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力を開放する黒龍Ⅰ
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「なあ、黒龍。俺を殺した時は多少本気だったかもしれないが今まではお遊びだったんだろ? ユニークスキルも発動していないし、アクティブスキルだってほんの数個しか発動していない」
「ほう。俺様のステータスを視れるようになったのか。やっと対等な戦いができそうだ」
黒龍が持つユニークスキル破壊神は、如何なるモノを破壊する。また、自身の戦闘値を十倍まで引き上げる効果と、瀕死状態からの復活で自身の戦闘が大幅に上がるというユニークスキルだ。それに驚きなのが、黒龍も俺と同じ神理を持っている事だった。
「対等な戦い? いざとなれば戦闘値を十万越えにできる奴が何を言っているんだ」
俺が苦笑しながらそう呟くと、ミクちゃん、青龍さん、アスモデウスさんは「十万!?」と驚いていた。まあ当然の反応だよな。
「会う度に強くなったり、戦闘中に追い込めたかな? と思えば底が知れない力を見せてくるのはそう言う事だったか」
「そういう事だ。お陰で俺様も随分と強くなった。しかしまあ心配する事は無い。俺様が破壊神を使ってしまえばこの世界は一瞬で滅んでしまう」
正直なところ、黒龍に勝つ手段が全く見つからない。なんで2,000年前に青龍さんとジークフリートことルシファーがこの化物を封印できたのか不思議なくらいだ。
――そこで思い出した。デアは今と昔の黒龍は別物だと思えと。冷静に考えればそもそも黒龍はユニークスキルが覚醒していなかった可能性がある。覚醒前はそもそも戦闘値を十倍までに引き上げる効果も無かっただろうし、如何なるモノを破壊するという効果が無かった可能性が高い。俺の創造主のように、破壊対象は限定的だった筈だ。
そう考えているとルシファーが飛んできた。役者は揃ったのだ。
「龍騎士――!」
ルシファーが到着すると、黒龍の顔色は一気に変わった。
「龍騎士? 私は魔王ルシファーだ」
「俺様が見間違える筈がないだろう。貴様は俺様達龍族の唯一の天敵。最強の人間であり龍騎士ジークフリートだ」
「知らないな。それが私の名前なのか?」
「そうだ。何がどうなっている。説明しろナリユキ」
何で俺なんだよ。
「アンタの邪気で魔王になったんだ。知らなかったのか? そのせいで2,000年前以上の記憶はルシファーには無いんだ。人間だった頃の記憶がな」
「成程。それで邪気が放たれているのか」
黒龍は妙に納得したような表情を浮かべていたが、ルシファーは全く納得していなかった。
「アスモデウスとの契約で貴様を殺しに来た」
「来い。あの時の恨みを晴らしてくれる」
――あれ? もしかしてルシファーと黒龍の戦い?
互いに黒刀で抜刀の構えをしていた。
そして突風が吹き荒れたと同時に二人はこの場から姿を消した。不気味に響く刀の金属音。常人には音しか聞こえないだろう。しかし、厳密に言えば高速移動をしながら刀の打ち合いを行っているだけ。
「俺達も行くぞ」
俺がそう言うとミクちゃん、青龍さん、アスモデウスさんの三人は頷いた。ミクちゃんはレイピアを。青龍さんは青龍偃月刀を。アスモデウスさんは魔刀を出現させた。
俺達五人が襲い掛かっても、黒龍は俺達の猛攻を正確に弾いていた。しかし、ルシファーだけは違っていたようだ。戦闘値は明らかに黒龍に劣っているのに、ルシファーの剣速は黒龍を上回っていた。これが魔界一の剣使い――。流石だな。
俺達が加わった事により、黒龍はルシファーの攻撃を数度受ける事になっていた。黒龍の顔にはルシファーの刀傷が刻まれていく。
俺は一旦離れて創造主を発動。そしてデザートイーグルを出現させた。
四人と黒龍が動き回っているところを予測しないといけない。俺はまず神経を研ぎ澄ませた。いくら狙撃手が付いているからって、黒龍が四人の誰かを盾にしてしまえば、味方を誤射する事になるし、光の化身を持っているミクちゃんでも、俺の攻撃は直撃するとダメージを負うからな。
すうと深呼吸を行った。
「ここだ」
俺が引き金を引くと、俺が撃った弾は北西の方角へと飛んでいく。
するとちょうど姿を現した黒龍の右肩に直撃。一瞬の怯みが四人の攻撃を受けることになった。
「どけ」
四人の同時攻撃の後、ルシファーがそう言うと、ただならない雰囲気を感じたミクちゃん、青龍さん、アスモデウスさんはルシファーから離れた。
「黒絶斬」
ルシファーお得意の黒絶斬が発動。相手に与えたダメージが自分にもくる筈なのに、ルシファーは涼しい顔をしながら、バッサリと真っ二つにした黒龍の上半身と下半身を眺めていた。
「あいつはあの程度で死なないぞルシファー」
俺はそう言ってすかさず天を穿つ者をホルスターから取り出した。
そして天を穿つ者を放つと、天を穿つ者から放たれたエネルギー弾は、黒龍の体を完全に吹き飛ばした。
「呆気ないな」
ルシファーは少し残念そうな表情を浮かべていた。しかし、黒龍がこの程度で死ぬわけがない。
「いや、見ろよ再生していくぜ」
俺がそう指すとルシファーはどこか安堵したような表情をしていた。絶対に楽しんでるだろこの人。
「なかなかの連携攻撃だったな。楽しくなってきた」
吹き飛ばした体も、付けた傷も一瞬にして元通りになった黒龍は、そう呟いて不敵な笑みを浮かべていた。
「ほう。俺様のステータスを視れるようになったのか。やっと対等な戦いができそうだ」
黒龍が持つユニークスキル破壊神は、如何なるモノを破壊する。また、自身の戦闘値を十倍まで引き上げる効果と、瀕死状態からの復活で自身の戦闘が大幅に上がるというユニークスキルだ。それに驚きなのが、黒龍も俺と同じ神理を持っている事だった。
「対等な戦い? いざとなれば戦闘値を十万越えにできる奴が何を言っているんだ」
俺が苦笑しながらそう呟くと、ミクちゃん、青龍さん、アスモデウスさんは「十万!?」と驚いていた。まあ当然の反応だよな。
「会う度に強くなったり、戦闘中に追い込めたかな? と思えば底が知れない力を見せてくるのはそう言う事だったか」
「そういう事だ。お陰で俺様も随分と強くなった。しかしまあ心配する事は無い。俺様が破壊神を使ってしまえばこの世界は一瞬で滅んでしまう」
正直なところ、黒龍に勝つ手段が全く見つからない。なんで2,000年前に青龍さんとジークフリートことルシファーがこの化物を封印できたのか不思議なくらいだ。
――そこで思い出した。デアは今と昔の黒龍は別物だと思えと。冷静に考えればそもそも黒龍はユニークスキルが覚醒していなかった可能性がある。覚醒前はそもそも戦闘値を十倍までに引き上げる効果も無かっただろうし、如何なるモノを破壊するという効果が無かった可能性が高い。俺の創造主のように、破壊対象は限定的だった筈だ。
そう考えているとルシファーが飛んできた。役者は揃ったのだ。
「龍騎士――!」
ルシファーが到着すると、黒龍の顔色は一気に変わった。
「龍騎士? 私は魔王ルシファーだ」
「俺様が見間違える筈がないだろう。貴様は俺様達龍族の唯一の天敵。最強の人間であり龍騎士ジークフリートだ」
「知らないな。それが私の名前なのか?」
「そうだ。何がどうなっている。説明しろナリユキ」
何で俺なんだよ。
「アンタの邪気で魔王になったんだ。知らなかったのか? そのせいで2,000年前以上の記憶はルシファーには無いんだ。人間だった頃の記憶がな」
「成程。それで邪気が放たれているのか」
黒龍は妙に納得したような表情を浮かべていたが、ルシファーは全く納得していなかった。
「アスモデウスとの契約で貴様を殺しに来た」
「来い。あの時の恨みを晴らしてくれる」
――あれ? もしかしてルシファーと黒龍の戦い?
互いに黒刀で抜刀の構えをしていた。
そして突風が吹き荒れたと同時に二人はこの場から姿を消した。不気味に響く刀の金属音。常人には音しか聞こえないだろう。しかし、厳密に言えば高速移動をしながら刀の打ち合いを行っているだけ。
「俺達も行くぞ」
俺がそう言うとミクちゃん、青龍さん、アスモデウスさんの三人は頷いた。ミクちゃんはレイピアを。青龍さんは青龍偃月刀を。アスモデウスさんは魔刀を出現させた。
俺達五人が襲い掛かっても、黒龍は俺達の猛攻を正確に弾いていた。しかし、ルシファーだけは違っていたようだ。戦闘値は明らかに黒龍に劣っているのに、ルシファーの剣速は黒龍を上回っていた。これが魔界一の剣使い――。流石だな。
俺達が加わった事により、黒龍はルシファーの攻撃を数度受ける事になっていた。黒龍の顔にはルシファーの刀傷が刻まれていく。
俺は一旦離れて創造主を発動。そしてデザートイーグルを出現させた。
四人と黒龍が動き回っているところを予測しないといけない。俺はまず神経を研ぎ澄ませた。いくら狙撃手が付いているからって、黒龍が四人の誰かを盾にしてしまえば、味方を誤射する事になるし、光の化身を持っているミクちゃんでも、俺の攻撃は直撃するとダメージを負うからな。
すうと深呼吸を行った。
「ここだ」
俺が引き金を引くと、俺が撃った弾は北西の方角へと飛んでいく。
するとちょうど姿を現した黒龍の右肩に直撃。一瞬の怯みが四人の攻撃を受けることになった。
「どけ」
四人の同時攻撃の後、ルシファーがそう言うと、ただならない雰囲気を感じたミクちゃん、青龍さん、アスモデウスさんはルシファーから離れた。
「黒絶斬」
ルシファーお得意の黒絶斬が発動。相手に与えたダメージが自分にもくる筈なのに、ルシファーは涼しい顔をしながら、バッサリと真っ二つにした黒龍の上半身と下半身を眺めていた。
「あいつはあの程度で死なないぞルシファー」
俺はそう言ってすかさず天を穿つ者をホルスターから取り出した。
そして天を穿つ者を放つと、天を穿つ者から放たれたエネルギー弾は、黒龍の体を完全に吹き飛ばした。
「呆気ないな」
ルシファーは少し残念そうな表情を浮かべていた。しかし、黒龍がこの程度で死ぬわけがない。
「いや、見ろよ再生していくぜ」
俺がそう指すとルシファーはどこか安堵したような表情をしていた。絶対に楽しんでるだろこの人。
「なかなかの連携攻撃だったな。楽しくなってきた」
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