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3人目のZ級Ⅰ
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「ミクちゃん、デアの傷を治してやってくれ」
「別にいいわよ」
「いや、全然回復してないじゃん」
俺がそう言うと「分かったわ」と一言。デアはミクちゃんの治癒を受け入れた。
「本当に凄いわね。ラファエルを倒したことだけあって1秒も経たないうちに全回復とは。お陰でMPも元通りだし」
デアはそう言って立ち上がった。そしてミクちゃんに「ありがとう」と一言。
「ミクちゃん。俺も」
「勿論」
俺はラファエルを倒して新しい力を入手したミクちゃんの治癒を初めて受けたが、本当に一瞬にして全てが元通りだ。MPも傷も体力も――とは言っても俺は傷は別に問題ないから、減っている体力とMPが元通りになった。ミクちゃんが治癒できる状態なら負けないんじゃね?
「とりあえずこのダンジョンの結界は張っておかないといけないから、少し待って」
デアはそう言ってモニターを確認しながらキーボードでタイピングを始めた。
「まさか1,000層の魔物が、魔物ではなく500年以上前の転生者だったとは――」
「確かにそうですね。ナリユキ様とミク様が転生者のなかでトップだと思っておりましたが――」
「私が転生者だという事は博士から教わった事よ。そして博士もまた転生者」
「コヴィー・S・ウィズダムが転生者なら、この世界の文明はもっと発展していても良かったんじゃないか? マカロフ卿が転生してくるまでそこまで発達していなかったんだろ?」
「そうね。ただ博士はこの世界の一部の文明だけを発展させる事にしか興味なかったのよ。あとは地下世界ね。今の私では博士の居所も分からないから」
「ちょっと待て。俺が記憶を覗いたときは、どういう原理か分からないけど、世界がどうなっているか視る事ができるんだろ? スキルにはそれっぽいの一つもないけど」
「そうなの。博士はそれほど強大な力を身に付けた――或いはどこかに身を潜めているか――。いずれにせよ私の特性では足取りを追う事はできなくなったわね」
ん? 龍族、魔族、竜族、森妖精に特性があるのは分かるけど、人間にも特性ってあるんだけっけ? 無かったような気がするんだけど――。
「特性って人間にも付くのか?」
「ええ。ユニークスキルを覚醒させた後、さらにユニークスキルとの親和性を高めたら使えるようになるわよ。貴方の能力は貴重だから私よりずっと強力な筈。よしこれで大丈夫」
デアはそう言ってキーボードを打つのを止めた。壊れた水槽には魔法陣のようなものが出現して、そこから超高密度のエネルギーの柱が現れた。
「凄いエネルギーですね――」
「確かにこの力があればデアが結界を張り続けなくても済む――」
「私には貴方達が倒した金龍と同じ力も使えるのよ。彼は永遠を司る龍。このように森妖精の特性の一つの結界を、永遠に消えないようにする事もできるのよ。最も、私がここに居続けたほうが強力な結界になる事に越したことはないんだけどね」
「成程な――で、話を戻すとユニークスキルとの親和性ってどうやったら分かるんだ?」
「そうね。ナリユキは創造神とは会った?」
「ああ。一応な」
「自由にあの世界に入ることができる?」
「それまだ」
「だったらまだ難しいわね。あの世界に自由に出入りできて、ユニークスキルが覚醒してからいつの間にか特性を得ているって感じなの。最も皆が皆、ユニークスキルを覚醒させたからと言って特性を得られるわけではない。神のユニークスキルを持つ者だけの特権よ。ただ、知性・記憶の略奪と献上は権力がそれほど高い神ではなかったから、覚醒しても特性を付与されることは無いわ」
「――色々ややこしいな」
「確かにそうね。でもナリユキの創造主は強力よ。貴方達ミロクの事も気にかけているんでしょ?」
「――本当に何でも分かるんだな」
「分かるって言ってるじゃない。これは戦争と死の神の特権だもの」
デアが味方になれば、いつ誰が攻め込んでくるか分かるって事なのか? それって凄すぎない?
「ミロクは維持神というユニークを有しているわ。そのスキルに勝てる可能性があるのが、創造主なのよ。ただ、創造主のままでは勝てないので、早めに創造神にしたほうがいいわね。そうすると私も創造神を使えるから、二人のナリユキで戦う事ができるわ」
「――それは凄いな」
創造神を使える人が二人もいると誰にも負けない気がする。創造神は魔物も生み出すことができるチートスキル。つうか四龍を生み出すことができるくらいだから、人を生み出すことも可能だろうしな。何なら星とかも出せるんじゃね?
