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冥王ゾークⅣ
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「まだまだ戦い長引きそうですね」
「お互いまだまだ様子を見ている感じはあるからな。一番は互いにどんなスキルを持っているか分からないという状況なので、どうしても攻め辛い」
「考え無しに突っ込むのは命取りじゃからのう。しかし、ゾークは防御スキルが乏しい事は確実じゃな。先程のナリユキ閣下の攻撃を腕を犠牲にして自身の顔を守っていたからのう」
「そうだな。狙撃手は狙った箇所に必ず直撃するスキルではあるが、ガードさえすれば何の問題も無いからな。仮にガード系のスキルがあるのであれば、発動している筈――」
「でも冷静に考えたら、防御系のスキルを持っていて、何らかの条件を満たして発動するタイプもありますよね?」
「言われてみればそうじゃな――流石ミク殿じゃのう」
「そんな事ありませんよ」
アスモデウスさんに褒められて喜んでいたミクちゃん。そうか――確かに条件次第で発動できる防御スキルはあっても可笑しくは無いな。しかし、それは冥壁の拒絶では無いのだろうか? 死体があればどんなスキルでも一度だけ無効化できるというスキルだけど、俺とゾークの1VS1の戦いだ。この様子だとゾークが皆に危害を加えるような事はしないと思うけど――。
「仕方ない。少し違った攻撃を仕掛けるか」
ゾークはそう言って目を光らせた。その瞬間俺の身体は硬直し始めた。
「ちょっこれどうなっていやがるんだ!」
吃驚するくらい抵抗できない。動かすことができるのは、手と足以外の箇所だ。どうやら金縛りのような攻撃を仕掛けられたみたいだ。冗談じゃない――。
「地上、魔界、そしてこの地下世界には天眼や魔眼といった特殊な眼がある。天眼は主に龍族が、魔眼は魔族や冥魔族が所有するものとなっている。しかし、それら以外にも特殊な眼というモノがあってだな」
ゾークはそう言って自分の眼を指していた。俺によく見てみろと言っている。眼には何かの紋様が浮き上がっていた。まるで稲妻のようなギザギザとした紋様だった。何より、黄色だった眼は宝石のように輝いていた。
「少し変わったようだな」
「いかにも。これは冥眼と呼ばれている特殊な眼だ。この世界にしか存在しない眼だ。勿論、冥魔族でも扱う事はできない。地下世界に生息している一部の種族だけが使用することができる」
「それで、俺を動けなくさせたのか?」
「そういう事だ! 今度こそ喰らうが良い。冥覇斬!」
仕方ない――。俺の手が自由に動かすことができないのであれば試してみるか――。俺は殺戮の腕の効果を使って姿を消した。ゾークは剣を振り下ろすのを止めて「可笑しい。近くにいる筈なのに何処に行った?」と怪訝な表情を浮かべながらキョロキョロと辺りを見渡していた。
思った通りだ。ゾークの視界から消えることによって、冥眼の効果を切る事ができる。それに透明化になっている事によって攻撃がさっきよりしやすい筈だ。透明化になっていてもこっちが一方的に攻撃をするのは難しいと思うが、姿が見えない状態だと反応するのが遅れる筈だ。その隙を突く。
俺が透明化になっているときのゾークの反応速度はどんなものなのかを試した。デザートイーグルによる連続攻撃だ。俺が放った6発のうち、3発が顔面に的中した。しかし残りの3発は手の甲でガードをされてしまった。ただ、そのデザートイーグルの3発はなかなかの威力だった。ゾークの顔面をたった3発で半壊させたのだ。もはや俺が強くなったのか、ゾークの耐久値が意外と脆いのか分からん。まあ――。
「なかなかの威力だな」
と、不敵の笑みを浮かべながら瞬時に顔を再生させているんですけどね。
「意外と脆いんだな」
俺は透明化を一度解除してそう話した。
「ナリユキの銃撃が強いとも言える。しかしまあコレは仕方ないのだ」
「仕方ない?」
「ああ。直ぐに分かる」
さっきまでなら驚いた表情を浮かべていたのに、冥眼を使用し始めてからやたらと冷静だ。確かに冥眼の効力は金縛りのような効果しか発揮していないから未知数ではあるけど、それにしてもこの余裕は一体何なんだ?
まあ考えていても仕方が無い。透明になっている以上は俺の方がアドバンテージを取っている筈だからな。と言っても無限に透明化できる訳じゃないからそこだけは注意をしないとな。
俺は再度透明化を行った。
「一瞬にして姿を消すことができるのだな」
ゾークはそう言った後、眼を瞑って俺を探していた。俺はゾークから20m程離れた真後ろにいる。もしかしたらその辺にいる! くらいは特定することはできるかもしれないが、ピンポイントで狙うのはなかなか出来る芸当じゃない。
俺はゾークの頭に銃口を向けた。
すると、俺がトリガーを引くより先に紫色の稲妻のエネルギー弾が飛んで来たのだ!
「いっ――!?」
俺がそう思わず声を上げながらジャンプをして避けると、「やはりそこにいたか」とゾークは呟く。闇雲に撃った訳ではなく、俺があの場所にいたのがピンポイントで分かっていたようだ。一体どういうカラクリだ? ただの勘にしては冴えすぎじゃないか? それとも経験値というやつだろうか?
