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カルベリアツリーのダンジョン最後の挑戦Ⅳ
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俺達が入って来た空間は球場の半分くらいの大きさだった。その中央には先程言っていた巨大な球状の水槽があった。水槽の大きさは3m程。水槽の中には裸の金髪の少女デアと、その少女の体には六本のパイプのようなものが繋がれていた。そしてそのパイプは天井を這って部屋の隅にある謎の装置と繋がれていた。
「何も起きないね」
「とりあえず近付くか。油断はするなよ?」
「うん」
ミクちゃんに続いて、ランベリオンとアリシアも返事をしてくれた。
水槽に近付くと見えてきたのはデスクの上に置かれた二つのモニターとキーボードだった。
「何だこのアーティファクトは?」
「見たことが無いですね」
ランベリオンとアリシアはそう呟いているが、俺とミクちゃんは驚きを隠せなかった。そりゃそうだ。こんな所に現代のモニターとキーボードがあるのだから。
「数百年前に造られたんだよな? 何でモニターとキーボードがあるんだよ」
「まさか、コヴィー・S・ウィズダムは未来人って事?」
「そんないきなりSFのような展開があってたまるかよ」
「そうだよね」
俺はそう冷静に話をしているつもりだったが、俺達が住んでいる文明がカルベリアツリーのダンジョンに設置されている事に焦っていた。
少し触って分かったのが、このモニターとキーボードの正体はデアの様子を監視をする為のものらしい。デアの脈拍や、心理状態、現在の体内の水分量など、全てが英語で表記されていた。
それだけで違和感しかないが、さらに別のナニカに俺は引っかかっていた。
「ねえナリユキ君。これ触っていて何か違和感を覚えない?」
ミクちゃんはそう言ってキーボードのタッチパネルに触れていた。
「そうだよな。俺も思ったんだけど――」
「だよね。なんでこのキーボードに埃が被っていないのかなって――」
「――そうか。俺が感じていた違和感はそれだ!」
「そうだとしたら、ここの空間に外部の誰かが出入りしている事になりますよね?」
アリシアの意見に俺は頷いた。
「そうだな。或いは、つい最近たまたま出入りしただけか」
「この空間に身を潜めている可能性もあるよね」
「なかなか不気味だな。少し鳥肌――いや、ドラゴン肌が立った」
「俺はランベリオンのつまらんギャグに寒気を感じたよ」
俺がそう言うと、ランベリオンは小声で「渾身のワイバーンジョークだったのに――」と不貞腐れていた。知るかそんなもん!
「ナリユキ君どうするの?」
「まあ、デアが眠っている状態だと何も始まらんだろ」
「確かにそうだね。でも開放する方法分かるの?」
「今、それっぽいのを探してる――」
全部英語って本当に見辛いな。俺、あんまり英語得意じゃないんだけど。
でもまあ、こういうのは何となくパターン化されているものだ。ここの画面はdeaというメニュー画面のようだ。しかし、どこを押してもそれっぽいものは見当たらなかったので一旦、deaのメニュー画面を閉じた。そして出て来たのはpumpという画面。ここにはこの水槽に関するコマンドが見受けられた。
「あった」
俺が見つけたのはopenというコマンドだった。他を探してもそれっぽいコマンドが無い為クリックしてみる。warningという警告画面が出てきたがOKのボタンを押した。
すると、水槽の水位がみるみる減っていく。俺は急いでデアの画面に切り替えて、デアの様態に異変が無いかを確認したが案の定全て正常だった。
水が全て無くなるとその場で倒れこむデア。俺は真っ先に駆け寄った。
「おっぱい大きいね。やっぱり」
いや、ミクちゃん。今はそれはどうでもいいんだ。確かにEかFくらいはありそうだけど!
「確かに大きいですね」
「いや、乗るなよ」
アリシアがミクちゃんの呟きに乗っていたので、ランベリオンが見事なツッコミをかましてくれた。偉いぞランベリオン。
「それにしても綺麗な瞳だね」
「確かにそうだな。ランベリオン上着を貸してくれ」
「ああ」
ランベリオンの上着を借りて、デアの雪のように白いを素肌を覆った。
左目の深紅の瞳と右目の白群色のオッドアイ。左が魔眼で、右が天眼と言った感じだろう。ミクちゃんと同様に雪のように白い肌に、腰くらいまである絹ような金髪。身長は150cm程の小柄な女の子だ。
「大丈夫か? 起きれるか?」
俺がそう声をかけていると――。
「ん――」
微かだがそう声が聞こえた。
「起きれるか?」
俺が再度そう声をかけると。
「アナタ達誰――?」
デアは目を擦りながら俺の目をじっと見てきた。
「声可愛い――。これはロリホイホイ――」
「いや、ミクちゃんの声も可愛いからってそうじゃない」
俺がそうミクちゃんに言い放つと、ミクちゃんは満面の笑みを浮かべていた。めちゃくちゃ嬉しそう。
「ぬ? うぬはカルベリアツリーのダンジョンの管理者ではないのか?」
「管理者――? 何それ?」
もはや寝起きの子供のようだ。もしかして自分の名前も分からないとか?
