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神との対面Ⅱ
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「でも手助けってどんな事をしてくれるんだ?」
「なあに簡単な話さ。メーティスが坊主に黒龍を倒す術を与える」
「――なんだ。アンタが能力を開花させてくれるとかじゃなかったのか?」
「能力は使っていれば開花する場合もある。それは己自身でさせるものだ」
「成程な。で、メーティスが与えてくれる倒す術ってどんなモノだ?」
「黒龍には特殊な能力があり、自身に対するユニークスキル、パッシブスキル、アルティメットスキルが効きません。それが無効化できるのであれば、対等に戦うことが可能なのではないでしょうか?」
「確かに……」
「まあ、要はそう言った類のスキルの干渉を受けないスキルを与えてやるって事だ」
「なんか話が上手く出来すぎているな……」
「鉄板だろ? それにここに来たのに私達と喋るだけで終わりってのも疑問が残るだろ?」
「確かにそうだな。でもそれならばもっと未知のパワーみたいなのが貰えるとか少し思っていた」
「漫画の見過ぎだな」
「――漫画知っているのかよ」
「ある程度の事は知っている。これでも、坊主達の世界は長い間見守っているのだ」
「成程な。――あとまた聞きたいことが出て来たんだけどいいかな?」
「何だ?」
「ゼウス、アース、アルカナはいるのか?」
「いるが、別のところにいる。原則、それらのユニークスキルを持っていなければ会う事はできないからな」
「何だ。色々とヒントを貰おうと思ったのにな――」
「そう簡単にもらう事はできないさ。メーティスなら知っているのではないか?」
「そうですね~。正直なところあの三人は強すぎてスキルの情報が得れませんでした。ブラフマーであれば勝てると思いますが――」
メーティスはそう言ってブラフマーに視線を送った。
「勝てるがミロクに勝てるかどうか怪しいな」
「そんなにミロクは強いのか? 神でも勝てないくらいに」
「そうだな。あまり認めたくは無いが」
神でも勝てないと言わしめる程の強さ。本当に一体どんな化物なんだよ。
「でもミロクは森妖精だよな? 何でそんなに強いんだ?」
「突然変異としか」
「言いようがないですね」
ブラフマーとメーティスはそう小さく呟いた。そんなに声小さくなっていく!? と拍子抜けするほどだ。
「今の俺が勝てる見込みはあるか?」
すると、ふうとブラフマーが溜息を吐く。
「正直に言うぞ?」
「ああ」
ブラフマーの神妙な顔つきを見る限り、俺がミロクに勝てる可能性は相当低い――。一体どれくらいなんだろう――。
「0だな」
そうキッパリと言われた回答には、俺も流石にショックを受けた。勝てる可能性0%――。
「今の坊主はメーティスと同じくらいで、私よりか下だ。私にも黒龍にも勝てないお前がミロクに勝てるなど有り得ない」
「有り得ないか――。じゃあまず黒龍を倒せって事だよな?」
「そういう事だ。メーティス」
「はい」
ブラフマーの指示に応じた俺は、メーティスに「いいですか?」と問われた。
「勿論」
俺がそう言うと、メーティスは黄金に輝く手で俺の頭に触れた。
そして流れ込んできたのは、神理というパッシブスキルを入手する事ができた。効果は無効化にする効果を無効化にするという効果。そして俺はこう思う――。
「何か都合よすぎない?」
「これは私があらゆる神に対抗する為に会得した能力です。神はたくさんいますが、この能力が使えるのは限られています。勿論、ブラフマーも使う事ができます」
「そういう事だ。有難く受け取っておきな」
と、言われて釈然としないまま俺はこのパッシブスキルを会得する事ができた。本当にこれで黒龍に対抗できるのだろうか?
