485 / 597
復活後の安息Ⅳ
しおりを挟む
朝起きるとミクちゃんが、寝息を立てながら心地よさそうに眠っていた。
「こうした普通の生活いつぶりだろう」
とは言っても油断はできない。黒龍の行動は監視しておかなければならない。そう思い、頼むから千里眼で視えないようになっていてくれと思い、黒龍の動向を探ってみた。
「映らないな」
ふうと大きく息を吐いた。千里眼で黒龍が映らないという事はまだどこかで体を休めている証拠だからだ。そりゃ安堵する。
「可愛いな――本当の天使みたい」
ミクちゃんの寝顔があまりにも尊いのでそう呟いてしまった。
俺は起き上がって部屋着に着替えると、昨日二人で飲んだミルクココアのマグカップを洗って朝食を作ることにした。いつもなら従者達に任せたり、カフェでコーヒーを飲みながら朝食を摂るけど、今日は無性にミクちゃんに料理を作ってあげたいと思った。
ここ最近は不在の場合が多いけど、俺が帰ってきた時には冷蔵庫に食べ物を何点か常備させている。マーズベル湖のお魚。卵。鶏肉、豚肉、牛肉。あとは野菜類だ。お肉とお魚に関しては冷凍でいいと伝えている。お魚の解凍は、袋に入れた状態で氷水に二時間程付けていれば、鮮度がいいものであれば刺身にもできる。この解凍方法が魚の生臭さを含んだ水分。ドリップが少ない解凍方法だ。
まあ、消費期限は冷凍をしていても三週間が限界だけど、魚によってはもっと短いものもある。
今日の朝食は和食と洋食のコラボにしようと思っている。とろろの麦ご飯。お味噌汁。白身魚のバター焼き。オクラとイカの香草和えだ。
現在の時間は朝の七時。ミクちゃんはしばらく起きないだろうし、魚をじっくり解凍している間にご飯を炊いて、長芋の下処理と和え物を作った。
しっかり溶いた卵をすり鉢に入れて、その中にすろおろした長芋を入れる。卵と長芋をすりあわせると、みりん、しょう油、お出汁、塩を投入する。これで完成だ。
和え物は下処理をしたそうめん状のイカとオクラをボウルに入れて、オリーブオイル、レモン汁、塩、ブラックペッパー、砂糖を少し入れて、刻んだ香草を加えてマリネしたら完成だ。完成した二つの料理は時間までに冷蔵庫で保存。
また、お味噌汁は豆腐、玉ねぎ、ワカメをお鍋に入れて沸騰させたら完成の状態にしておく。あとは魚の解凍とご飯が炊き上がるのを待つだけ。
二時間後、魚がしっかりと解凍できているのを触って確認したら、オリーブオイルを少々入れてフライパンに魚を投入。ある程度焼けてきたら大量のバターを投入して、フライパンを斜めにした状態にする。その状態で溶けたバターをスプーンを使って白身魚にかけ続けることによって、白身魚にバターの旨味を浸透させるのだ。これは動画を見て覚えたんだけど、目安は五分くらいらしい。けど、正直なところ感覚です。とイタリアン料理のシェフが言っていたから、イタリアンって本当にムラがあるよな~と思う。
換気扇をガンガンに回していても使っているバターの量が多い事もあり、部屋にバターの香りが充満していた。
「ん――」
ミクちゃんの声が聞こえた。後ろを振り向くとミクちゃんが目を軽く擦っていた。
「え!? 凄くいい匂い!」
と言ってミクちゃんはカッと目を見開いた。
「おはよう」
「おはよ~。もしかして朝食作ってくれているの?」
「まあな。たまにはいいかなと思って」
「流石旦那さんだね。ありがとう」
ミクちゃん。全裸でそんな事言わないで。なんか朝から色々と刺激が強すぎるのですが。
「黒龍は大丈夫そうなの?」
「今のところ千里眼では映らないから大丈夫だと思う」
「そうか。黒龍は一体どこに隠れているんだろうね?」
