出ているけど気にしなくていいか。
俺が妖刀村正を放り投げると、デアは黒龍の攻撃を避けながら器用に俺が放り投げた妖刀村正をキャッチした。
「なかなかいい刀じゃない」
そう言ってデアは黒龍の黒刀を受け止めた。キインという刀と刀が重なり合う金属音も相まってなのか、なんか格好いいとすら思えた。
「ふざけるな! 咄嗟に出した割にはやたらといい刀じゃないか!」
と黒龍はキレながらデアに攻撃を仕掛けていた。そこキレるところなのか? とか思いながらもデアの刀捌きを眺めていた。
「あの刀使ってみたいな」
ルシファーがそう言ったので、俺が「ほらよ」と同じの出すと、妖刀村正を眺めていた。
「特に変わった見た目をしている訳ではないな。しかしキレ味はよさそうだ」
と、言ってルシファーは刀をブンと素振りをしただけで辺りの木々を鰹節のように粉々にしていた。多分そんな恐ろしい事ができるの貴方だけです。はい。
「黒滅爪斬!」
と二人が同じスキルを出し合った。どっちが攻撃を受けるんだ? と思っていたら互いの攻撃を受け止めあっていた。
「普通に見物しておきたいな」
「そもそも妾達が入れる隙が無さそうじゃのう」
「それは言えているな。巻き沿いを喰らうだけだ」
青龍さんとアスモデウスさんがそう会話しているところだった。黒滅爪衝斬という刺突攻撃で、デアは黒龍を吹き飛ばした。
デアは吹き飛ばした黒龍の後ろへ回り込み、黒滅龍炎弾を繰り出した。直径10mの黒炎がマシンガンの如く襲い掛かる。
当然、黒龍は避け切る事ができずに黒滅龍炎弾に直撃した。さっきから黒龍のほうが攻撃が当たっているのは、デアの天衣無縫の効果で未来を捻じ曲げているからだ。それで黒龍は避けようとしても避けることができない。天眼の未来予知眼で視た未来から逃れようとしているけど、なかなかその未来に抗う事ができないでいる。
「あのもう一人の黒龍になっているデアという女性――相当やるな」
「あの変身スキルは神のユニークスキルなんですよ。天衣無縫って言って相手の姿に変身してスキルをそのままコピーする効果と、未来を少し捻じ曲げる効果を有しています」
「未来を捻じ曲げる――どんな風にだ?」
「未来予知眼などで未来を視ている事が前提ですが、例えば敵が右に移動しようとしているところを左に移動させるとかそういった小さい事です」
「成程――未来を変えるというより行動を変えさせるという感じか」
「正解です。それでも敵からしたら戦い辛いと思いますよ。俺は凄くやりにくかったし」
俺がそう溜め息交じりに呟くと、「苦労したんだな」と青龍さんに労いの言葉をもらった。なんか凄い事をした気分だ。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる