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ルシファーの回答Ⅱ
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「黒龍じゃな」
すると再び玉座の間にいるルシファーの家臣達がざわつく。
「それほどまでとはな」
「どうも噓くさい」
フルカス、パイモンの順にそう感想を述べた。
「私よりも強い者がそうゴロゴロいるとは世界は広いな。それに地上のZ級にも少し興味が湧いた」
おっ! これはいけるんじゃないか!?
「其方の剣技を試す時が今一度来たんじゃないのか? それに、地上には最近現れた妾より強い人間がいての。その人が其方の得意技の黒絶斬を使うのじゃ。まあ、其方のように連発はできないがの」
「それはにわかに信じ難いが、貴様が意味の無い嘘を付くとも思えんしな。どんなユニークスキルを持っているんだ?」
「手から何でも出せるユニークスキル。創造主じゃ」
「創造主だと!?」
ルシファーは思った以上の反応をしていた。確かにスキルの内容を聞く限りでは驚くが、ルシファーでもこれほどのリアクションを取るとは――。
「成程。原初の三神のユニークスキルを持つ人間か――それならば貴様より強くても納得がいく」
ルシファーの言葉に妾も含めて、パイモンもフルカスも、ルシファーの家臣達も怪訝な表情を浮かべていた。
「ルシファー様。原初の三神というのは?」
そう質問をしたのは左隣に立っているフルカスじゃった。
「原初の三神とはこの世界を創った神だと云われている。その神というのが創造神ブラフマー。破壊神シヴァ。そして維持神ヴィシュヌだ。創造神ブラフマーのユニークスキルを持つその人間は、あらゆるモノを生み出せるユニークスキルを有しているという事だ。もし、既にユニークスキルが覚醒していて、Z級になっているのであれば確実に私では勝てない」
ベリアルもそうじゃけど、ルシファーも大概プライドの塊じゃ。そんなルシファーがユニークスキルの名前を聞いただけで勝てないと言わしめるナリユキ閣下の創造主――それほど凄いものじゃったとは――。
「ルシファー様でも勝てないのですか!?」
パイモンは信じられない! と言った口ぶりだった。
「ああ。まあいずれにせよその人間がどんな奴か見てみたい。ユニークスキルは原則、死んで誰かに継承されるもの――しかし、長い間継承されない場合もある。アスモデウスよ。貴様は魔王になってから何千年も経つと思うが、創造主を持つ人物を今まで聞いたことがなかっただろ?」
「そう言えばそうじゃな。妾が知らないところで生活をしていたというのは?」
「それは可能性が薄い。万物を想像できるユニークスキルを持つ者が、貴様の耳にすら入らないのはおかしいだろう。まあ、地下世界の魔物が所有していれば話は別だがな」
「成程。何千年も創造主を所有している人物がおらんかったと言う見方もできる訳じゃな」
「そういう事だ」
通りでおかしいと思ったのじゃ。今思い返せば、ナリユキ閣下のユニークスキルを聞いて、皆が揃って初めて聞くユニークスキルのような反応じゃったもんな。
「私の持論ではあるが、神のユニークスキルを所有する者には何らかの天命が与えられていると思っている。私もその中の一人なのでな」
「ん!? 其方も神のユニークスキルなのか!?」
「貴様に私のステータスは視ないだろ? 残念だったな」
ルシファーはそう言って嘲笑していた。くそ、腹が立つのじゃ。しかも神のユニークスキルがものすごく気になるのじゃ。
「決めたぞパイモン、フルカス」
「はい!」
二人がそう返事をすると、少し間を置いてからゆっくりと口を開いた。
「私は地上へ出る」
「えっ!? 本当ですか!?」
「真だ。私に案ずることはないが気になるならついて来るがいい」
「も――勿論行きます!」
パイモンはそう言って背筋をびしっと伸ばして敬礼をしていた。
「ならば、フルカス。私が離れている間この城を頼めるか?」
「勿論でございます。この命に代えても必ず守り抜きます」
フルカスはそう言ってお辞儀をしてルシファーに忠誠を誓った。まさか本当に協力してくれるとは――。
「何だ? 不思議そうな顔をしているな?」
「いや、まさか本当に力になってくれるとは思っていなくての」
「私より強いと言わしめる黒龍と、創造主を持つ人間に興味があるだけだ。あとはどうでもいい。地上が黒龍に滅ぼされても一向に構わん」
「黒龍討伐に参加してくれるのは間違い無いのじゃろ?」
「そうだな。しかし私の足を引っ張られては困る。せいぜい私に食らいついてくるんだな。私が邪魔だと判断した者は、真っ先にそいつから斬り捨てていく」
――どれだけおっかないのじゃ。まあ共通の目標があるという事実には変わりないし、ルシファーの邪気と黒絶斬連発を期待できるのでメリットは大きい。これで黒龍を討伐できる! そしてナリユキ閣下に褒めてもらえる!
なんて幸せなんじゃ!
「それで? 出立はいつにする?」
「準備ができ次第、イフリート山の魔界への入口に入ってこっちの世界に来てほしい。其方が地上に出た瞬間、妾が迎えに行こう」
「いいだろう」
「地上の人間か。初めて見るから少し楽しみだな」
パイモンはそう呟きながら高揚している様子じゃった。
「恩に着る。それでは妾はこれで失礼する」
「ああ。せいぜい私の邪魔にならない立ち回りを考えておくのだな」
「五月蠅いわい」
妾はルシファーにあっかべーをして転移イヤリングでシトリーの顔を思い浮かべて城へと戻った。
すると再び玉座の間にいるルシファーの家臣達がざわつく。
「それほどまでとはな」
「どうも噓くさい」
フルカス、パイモンの順にそう感想を述べた。
「私よりも強い者がそうゴロゴロいるとは世界は広いな。それに地上のZ級にも少し興味が湧いた」
おっ! これはいけるんじゃないか!?
「其方の剣技を試す時が今一度来たんじゃないのか? それに、地上には最近現れた妾より強い人間がいての。その人が其方の得意技の黒絶斬を使うのじゃ。まあ、其方のように連発はできないがの」
「それはにわかに信じ難いが、貴様が意味の無い嘘を付くとも思えんしな。どんなユニークスキルを持っているんだ?」
「手から何でも出せるユニークスキル。創造主じゃ」
「創造主だと!?」
ルシファーは思った以上の反応をしていた。確かにスキルの内容を聞く限りでは驚くが、ルシファーでもこれほどのリアクションを取るとは――。
「成程。原初の三神のユニークスキルを持つ人間か――それならば貴様より強くても納得がいく」
ルシファーの言葉に妾も含めて、パイモンもフルカスも、ルシファーの家臣達も怪訝な表情を浮かべていた。
「ルシファー様。原初の三神というのは?」
そう質問をしたのは左隣に立っているフルカスじゃった。
「原初の三神とはこの世界を創った神だと云われている。その神というのが創造神ブラフマー。破壊神シヴァ。そして維持神ヴィシュヌだ。創造神ブラフマーのユニークスキルを持つその人間は、あらゆるモノを生み出せるユニークスキルを有しているという事だ。もし、既にユニークスキルが覚醒していて、Z級になっているのであれば確実に私では勝てない」
ベリアルもそうじゃけど、ルシファーも大概プライドの塊じゃ。そんなルシファーがユニークスキルの名前を聞いただけで勝てないと言わしめるナリユキ閣下の創造主――それほど凄いものじゃったとは――。
「ルシファー様でも勝てないのですか!?」
パイモンは信じられない! と言った口ぶりだった。
「ああ。まあいずれにせよその人間がどんな奴か見てみたい。ユニークスキルは原則、死んで誰かに継承されるもの――しかし、長い間継承されない場合もある。アスモデウスよ。貴様は魔王になってから何千年も経つと思うが、創造主を持つ人物を今まで聞いたことがなかっただろ?」
「そう言えばそうじゃな。妾が知らないところで生活をしていたというのは?」
「それは可能性が薄い。万物を想像できるユニークスキルを持つ者が、貴様の耳にすら入らないのはおかしいだろう。まあ、地下世界の魔物が所有していれば話は別だがな」
「成程。何千年も創造主を所有している人物がおらんかったと言う見方もできる訳じゃな」
「そういう事だ」
通りでおかしいと思ったのじゃ。今思い返せば、ナリユキ閣下のユニークスキルを聞いて、皆が揃って初めて聞くユニークスキルのような反応じゃったもんな。
「私の持論ではあるが、神のユニークスキルを所有する者には何らかの天命が与えられていると思っている。私もその中の一人なのでな」
「ん!? 其方も神のユニークスキルなのか!?」
「貴様に私のステータスは視ないだろ? 残念だったな」
ルシファーはそう言って嘲笑していた。くそ、腹が立つのじゃ。しかも神のユニークスキルがものすごく気になるのじゃ。
「決めたぞパイモン、フルカス」
「はい!」
二人がそう返事をすると、少し間を置いてからゆっくりと口を開いた。
「私は地上へ出る」
「えっ!? 本当ですか!?」
「真だ。私に案ずることはないが気になるならついて来るがいい」
「も――勿論行きます!」
パイモンはそう言って背筋をびしっと伸ばして敬礼をしていた。
「ならば、フルカス。私が離れている間この城を頼めるか?」
「勿論でございます。この命に代えても必ず守り抜きます」
フルカスはそう言ってお辞儀をしてルシファーに忠誠を誓った。まさか本当に協力してくれるとは――。
「何だ? 不思議そうな顔をしているな?」
「いや、まさか本当に力になってくれるとは思っていなくての」
「私より強いと言わしめる黒龍と、創造主を持つ人間に興味があるだけだ。あとはどうでもいい。地上が黒龍に滅ぼされても一向に構わん」
「黒龍討伐に参加してくれるのは間違い無いのじゃろ?」
「そうだな。しかし私の足を引っ張られては困る。せいぜい私に食らいついてくるんだな。私が邪魔だと判断した者は、真っ先にそいつから斬り捨てていく」
――どれだけおっかないのじゃ。まあ共通の目標があるという事実には変わりないし、ルシファーの邪気と黒絶斬連発を期待できるのでメリットは大きい。これで黒龍を討伐できる! そしてナリユキ閣下に褒めてもらえる!
なんて幸せなんじゃ!
「それで? 出立はいつにする?」
「準備ができ次第、イフリート山の魔界への入口に入ってこっちの世界に来てほしい。其方が地上に出た瞬間、妾が迎えに行こう」
「いいだろう」
「地上の人間か。初めて見るから少し楽しみだな」
パイモンはそう呟きながら高揚している様子じゃった。
「恩に着る。それでは妾はこれで失礼する」
「ああ。せいぜい私の邪魔にならない立ち回りを考えておくのだな」
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