「そうだな。転移イヤリングも発動しないから、あいつが出てくるまで大人しくしておくしかないよな」
「そうだね~」
ミクちゃんはそう言って上下の部屋着に着替えると、俺の隣まで来て作っている料理をのぞき込んできた。
「何これ凄い! 白身魚のバター焼き!?」
「そうだよ。よしこれくらいでいいかな」
白身魚がいい感じの焦げ色になり、バターで身が全体的にツヤツヤになっていたので火を止めた。そして、お皿に大葉も盛り付けていく。
「ミクちゃんは座っていていいよ」
「私も手伝うよ。他に何かあるの?」
「冷蔵庫の中にとろろとオクラとイカの香草和えがあるよ」
「何それ凄い!」
ミクちゃんはそう言って目を輝かせていた。
「旦那さんの手料理最高だね」
吃驚するくらいのルンルン気分で俺が冷蔵庫に入れていた料理を並べていた。
「ご飯もよそってもらっていい?」
「勿論」
ミクちゃんがお茶碗にご飯をよそっている間、俺はお味噌汁を用意する。そして全てがテーブルの上に揃ったので、俺とミクちゃんは席に着いた。
「では頂きます」
「頂きます」
ミクちゃんの後に俺がそう続いた。ミクちゃんが始めに手を付けた料理は白身魚のバター焼きだった。
「なりゆき君プロみたい。凄く美味しい」
「本当はここにアンチョビを使ったトマトソースとかをかけてあげるとより美味しくなるんだけどな」
「それ凄く美味しそうだね」
「平和が戻ったらミクちゃんと二人で色々料理もしてみるか」
「それ最高だね」
とミクちゃんは満面の笑みを浮かべていた。
喋りながらミクちゃんの様子を見ていると、ミクちゃんは小声で「美味しい」と呟きながらとびきりの笑顔で俺の料理を食べてくれている。
「眩しいな」
「ん? どういう事?」
「何でも無いよ」
俺がそう言うとミクちゃんは怪訝な表情を浮かべていた。そこもまた可愛い。
「こうした普通の生活いつぶりだろう」
とは言っても油断はできない。黒龍の行動は監視しておかなければならない。そう思い、頼むから千里眼で視えないようになっていてくれと思い、黒龍の動向を探ってみた。
「映らないな」
ふうと大きく息を吐いた。千里眼で黒龍が映らないという事はまだどこかで体を休めている証拠だからだ。そりゃ安堵する。
「可愛いな――本当の天使みたい」
ミクちゃんの寝顔があまりにも尊いのでそう呟いてしまった。
俺は起き上がって部屋着に着替えると、昨日二人で飲んだミルクココアのマグカップを洗って朝食を作ることにした。いつもなら従者達に任せたり、カフェでコーヒーを飲みながら朝食を摂るけど、今日は無性にミクちゃんに料理を作ってあげたいと思った。
ここ最近は不在の場合が多いけど、俺が帰ってきた時には冷蔵庫に食べ物を何点か常備させている。マーズベル湖のお魚。卵。鶏肉、豚肉、牛肉。あとは野菜類だ。お肉とお魚に関しては冷凍でいいと伝えている。お魚の解凍は、袋に入れた状態で氷水に二時間程付けていれば、鮮度がいいものであれば刺身にもできる。この解凍方法が魚の生臭さを含んだ水分。ドリップが少ない解凍方法だ。
まあ、消費期限は冷凍をしていても三週間が限界だけど、魚によってはもっと短いものもある。
今日の朝食は和食と洋食のコラボにしようと思っている。とろろの麦ご飯。お味噌汁。白身魚のバター焼き。オクラとイカの香草和えだ。
現在の時間は朝の七時。ミクちゃんはしばらく起きないだろうし、魚をじっくり解凍している間にご飯を炊いて、長芋の下処理と和え物を作った。
しっかり溶いた卵をすり鉢に入れて、その中にすろおろした長芋を入れる。卵と長芋をすりあわせると、みりん、しょう油、お出汁、塩を投入する。これで完成だ。