「何か不安気な表情だな」
「まあな。俺が戦ってきたなかで一番強いのは今のところは黒龍だ。黒龍という個体そのものが桁外れに強いのに、自身に対するユニークスキル、パッシブスキル、アルティメットスキルが効かない」
「まあ――自分で創造しておいて思うが確かに厄介だな。四龍のなかでも一番ややこしいのは間違いなく黒龍だ。しかし、メーティスが与えた神理は、神が生み出したもの。それに希少度も高い。坊主と黒龍の戦闘値は確かに離れているが問題ない。あとは坊主が黒龍とどう戦うかが勝負の決め手だ」
「分かった。ありがとう」
「あとは生き返るだけだな。現時点では心臓が止まっているが、心臓が止まっていてもあっちの世界へ戻る人間もいる。生きることに執着さえすれば戻れるはずだ」
「生きることに執着――やってみる」
俺はミクちゃんや皆と出会ってから、更に生きることに対しての執着が強くなった。もし、今の俺が倒れたままであれば、ミクちゃんは悲しい顔を浮かべているだろう――。自分が愛している人が、そんな顔をしているのは非常に心が痛い。胸が苦しい。
それにだ。黒龍を倒して世界に平和をもたらすことが出来ていないのに死ねるわけがない。せっかく俺に与えられた力――平和の為に使わなくてどうするんだ。
そしてもう一つ。
新しい世界を築いていく――。
これは俺がこの世界に来て気付いた楽しい事の一つだ。自分で国を造り。国民の命を預かり、世界平和の為に他国のトップ達と話し合いをして、小さい変化を生み出していく事でより良い世界を築いていく。反感を買う人は勿論いるだろうけど、運が良い事に、俺が今までやってきた事はハッピーになってくれている人のほうが多い。それらを黒龍に全て壊されてたまるか。
「ナリユキ君!」
そう声が聞こえた。最愛の女性の悲しみに満ち溢れた声だ。胸が痛くなる。そして心配させて申し訳無い――。
「ほら、愛する人の元へ行くんだ」
「あっちの方角ですよ」
メーティスがそう指した場所には光の扉が出現しており、じっと眺めていると扉が自動で開いた。
「私達は貴方の事を応援しております。素晴らしい魂を持つ人間が、こんなに早く死んでしまうなんて有り得ません。まだ貴方は生きていないといけない存在なのです」
「そういう事だ。黒龍に勝って坊主が造る世界を見せてくれ」
ニッと笑みを浮かべたブラフマー。優しく見守るメーティス。二人の表情はどこか自分の子を見守る親のようだった。
「ありがとう」
俺は一礼をして光の扉の中へ入っていった。
「なあに簡単な話さ。メーティスが坊主に黒龍を倒す術を与える」
「――なんだ。アンタが能力を開花させてくれるとかじゃなかったのか?」
「能力は使っていれば開花する場合もある。それは己自身でさせるものだ」
「成程な。で、メーティスが与えてくれる倒す術ってどんなモノだ?」
「黒龍には特殊な能力があり、自身に対するユニークスキル、パッシブスキル、アルティメットスキルが効きません。それが無効化できるのであれば、対等に戦うことが可能なのではないでしょうか?」
「確かに……」
「まあ、要はそう言った類のスキルの干渉を受けないスキルを与えてやるって事だ」
「なんか話が上手く出来すぎているな……」
「鉄板だろ? それにここに来たのに私達と喋るだけで終わりってのも疑問が残るだろ?」
「確かにそうだな。でもそれならばもっと未知のパワーみたいなのが貰えるとか少し思っていた」
「漫画の見過ぎだな」
「――漫画知っているのかよ」
「ある程度の事は知っている。これでも、坊主達の世界は長い間見守っているのだ」
「成程な。――あとまた聞きたいことが出て来たんだけどいいかな?」
「何だ?」
「ゼウス、アース、アルカナはいるのか?」
「いるが、別のところにいる。原則、それらのユニークスキルを持っていなければ会う事はできないからな」
「何だ。色々とヒントを貰おうと思ったのにな――」
「そう簡単にもらう事はできないさ。メーティスなら知っているのではないか?」
「そうですね~。正直なところあの三人は強すぎてスキルの情報が得れませんでした。ブラフマーであれば勝てると思いますが――」
メーティスはそう言ってブラフマーに視線を送った。
「勝てるがミロクに勝てるかどうか怪しいな」
「そんなにミロクは強いのか? 神でも勝てないくらいに」
「そうだな。あまり認めたくは無いが」
