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復活後の安息Ⅰ
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「今日はいっぱい楽しんだな~」
「そうだね。なりゆき君が本当に元気でよかったよ」
今は俺の部屋のソファでミクちゃんと二人でホットココアを飲みながらくつろいでいた。
「それにしても珍しいね。なりゆき君が23時過ぎても寝ないなんて」
「ん? そりゃあ好きな人とこの平和な時間を過ごしたいからな。つうか、そもそも寝ていたようなもんだからな」
「――死んだときってやっぱり寝ているとき同じような感じなの?」
「まあそんなところだな」
俺がそう言うとミクちゃんの表情は少し曇った。
「なりゆき君。もう転生してから二回も死んでいるだもん。蘇生使おうとしても使えなかったケースもあるし、もう絶対に無茶な真似しないでね?」
――そんなウルウルとした目で見つめられてもな~。ただ、油断はもうしない。たった1秒。悦びに浸っただけで命を奪われる。そもそも、俺は脳を潰されない限り自動で再生する筈なのに、黒龍の黒滅炎光線とやらで心臓を貫かれてそのまま一度死んだ。
「そうだな。もう皆を悲しまたくないしな。特にミクちゃんに辛いを想いをさせるって考えただけでも胸が痛い」
「絶対だよ」
「そう言って俺の身代わりになって死ぬとか止めてね?」
「う……うん」
と、ミクちゃんは妙に後味の悪い返事をした。これは何かあったら身代わりになるつもりなのだ。互いに支え合い助け合う関係である以上、こういう反応になるのは当然だけど受け入れたくはない。大切な人が自分の身代わりになるなんて――。
「そっち行っていい?」
「もちろん。おいで」
俺が両手を広げるとミクちゃんは、俺の胸の中に飛び込んできた。ミクちゃんが俺の背中に手を回して力強く抱きしめて来た。
俺はミクちゃんを包み込むようにそっと抱きしめる。
「充電中――」
ミクちゃんは上目遣いをしながらそう呟いて微笑んだ。
「いつも通りだな」
「本当は毎日したいよ。戦いなんか止めて、マーズベルの国営をなりゆき君と考えながら、たくさん働いて定時で帰って二人でのんびり過ごしたいもん」
ミクちゃんはそう言って膨れっ面になっていた。
「それは俺も同じかな。建国した当初は何もできていない状態だったから色々とやる事があったけど、皆のお陰である程度システム化できている。お金の流通もマーズベルの資源がいいから確保できているからな」
「そうだね。だからこそ、本当はなりゆき君と二人きりで、列車とかに乗って行った事が無い国に行ってみたいな」
「確かにそうだな」
俺がそう言うとミクちゃんは何やら嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「どうしたの?」
「そうだね。昔のなりゆき君なら、転移イヤリングで行けばいいじゃんとか言い出しそうだったけど今は全然違うよ」
「そうか?」
「うん。だってほら。こっちに来て当初のなりゆき君なら、他人のやっかい事に首を突っ込まないタイプだったのに今は首を突っ込みまくり。いつのまにか、世界を救う立場になっていて、なりゆき君はその役目を全うしようとしている」
「まあそこはやっぱりほら。強者の役目と言うか使命というか――」
「その善意を持ち続けられるの凄いよ」
「まあそれは皆のお陰だし、何よりミクちゃんの存在が大きいよ」
俺がそう言うとミクちゃんは「えへへ」と満足気な笑みを浮かべていた。
「そう言えば、今日の歌って――」
「なりゆき君に対する想いを全てぶつけたよ。何度も言うかもしれないけど、本当になりゆき君と出会えた事が私の人生を大きく変えた。だから本当に感謝しているし大好き」
そう言ったミクちゃんの頬は紅潮していた。俺に好意を伝えるのは未だに恥ずかしいらしい。因みに俺は内心は照れ臭いけど、ポーカーフェイスで好意を伝えることはできる。いや、実際は少し照れているかもしれない――。
「事件が全て解決して、なりゆき君と私が出る幕が無い日が続きそうなら、いっぱい旅行しようね」
「勿論。絶対に行こう。世界一周しようぜ」
「いいね! だから黒龍、コヴィー・S・ウィズダム。そしてミロク。この三人はどうしても倒さないとね」
「まあ、創生がちょっかいかけてこなければいいだけの話なんだけどな。アリシアが狙われている必ず衝突が起きる」
「そうだね」
ミクちゃんはそう言ってさらに力強く俺を抱きしめた。俺がミクちゃんの頭を撫でると、ミクちゃんは俺の方を見るなり顔を近づけて来た。
そしてミクちゃんの唇と重ね合わせる。一回。またもう一回と数回唇を重ねた後、互いの舌を入れて相性を確かめ合った。言うまでもなく俺達の呼吸はぴったり合っている。ミクちゃん曰くキスも相性があるらしい。でも俺とのキスは相性が良く、幸せいっぱいな気持ちになれるのだと。そんな幸福を与えてくれる人間がいる前なので余計に恥ずかしい気持ちが増すようだ。
唇を一旦離すと、ミクちゃんはトロンとした表情になりながらも、顔は先程と比べてさらに紅潮していた。耳も真っ赤か。ミクちゃんと初めてのキスをしてからもう半年以上になるのに、相変わらず可愛い反応をしてくれる。俺が知っているネットや動画の情報だと、結構慣れてしまって初心な反応がなかなか見れない筈なんだけどな。その影響もあるからなのか、ミクちゃんに対する気持ちは日に日に増していく。
俺からキスを行うと、ミクちゃんは「えへへ……」と照れた表情で笑みを浮かべていた。
「ベッドに行こうか」
「うん」
俺とミクちゃんはそうしてベッドへと移動した。飲んだ後のミルクココアのマグカップ? そんなもん知らん!