「俺はナリユキ・タテワキ。こっちの女の子がミク・アサギ。この竜がランベリオン・カーネル。そしてそこの森妖精がアリシア。皆、君を救いに来たんだ。君はデアで良かったよね?」
俺がそう問いかけるとデアは頷いた後、俺に疑いの目を向けていた。
「本当みたい。ここの外から来たんだね」
「ん? 何で分かったの? 魔眼の力?」
「違うよ。私は触れている相手の過去を読み取ることができるの」
「ん? でもそれステータスで確認できないけど――」
「それは私の特性だからかも――?」
デアはあまりその辺分かっていないようだ。まあ、特性だからだろうな。
「何も起きないね」
「とりあえず近付くか。油断はするなよ?」
「うん」
ミクちゃんに続いて、ランベリオンとアリシアも返事をしてくれた。
水槽に近付くと見えてきたのはデスクの上に置かれた二つのモニターとキーボードだった。
「何だこのアーティファクトは?」
「見たことが無いですね」
ランベリオンとアリシアはそう呟いているが、俺とミクちゃんは驚きを隠せなかった。そりゃそうだ。こんな所に現代のモニターとキーボードがあるのだから。
「数百年前に造られたんだよな? 何でモニターとキーボードがあるんだよ」
「まさか、コヴィー・S・ウィズダムは未来人って事?」
「そんないきなりSFのような展開があってたまるかよ」
「そうだよね」
俺はそう冷静に話をしているつもりだったが、俺達が住んでいる文明がカルベリアツリーのダンジョンに設置されている事に焦っていた。
少し触って分かったのが、このモニターとキーボードの正体はデアの様子を監視をする為のものらしい。デアの脈拍や、心理状態、現在の体内の水分量など、全てが英語で表記されていた。
それだけで違和感しかないが、さらに別のナニカに俺は引っかかっていた。
「ねえナリユキ君。これ触っていて何か違和感を覚えない?」
ミクちゃんはそう言ってキーボードのタッチパネルに触れていた。
「そうだよな。俺も思ったんだけど――」
「だよね。なんでこのキーボードに埃が被っていないのかなって――」
「――そうか。俺が感じていた違和感はそれだ!」
「そうだとしたら、ここの空間に外部の誰かが出入りしている事になりますよね?」
アリシアの意見に俺は頷いた。
「そうだな。或いは、つい最近たまたま出入りしただけか」
「この空間に身を潜めている可能性もあるよね」
「なかなか不気味だな。少し鳥肌――いや、ドラゴン肌が立った」
「俺はランベリオンのつまらんギャグに寒気を感じたよ」
俺がそう言うと、ランベリオンは小声で「渾身のワイバーンジョークだったのに――」と不貞腐れていた。知るかそんなもん!
「ナリユキ君どうするの?」
「まあ、デアが眠っている状態だと何も始まらんだろ」
「確かにそうだね。でも開放する方法分かるの?」
「今、それっぽいのを探してる――」
全部英語って本当に見辛いな。俺、あんまり英語得意じゃないんだけど。
でもまあ、こういうのは何となくパターン化されているものだ。ここの画面はdeaというメニュー画面のようだ。しかし、どこを押してもそれっぽいものは見当たらなかったので一旦、deaのメニュー画面を閉じた。そして出て来たのはpumpという画面。ここにはこの水槽に関するコマンドが見受けられた。
「あった」
俺が見つけたのはopenというコマンドだった。他を探してもそれっぽいコマンドが無い為クリックしてみる。warningという警告画面が出てきたがOKのボタンを押した。
すると、水槽の水位がみるみる減っていく。俺は急いでデアの画面に切り替えて、デアの様態に異変が無いかを確認したが案の定全て正常だった。
水が全て無くなるとその場で倒れこむデア。俺は真っ先に駆け寄った。
「おっぱい大きいね。やっぱり」
いや、ミクちゃん。今はそれはどうでもいいんだ。確かにEかFくらいはありそうだけど!
「確かに大きいですね」
「いや、乗るなよ」
アリシアがミクちゃんの呟きに乗っていたので、ランベリオンが見事なツッコミをかましてくれた。偉いぞランベリオン。
「それにしても綺麗な瞳だね」
「確かにそうだな。ランベリオン上着を貸してくれ」
「ああ」
ランベリオンの上着を借りて、デアの雪のように白いを素肌を覆った。
左目の深紅の瞳と右目の白群色のオッドアイ。左が魔眼で、右が天眼と言った感じだろう。ミクちゃんと同様に雪のように白い肌に、腰くらいまである絹ような金髪。身長は150cm程の小柄な女の子だ。
「大丈夫か? 起きれるか?」
俺がそう声をかけていると――。
「ん――」
微かだがそう声が聞こえた。
「起きれるか?」
俺が再度そう声をかけると。
「アナタ達誰――?」
デアは目を擦りながら俺の目をじっと見てきた。
「声可愛い――。これはロリホイホイ――」
「いや、ミクちゃんの声も可愛いからってそうじゃない」
俺がそうミクちゃんに言い放つと、ミクちゃんは満面の笑みを浮かべていた。めちゃくちゃ嬉しそう。
「ぬ? うぬはカルベリアツリーのダンジョンの管理者ではないのか?」
「管理者――? 何それ?」
もはや寝起きの子供のようだ。もしかして自分の名前も分からないとか?
「俺はナリユキ・タテワキ。こっちの女の子がミク・アサギ。この竜がランベリオン・カーネル。そしてそこの森妖精がアリシア。皆、君を救いに来たんだ。君はデアで良かったよね?」
俺がそう問いかけるとデアは頷いた後、俺に疑いの目を向けていた。
「本当みたい。ここの外から来たんだね」
「ん? 何で分かったの? 魔眼の力?」
「違うよ。私は触れている相手の過去を読み取ることができるの」
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