そろそろ銃撃は厳しいか。
そう思った俺はデザートイーグルを一旦消した。そして取り出した武器は黒紅煉刀だ。縮地で一気に距離を詰めて攻撃を仕掛ければ、また一太刀くらいは浴びせられるだろう。
「お互いまだまだ様子を見ている感じはあるからな。一番は互いにどんなスキルを持っているか分からないという状況なので、どうしても攻め辛い」
「考え無しに突っ込むのは命取りじゃからのう。しかし、ゾークは防御スキルが乏しい事は確実じゃな。先程のナリユキ閣下の攻撃を腕を犠牲にして自身の顔を守っていたからのう」
「そうだな。狙撃手は狙った箇所に必ず直撃するスキルではあるが、ガードさえすれば何の問題も無いからな。仮にガード系のスキルがあるのであれば、発動している筈――」
「でも冷静に考えたら、防御系のスキルを持っていて、何らかの条件を満たして発動するタイプもありますよね?」
「言われてみればそうじゃな――流石ミク殿じゃのう」
「そんな事ありませんよ」
アスモデウスさんに褒められて喜んでいたミクちゃん。そうか――確かに条件次第で発動できる防御スキルはあっても可笑しくは無いな。しかし、それは冥壁の拒絶では無いのだろうか? 死体があればどんなスキルでも一度だけ無効化できるというスキルだけど、俺とゾークの1VS1の戦いだ。この様子だとゾークが皆に危害を加えるような事はしないと思うけど――。
「仕方ない。少し違った攻撃を仕掛けるか」
ゾークはそう言って目を光らせた。その瞬間俺の身体は硬直し始めた。
「ちょっこれどうなっていやがるんだ!」
吃驚するくらい抵抗できない。動かすことができるのは、手と足以外の箇所だ。どうやら金縛りのような攻撃を仕掛けられたみたいだ。冗談じゃない――。
「地上、魔界、そしてこの地下世界には天眼や魔眼といった特殊な眼がある。天眼は主に龍族が、魔眼は魔族や冥魔族が所有するものとなっている。しかし、それら以外にも特殊な眼というモノがあってだな」
ゾークはそう言って自分の眼を指していた。俺によく見てみろと言っている。眼には何かの紋様が浮き上がっていた。まるで稲妻のようなギザギザとした紋様だった。何より、黄色だった眼は宝石のように輝いていた。
「少し変わったようだな」
「いかにも。これは冥眼と呼ばれている特殊な眼だ。この世界にしか存在しない眼だ。勿論、冥魔族でも扱う事はできない。地下世界に生息している一部の種族だけが使用することができる」
「それで、俺を動けなくさせたのか?」
「そういう事だ! 今度こそ喰らうが良い。冥覇斬!」
仕方ない――。俺の手が自由に動かすことができないのであれば試してみるか――。俺は殺戮の腕の効果を使って姿を消した。ゾークは剣を振り下ろすのを止めて「可笑しい。近くにいる筈なのに何処に行った?」と怪訝な表情を浮かべながらキョロキョロと辺りを見渡していた。
思った通りだ。ゾークの視界から消えることによって、冥眼の効果を切る事ができる。それに透明化になっている事によって攻撃がさっきよりしやすい筈だ。透明化になっていてもこっちが一方的に攻撃をするのは難しいと思うが、姿が見えない状態だと反応するのが遅れる筈だ。その隙を突く。
俺が透明化になっているときのゾークの反応速度はどんなものなのかを試した。デザートイーグルによる連続攻撃だ。俺が放った6発のうち、3発が顔面に的中した。しかし残りの3発は手の甲でガードをされてしまった。ただ、そのデザートイーグルの3発はなかなかの威力だった。ゾークの顔面をたった3発で半壊させたのだ。もはや俺が強くなったのか、ゾークの耐久値が意外と脆いのか分からん。まあ――。
「なかなかの威力だな」
と、不敵の笑みを浮かべながら瞬時に顔を再生させているんですけどね。
「意外と脆いんだな」
俺は透明化を一度解除してそう話した。
「ナリユキの銃撃が強いとも言える。しかしまあコレは仕方ないのだ」
「仕方ない?」
「ああ。直ぐに分かる」
さっきまでなら驚いた表情を浮かべていたのに、冥眼を使用し始めてからやたらと冷静だ。確かに冥眼の効力は金縛りのような効果しか発揮していないから未知数ではあるけど、それにしてもこの余裕は一体何なんだ?
まあ考えていても仕方が無い。透明になっている以上は俺の方がアドバンテージを取っている筈だからな。と言っても無限に透明化できる訳じゃないからそこだけは注意をしないとな。
俺は再度透明化を行った。
「一瞬にして姿を消すことができるのだな」
ゾークはそう言った後、眼を瞑って俺を探していた。俺はゾークから20m程離れた真後ろにいる。もしかしたらその辺にいる! くらいは特定することはできるかもしれないが、ピンポイントで狙うのはなかなか出来る芸当じゃない。
俺はゾークの頭に銃口を向けた。
すると、俺がトリガーを引くより先に紫色の稲妻のエネルギー弾が飛んで来たのだ!
「いっ――!?」
俺がそう思わず声を上げながらジャンプをして避けると、「やはりそこにいたか」とゾークは呟く。闇雲に撃った訳ではなく、俺があの場所にいたのがピンポイントで分かっていたようだ。一体どういうカラクリだ? ただの勘にしては冴えすぎじゃないか? それとも経験値というやつだろうか?
そろそろ銃撃は厳しいか。
そう思った俺はデザートイーグルを一旦消した。そして取り出した武器は黒紅煉刀だ。縮地で一気に距離を詰めて攻撃を仕掛ければ、また一太刀くらいは浴びせられるだろう。
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