「そうだね。なりゆき君が本当に元気でよかったよ」
今は俺の部屋のソファでミクちゃんと二人でホットココアを飲みながらくつろいでいた。
「それにしても珍しいね。なりゆき君が23時過ぎても寝ないなんて」
「ん? そりゃあ好きな人とこの平和な時間を過ごしたいからな。つうか、そもそも寝ていたようなもんだからな」
「――死んだときってやっぱり寝ているとき同じような感じなの?」
「まあそんなところだな」
俺がそう言うとミクちゃんの表情は少し曇った。
「なりゆき君。もう転生してから二回も死んでいるだもん。蘇生使おうとしても使えなかったケースもあるし、もう絶対に無茶な真似しないでね?」
――そんなウルウルとした目で見つめられてもな~。ただ、油断はもうしない。たった1秒。悦びに浸っただけで命を奪われる。そもそも、俺は脳を潰されない限り自動で再生する筈なのに、黒龍の黒滅炎光線とやらで心臓を貫かれてそのまま一度死んだ。
「そうだな。もう皆を悲しまたくないしな。特にミクちゃんに辛いを想いをさせるって考えただけでも胸が痛い」
「絶対だよ」
「そう言って俺の身代わりになって死ぬとか止めてね?」
「う……うん」
と、ミクちゃんは妙に後味の悪い返事をした。これは何かあったら身代わりになるつもりなのだ。互いに支え合い助け合う関係である以上、こういう反応になるのは当然だけど受け入れたくはない。大切な人が自分の身代わりになるなんて――。
「そっち行っていい?」
「もちろん。おいで」
俺が両手を広げるとミクちゃんは、俺の胸の中に飛び込んできた。ミクちゃんが俺の背中に手を回して力強く抱きしめて来た。
俺はミクちゃんを包み込むようにそっと抱きしめる。
「充電中――」
ミクちゃんは上目遣いをしながらそう呟いて微笑んだ。
「いつも通りだな」
「本当は毎日したいよ。戦いなんか止めて、マーズベルの国営をなりゆき君と考えながら、たくさん働いて定時で帰って二人でのんびり過ごしたいもん」
ミクちゃんはそう言って膨れっ面になっていた。
「それは俺も同じかな。建国した当初は何もできていない状態だったから色々とやる事があったけど、皆のお陰である程度システム化できている。お金の流通もマーズベルの資源がいいから確保できているからな」
「そうだね。だからこそ、本当はなりゆき君と二人きりで、列車とかに乗って行った事が無い国に行ってみたいな」
「確かにそうだな」
俺がそう言うとミクちゃんは何やら嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「どうしたの?」
「そうだね。昔のなりゆき君なら、転移イヤリングで行けばいいじゃんとか言い出しそうだったけど今は全然違うよ」
「そうか?」
「うん。だってほら。こっちに来て当初のなりゆき君なら、他人のやっかい事に首を突っ込まないタイプだったのに今は首を突っ込みまくり。いつのまにか、世界を救う立場になっていて、なりゆき君はその役目を全うしようとしている」
「まあそこはやっぱりほら。強者の役目と言うか使命というか――」
「その善意を持ち続けられるの凄いよ」
「まあそれは皆のお陰だし、何よりミクちゃんの存在が大きいよ」
俺がそう言うとミクちゃんは「えへへ」と満足気な笑みを浮かべていた。
「そう言えば、今日の歌って――」
「なりゆき君に対する想いを全てぶつけたよ。何度も言うかもしれないけど、本当になりゆき君と出会えた事が私の人生を大きく変えた。だから本当に感謝しているし大好き」
そう言ったミクちゃんの頬は紅潮していた。俺に好意を伝えるのは未だに恥ずかしいらしい。因みに俺は内心は照れ臭いけど、ポーカーフェイスで好意を伝えることはできる。いや、実際は少し照れているかもしれない――。
「事件が全て解決して、なりゆき君と私が出る幕が無い日が続きそうなら、いっぱい旅行しようね」
「勿論。絶対に行こう。世界一周しようぜ」
「いいね! だから黒龍、コヴィー・S・ウィズダム。そしてミロク。この三人はどうしても倒さないとね」
「まあ、創生がちょっかいかけてこなければいいだけの話なんだけどな。アリシアが狙われている必ず衝突が起きる」
「そうだね」
ミクちゃんはそう言ってさらに力強く俺を抱きしめた。俺がミクちゃんの頭を撫でると、ミクちゃんは俺の方を見るなり顔を近づけて来た。
そしてミクちゃんの唇と重ね合わせる。一回。またもう一回と数回唇を重ねた後、互いの舌を入れて相性を確かめ合った。言うまでもなく俺達の呼吸はぴったり合っている。ミクちゃん曰くキスも相性があるらしい。でも俺とのキスは相性が良く、幸せいっぱいな気持ちになれるのだと。そんな幸福を与えてくれる人間がいる前なので余計に恥ずかしい気持ちが増すようだ。
唇を一旦離すと、ミクちゃんはトロンとした表情になりながらも、顔は先程と比べてさらに紅潮していた。耳も真っ赤か。ミクちゃんと初めてのキスをしてからもう半年以上になるのに、相変わらず可愛い反応をしてくれる。俺が知っているネットや動画の情報だと、結構慣れてしまって初心な反応がなかなか見れない筈なんだけどな。その影響もあるからなのか、ミクちゃんに対する気持ちは日に日に増していく。
俺からキスを行うと、ミクちゃんは「えへへ……」と照れた表情で笑みを浮かべていた。
「ベッドに行こうか」
「うん」
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