「早く創造神に覚醒させたい」
「ナリユキ君めちゃニヤニヤしてる。どうしたの?」
俺めちゃくちゃニヤニヤしているらしい。だって気になるじゃん。創造神。
「いや、俺のユニークスキル超強いじゃんと思ってワクワクしてきた」
「いや、始めから強かっただろ」
「そうですね。今より凄いってあまり想像できません」
ランベリオンとアリシアはそう首を傾げていた。
「何でも出せるんだぜ? それよりデア、もういいんだろ?」
「ええ。大丈夫よ」
「じゃあダンジョンから出よう!」
俺の言葉に全員が頷いた。こうして俺達は無事にダンジョンを攻略して、ミクちゃん、ランベリオン、アリシアは強くなり、黒龍との戦いをより有利に進めることができるようになったのだ。
「別にいいわよ」
「いや、全然回復してないじゃん」
俺がそう言うと「分かったわ」と一言。デアはミクちゃんの治癒を受け入れた。
「本当に凄いわね。ラファエルを倒したことだけあって1秒も経たないうちに全回復とは。お陰でMPも元通りだし」
デアはそう言って立ち上がった。そしてミクちゃんに「ありがとう」と一言。
「ミクちゃん。俺も」
「勿論」
俺はラファエルを倒して新しい力を入手したミクちゃんの治癒を初めて受けたが、本当に一瞬にして全てが元通りだ。MPも傷も体力も――とは言っても俺は傷は別に問題ないから、減っている体力とMPが元通りになった。ミクちゃんが治癒できる状態なら負けないんじゃね?
「とりあえずこのダンジョンの結界は張っておかないといけないから、少し待って」
デアはそう言ってモニターを確認しながらキーボードでタイピングを始めた。
「まさか1,000層の魔物が、魔物ではなく500年以上前の転生者だったとは――」
「確かにそうですね。ナリユキ様とミク様が転生者のなかでトップだと思っておりましたが――」
「私が転生者だという事は博士から教わった事よ。そして博士もまた転生者」
「コヴィー・S・ウィズダムが転生者なら、この世界の文明はもっと発展していても良かったんじゃないか? マカロフ卿が転生してくるまでそこまで発達していなかったんだろ?」
「そうね。ただ博士はこの世界の一部の文明だけを発展させる事にしか興味なかったのよ。あとは地下世界ね。今の私では博士の居所も分からないから」
「ちょっと待て。俺が記憶を覗いたときは、どういう原理か分からないけど、世界がどうなっているか視る事ができるんだろ? スキルにはそれっぽいの一つもないけど」
「そうなの。博士はそれほど強大な力を身に付けた――或いはどこかに身を潜めているか――。いずれにせよ私の特性では足取りを追う事はできなくなったわね」
ん? 龍族、魔族、竜族、森妖精に特性があるのは分かるけど、人間にも特性ってあるんだけっけ? 無かったような気がするんだけど――。
「特性って人間にも付くのか?」
「ええ。ユニークスキルを覚醒させた後、さらにユニークスキルとの親和性を高めたら使えるようになるわよ。貴方の能力は貴重だから私よりずっと強力な筈。よしこれで大丈夫」
デアはそう言ってキーボードを打つのを止めた。壊れた水槽には魔法陣のようなものが出現して、そこから超高密度のエネルギーの柱が現れた。
「凄いエネルギーですね――」
「確かにこの力があればデアが結界を張り続けなくても済む――」
「私には貴方達が倒した金龍と同じ力も使えるのよ。彼は永遠を司る龍。このように森妖精の特性の一つの結界を、永遠に消えないようにする事もできるのよ。最も、私がここに居続けたほうが強力な結界になる事に越したことはないんだけどね」
「成程な――で、話を戻すとユニークスキルとの親和性ってどうやったら分かるんだ?」
「そうね。ナリユキは創造神とは会った?」
「ああ。一応な」
「自由にあの世界に入ることができる?」
「それまだ」
「だったらまだ難しいわね。あの世界に自由に出入りできて、ユニークスキルが覚醒してからいつの間にか特性を得ているって感じなの。最も皆が皆、ユニークスキルを覚醒させたからと言って特性を得られるわけではない。神のユニークスキルを持つ者だけの特権よ。ただ、知性・記憶の略奪と献上は権力がそれほど高い神ではなかったから、覚醒しても特性を付与されることは無いわ」
「――色々ややこしいな」
「確かにそうね。でもナリユキの創造主は強力よ。貴方達ミロクの事も気にかけているんでしょ?」
「――本当に何でも分かるんだな」
「分かるって言ってるじゃない。これは戦争と死の神の特権だもの」
デアが味方になれば、いつ誰が攻め込んでくるか分かるって事なのか? それって凄すぎない?
「ミロクは維持神というユニークを有しているわ。そのスキルに勝てる可能性があるのが、創造主なのよ。ただ、創造主のままでは勝てないので、早めに創造神にしたほうがいいわね。そうすると私も創造神を使えるから、二人のナリユキで戦う事ができるわ」
「――それは凄いな」
創造神を使える人が二人もいると誰にも負けない気がする。創造神は魔物も生み出すことができるチートスキル。つうか四龍を生み出すことができるくらいだから、人を生み出すことも可能だろうしな。何なら星とかも出せるんじゃね?
「早く創造神に覚醒させたい」
「ナリユキ君めちゃニヤニヤしてる。どうしたの?」
俺めちゃくちゃニヤニヤしているらしい。だって気になるじゃん。創造神。
「いや、俺のユニークスキル超強いじゃんと思ってワクワクしてきた」
「いや、始めから強かっただろ」
「そうですね。今より凄いってあまり想像できません」
ランベリオンとアリシアはそう首を傾げていた。
「何でも出せるんだぜ? それよりデア、もういいんだろ?」
「ええ。大丈夫よ」
「じゃあダンジョンから出よう!」
俺の言葉に全員が頷いた。こうして俺達は無事にダンジョンを攻略して、ミクちゃん、ランベリオン、アリシアは強くなり、黒龍との戦いをより有利に進めることができるようになったのだ。
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