和え物は下処理をしたそうめん状のイカとオクラをボウルに入れて、オリーブオイル、レモン汁、塩、ブラックペッパー、砂糖を少し入れて、刻んだ香草を加えてマリネしたら完成だ。完成した二つの料理は時間までに冷蔵庫で保存。
また、お味噌汁は豆腐、玉ねぎ、ワカメをお鍋に入れて沸騰させたら完成の状態にしておく。あとは魚の解凍とご飯が炊き上がるのを待つだけ。
二時間後、魚がしっかりと解凍できているのを触って確認したら、オリーブオイルを少々入れてフライパンに魚を投入。ある程度焼けてきたら大量のバターを投入して、フライパンを斜めにした状態にする。その状態で溶けたバターをスプーンを使って白身魚にかけ続けることによって、白身魚にバターの旨味を浸透させるのだ。これは動画を見て覚えたんだけど、目安は五分くらいらしい。けど、正直なところ感覚です。とイタリアン料理のシェフが言っていたから、イタリアンって本当にムラがあるよな~と思う。
換気扇をガンガンに回していても使っているバターの量が多い事もあり、部屋にバターの香りが充満していた。
「ん――」
ミクちゃんの声が聞こえた。後ろを振り向くとミクちゃんが目を軽く擦っていた。
「え!? 凄くいい匂い!」
と言ってミクちゃんはカッと目を見開いた。
「おはよう」
「おはよ~。もしかして朝食作ってくれているの?」
「まあな。たまにはいいかなと思って」
「流石旦那さんだね。ありがとう」
ミクちゃん。全裸でそんな事言わないで。なんか朝から色々と刺激が強すぎるのですが。
「黒龍は大丈夫そうなの?」
「今のところ千里眼では映らないから大丈夫だと思う」
「そうか。黒龍は一体どこに隠れているんだろうね?」
「そうだな。転移イヤリングも発動しないから、あいつが出てくるまで大人しくしておくしかないよな」
「そうだね~」
ミクちゃんはそう言って上下の部屋着に着替えると、俺の隣まで来て作っている料理をのぞき込んできた。
「何これ凄い! 白身魚のバター焼き!?」
「そうだよ。よしこれくらいでいいかな」
白身魚がいい感じの焦げ色になり、バターで身が全体的にツヤツヤになっていたので火を止めた。そして、お皿に大葉も盛り付けていく。
「ミクちゃんは座っていていいよ」
「私も手伝うよ。他に何かあるの?」
「冷蔵庫の中にとろろとオクラとイカの香草和えがあるよ」
「何それ凄い!」
ミクちゃんはそう言って目を輝かせていた。
「旦那さんの手料理最高だね」
吃驚するくらいのルンルン気分で俺が冷蔵庫に入れていた料理を並べていた。
「ご飯もよそってもらっていい?」
「勿論」
ミクちゃんがお茶碗にご飯をよそっている間、俺はお味噌汁を用意する。そして全てがテーブルの上に揃ったので、俺とミクちゃんは席に着いた。
「では頂きます」
「頂きます」
ミクちゃんの後に俺がそう続いた。ミクちゃんが始めに手を付けた料理は白身魚のバター焼きだった。
「なりゆき君プロみたい。凄く美味しい」
「本当はここにアンチョビを使ったトマトソースとかをかけてあげるとより美味しくなるんだけどな」
「それ凄く美味しそうだね」
「平和が戻ったらミクちゃんと二人で色々料理もしてみるか」
「それ最高だね」
とミクちゃんは満面の笑みを浮かべていた。
喋りながらミクちゃんの様子を見ていると、ミクちゃんは小声で「美味しい」と呟きながらとびきりの笑顔で俺の料理を食べてくれている。
「眩しいな」
「ん? どういう事?」
「何でも無いよ」
俺がそう言うとミクちゃんは怪訝な表情を浮かべていた。そこもまた可愛い。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる