【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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生還と宴Ⅵ

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 俺、ミクちゃん、青龍リオさん、ルミエール、クロノスの五人だけで飲んだ数時間後。俺に楽しんでもらう為に、コンサート会場で使うようなステージが中央に設置されて、その前にいくつものテーブルと椅子が並べてられた誰でも参加可能な宴となっていた。会場は以前開場したときと同じ場所で、屋敷から少し離れた場所にある広場だ。

 マーズベルの定番のビガーポークの丸焼きや、五芒星会議ペンタグラム・サミットの交流会で出てきた、ウニ、卵黄、白味噌のソースも添えられていた。また、マーズベル湖の魚を使ったお刺身、カルパッチョ、塩焼き、ムニエル、干物、赤出汁、お吸い物などなど。多種多様な魚料理も出てきた。

 そして季節のお野菜を使った串焼き、天麩羅、ポトフ、炒め物、バーニャカウダ、お鍋など、野菜を楽しめる料理もたくさんあった。マーズベルも気づけば、日本人、ロシア人、アメリカ人、イタリア人、フランス人、ドイツ人などの転生者が住み始めた事により、料理の幅も建国した時と比べて随分と広がった。特に日本料理に関してはアートのような盛り付けセンス。繊細な技術。それらは見様見真似で出来るものでは無く、料理が得意なミクちゃんや、他の国民達でも再現する事はできなかった。まあぶっちゃけ、オストロンからというより、青龍リオさんに金貨払っていくつかのレシピ教えてもらったが、完全再現された日本食の真似はできなかった。

「それにしても大盛り上がりだな」

「マカロフ卿も何かやらないのか?」

「私はいいだろ。閣下は何かしないのか?」

「いや、俺も別にやらなくていいだろ」

 俺とマカロフ卿がそう話をしていると。

「我の火芸はどうだった!?」

 そうランベリオンが話に入ってきた。

「見飽きた」

 俺とマカロフ卿が同時にそう言うと、ランベリオンは「ガーン」と声に出しながらショックを受けていた。

「お前はコメディアンな竜だからな。火を扱う竜なのに、白目を向きながら火を噴いている方がよっぽど面白いぞ」

「何を!? このロクデナシ!」

 とランベリオンがマカロフ卿に喧嘩を吹っ掛け始めた。

「お、やるのか!? 来いよ」

 とマカロフ卿はランベリオンを煽り始めるので、軽い喧嘩を始めだした。マカロフ卿もランベリオンの事は弄りキャラだと思っているからな。まあこうなるわ。

「マカロフ卿がマーズベルに来てから賑やかだね」

 ルミエールはそう言って笑みを浮かべていた。

「まあな。何だかんだ皆と打ち解けているよ。ベリトとクロノスは楽しそうだな。なんか青龍リオさんも一緒に座っているけど」

「クロノスが青龍リオ・シェンラン様のお酒を注ぐって言っていたからね」

「確かにそうだな。ルミエールは楽しめているか?」

「勿論だよ。ほら次ステージに立つのはノア君とスー君のちびっ子コンビだよ」

「あいつら何をする気だ?」

 食事を楽しむマーズベルの国民数千人と、青龍リオさん、ルミエール、クロノスの大所帯の前で勇気のあるちびっこ二人組は、紳士服の姿でハットを被っての登場だった。ポイントとしては蝶ネクタイを着けている事と、ステッキを持っている事だった。

「このパターンは手品か何かだな」

「手品か~。私はあまり見たことないんだよね」

「俺もタネは良く分かっていないからな。見たことが無いなら新鮮かも」

「それでは我等が主。ナリユキ閣下の真似をしまーす!」

 そうノアが高らかに声を上げると会場は大盛り上がりだった。

「いいぞ! ノア様ー!」

 と言った具合だ。スーもマーズベルに馴染んでいるので、女性から案外人気だったりする。よって二人のちびっ子が登場するだけで、黄色い声援が飛び交うのだった。

 スーが「ジャカジャカ~♪」と陽気な効果音を、胸に付けているピンマイクに届けると、ノアがハットを取っては裏返しにする。そして「行くよ~」と声をかける。

「ジャーン!」

 スーがそう言うとハットの中から白いハトが出て来た。手品でよくある芸だが会場は大盛り上がりだった。他にもハトだけではなく、電黒狼ボルト・ウルフ等も出現させたりするので、ルミエールも「おお!」と感心していた。まあ、この魔物ばかり出す芸当に関しては、ノアがマーズベル一の魔物使いだから、何らかの方法で呼び出して、ここに出現させているのだろう。

 そうして、リングだったりボールだったりをノアがハットの中から出現させると、今度はそれらのアイテムを使ってスーが先程出現させた魔物達に「おすわり」をさせていた。全ての魔物がノアが扱う魔物のように服従していた。ノアに相当鍛えられたんだな。

 それからと言うものの、リングやボールを使ったパフォーマンスを披露してくれて二人のショーは終わった。勿論、会場は拍手で退場する二人を見送った。

「次がラストだね」

「そうだな」

 冬という事もあり、陽が沈んで外は既に真っ暗だった。星空の下で広げられる最後のパフォーマンスは、ミクちゃんとアリスが率いる森妖精エルフの合唱団だった。

 黒の祭服に身を包んだ総勢二十名の合唱団。中心となるミクちゃんだけが白の祭服だった。果たしてどんなパフォーマンスになるのかの楽しみだ。これぞ推し活。

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