神でも勝てないと言わしめる程の強さ。本当に一体どんな化物なんだよ。
「でもミロクは森妖精だよな? 何でそんなに強いんだ?」
「突然変異としか」
「言いようがないですね」
ブラフマーとメーティスはそう小さく呟いた。そんなに声小さくなっていく!? と拍子抜けするほどだ。
「今の俺が勝てる見込みはあるか?」
すると、ふうとブラフマーが溜息を吐く。
「正直に言うぞ?」
「ああ」
ブラフマーの神妙な顔つきを見る限り、俺がミロクに勝てる可能性は相当低い――。一体どれくらいなんだろう――。
「0だな」
そうキッパリと言われた回答には、俺も流石にショックを受けた。勝てる可能性0%――。
「今の坊主はメーティスと同じくらいで、私よりか下だ。私にも黒龍にも勝てないお前がミロクに勝てるなど有り得ない」
「有り得ないか――。じゃあまず黒龍を倒せって事だよな?」
「そういう事だ。メーティス」
「はい」
ブラフマーの指示に応じた俺は、メーティスに「いいですか?」と問われた。
「勿論」
俺がそう言うと、メーティスは黄金に輝く手で俺の頭に触れた。
そして流れ込んできたのは、神理というパッシブスキルを入手する事ができた。効果は無効化にする効果を無効化にするという効果。そして俺はこう思う――。
「何か都合よすぎない?」
「これは私があらゆる神に対抗する為に会得した能力です。神はたくさんいますが、この能力が使えるのは限られています。勿論、ブラフマーも使う事ができます」
「そういう事だ。有難く受け取っておきな」
と、言われて釈然としないまま俺はこのパッシブスキルを会得する事ができた。本当にこれで黒龍に対抗できるのだろうか?
「何か不安気な表情だな」
「まあな。俺が戦ってきたなかで一番強いのは今のところは黒龍だ。黒龍という個体そのものが桁外れに強いのに、自身に対するユニークスキル、パッシブスキル、アルティメットスキルが効かない」
「まあ――自分で創造しておいて思うが確かに厄介だな。四龍のなかでも一番ややこしいのは間違いなく黒龍だ。しかし、メーティスが与えた神理は、神が生み出したもの。それに希少度も高い。坊主と黒龍の戦闘値は確かに離れているが問題ない。あとは坊主が黒龍とどう戦うかが勝負の決め手だ」
「分かった。ありがとう」
「あとは生き返るだけだな。現時点では心臓が止まっているが、心臓が止まっていてもあっちの世界へ戻る人間もいる。生きることに執着さえすれば戻れるはずだ」
「生きることに執着――やってみる」
俺はミクちゃんや皆と出会ってから、更に生きることに対しての執着が強くなった。もし、今の俺が倒れたままであれば、ミクちゃんは悲しい顔を浮かべているだろう――。自分が愛している人が、そんな顔をしているのは非常に心が痛い。胸が苦しい。
それにだ。黒龍を倒して世界に平和をもたらすことが出来ていないのに死ねるわけがない。せっかく俺に与えられた力――平和の為に使わなくてどうするんだ。
そしてもう一つ。
新しい世界を築いていく――。
これは俺がこの世界に来て気付いた楽しい事の一つだ。自分で国を造り。国民の命を預かり、世界平和の為に他国のトップ達と話し合いをして、小さい変化を生み出していく事でより良い世界を築いていく。反感を買う人は勿論いるだろうけど、運が良い事に、俺が今までやってきた事はハッピーになってくれている人のほうが多い。それらを黒龍に全て壊されてたまるか。
「ナリユキ君!」
そう声が聞こえた。最愛の女性の悲しみに満ち溢れた声だ。胸が痛くなる。そして心配させて申し訳無い――。
「ほら、愛する人の元へ行くんだ」
「あっちの方角ですよ」
メーティスがそう指した場所には光の扉が出現しており、じっと眺めていると扉が自動で開いた。
「私達は貴方の事を応援しております。素晴らしい魂を持つ人間が、こんなに早く死んでしまうなんて有り得ません。まだ貴方は生きていないといけない存在なのです」
「そういう事だ。黒龍に勝って坊主が造る世界を見せてくれ」
ニッと笑みを浮かべたブラフマー。優しく見守るメーティス。二人の表情はどこか自分の子を見守る親のようだった。
「ありがとう」
俺は一礼をして光の扉の中へ入っていった。
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